第517話放課後の用事
そこまで話すと、周りの子がこちらを目を輝かせてみていることに気付く。
自分らより早く終わったということは当然、リタイアか、完全でない形のクリアであるため、完全クリアした場合の道中について興味津々ということだろう。
「完全制覇?」
「あの、鍵のところの化け物、どうやって倒したの?」
「球から逃げ切ったの?」
「最後の敵はどんな感じだったのー?」
「それはねー」
「強かったよー」
「ビームが凄かったの」
「え、えと、どれから話せば・・・」
子供達は揉みクシャにしてくるような勢いでウィリィン達に話を聞くために寄ってきた。
ウィリィンはそれに対して、少し怯みつつも、子供達が話せる話題については譲りつつ、聞かれたことに関しては回答をしていく。
その後も少しずつ、迷宮探検が終了したグループが戻ってきて人が増えて行ったが、完全クリアまでたどり着けたのはほぼいないようだ。
「というか、あれ、私たち以外でクリアできるのか・・・」
まあ、運によるところもあるのは確かだろうが、
グループで脱落者というか。はぐれてしまった人が出てもいけないし、黒い悪魔や、ゴーレムは相手の特性を理解して適切に攻めなければ攻略は難しいはずである。
そんなことを考えながら話していると、授業の時間も終わりが近づき、全員が教室へと戻ってきた。
「クリアできた人達も、できなかった人達も楽しんでいただけましたか?」
「はーい」
「もう一回!」
「また行きたいー」
子供達からは大うけだったようだ。
ウィリィンとしてもこういった尖った耐性を持つ相手との戦いはとてもいい経験になった。
「今日はこれで終了です。
また、明日元気に登校してくださいねー」
ミラナがそう締めくくると授業終了の合図が鳴り響く。
昼食の時間だ。
子供達はミラナに挨拶をして、そのまま食堂へと向かって行く。
ウィリィンは立ち上がりつつも、エトゥが腕に飛びついてきたのを察知すると、そのままひらりとかわして、首根っこを掴む。
「別にそこまで急ぐ必要ないでしょ」
「うう、お腹空いた・・・」
迷宮での探索でかなりエネルギーを使ったのか、先ほど補充したのにも関わらずエトゥはお腹がかなり空いているようだ。
「私が食べている時と同じタイミングでいいでしょ。
どうせ、食堂に行くまではこれ以上たたかったりするわけでもないし。
それと、私もお腹空いてるから、この状態で吸われるのはちょっときつい」
「それもそう。
分かった、ちょっと待つ」
エトゥはウィリィンの言ったことに理解を示し、自身の足で歩き始めた。
お腹が空いているのに更に栄養を持っていかれるようなことをされてしまうとウィリィンとしても少々きつい。
まあ、実際のところは先ほど食べた飴のおかげでそんな状態ではないのだが、どちらかというと今日が特別の部類だ。
ウィリィンとしてはルールとして、特に理由が無い特にこの後に戦いが控えていたりしない限りは食事は決められたタイミングに行うことを決めておきたい。
「まあ、それに、食事は一緒にとった方が楽しいでしょ」
「ん、確かに。
取り合いが起きない時はそう」
エトゥの場合、狩りをする都合上、他の人に獲物を取られる可能性も存在するのだろう。
そうすると、なるべく早く、食べ物を確保し、胃の中に入れる必要があり、味わうといったところを考える余地がないことも良くある。
まあ、こういったわいわいと取る食事にも理解はあり、しっかりと時と場合を使い分けることができるようだ。
「あ、そういえば放課後はどうするの?
昨日は教室に行ったけど。
ちなみに私は今日用事がある」
「ん、昼にしっかり補給できてれば大丈夫。
次の日までは持たせられる。
あと、今日の放課後は生産部で活動することになってる。
食べ物作る」
「なるほど。
っていうか、何を作るの?
大体のものはあんまり吸収できないんでしょ?」
そう、エトゥの身体ではほとんどの食べ物はうまく吸収できず、ただ消化されてしまうだけである。
であるなら、食べ物を作ったといても自身の腹を満たすのには繋がらないように感じるが。
「ん、だから、品種改良して自身にあった食べ物を生み出す。
あと、ついでに稼ぐ」
「おお、合理的だね」
確かに色々な植物、動物を生み出すことが可能なわけであるので、エトゥの身体に適合するようなものを生み出すことも可能かもしれない。
それで副産物に関しては受けがいいものに関しては販売することで資金の足しにしたりすることも可能だろう。
そんな感じで話していると食堂へと到着し、席に座ってウィリィンは食事を注文する。
「ウィリィンはどんな用事がある?
生徒会関連?」
エトゥがウィリィンの用事について確認してくる。
「いや、魔法部。
生徒会の活動をしてた時にたまたま魔法部の人に合って、招待を受けたから見学してくる」
「ウィリィン、魔法得意、魔法部に入ったらもっと強くなれそう。
強くなれば美味し、魔力量も増えるっ。
是非入部してきて」
エトゥは軽く涎を垂らし、ウィリィンの方を目を輝かせながら見る。




