第515話優先順位
「ふんぬっ」
ウィリィンは炎を纏って、出力を上げ、目一杯の力とゴーレムの動きをも利用して足をもぐことに成功した。
すると、ゴーレムの抵抗が一段と激しくなり、なんと、うつぶせの状態のままビームを放ち、地面を壊した反動で無理やり起き上がった。
まあ、ウィリィンが片足を外してしまったので、足が無い方は腕を使って、支えている状態であるが
「っ!?
まじか」
「変形だー」
「小さくなってるー?」
「足を作り直してるー」
ゴーレムは全身を輝かせたかと思うと、全体的に少しずつ削れていき、足を再度形成した。
その影響で一回り小さくなって、パワーは減少したようであるが、
「その分スピードは上がってるかっ。
そうすると、これ、回収されると面倒っ!?
遅かったか」
ゴーレムが身体を再構成可能となると、ウィリィンがもいだこの足も再度利用される可能性があったので、ゴーレムに近付かせないようにしたかったのだが、既にゴーレムは足へと迫り、再構成してしまった。
それによってゴーレムの手には薙刀が握られた。
パンチよりもリーチが長く、素早く振ってくるため、戦いにくさに関しては上昇したと言えるだろう。
「つよい、つよいー」
「刀ぶんぶんー」
「速いー」
「やっぱり、鍵を入れるのを狙った方が良さそうだね。
でも、身体の再構築ができるなら、鍵穴がある理由が分からないんだけど・・・。
ああ、よく見たら素材が違うのね」
破壊しても再利用されるとなると効率が悪い。
それに小さくなるとその分重心を崩しにくくなっており、破壊すればするほど相手の動きを止めにくくなる。
火力は下がったとしても硬さは健在であり、あれを刃物として振るってくるのはたやすく肉体を切断されることに繋がる。
それに、再構築の際に時間こそかかるようだが、どんな形状にも変更が可能そうなのもあまりよろしくない。
飛び道具のように運用されたり、引っかかりの一切ない球体になられたりすると硬さゆえにかなり対処が面倒なことになりそうだ。
鍵穴についてはあそこの周辺だけ少し濃い金色になっていることが分かり、別の素材で出来ていることが伺える。
そのため、その部分は再構築が不可能で、形状はあれで固定されていると思われる。
「鍵穴狙おうっ」
「おー」
「分かったー」
「狙う―」
ウィリィンは作戦を伝え、行動を開始する。
ウィリィンは鍵を持ち、狙いを頭部に集中している様を演出しつつも、相手を誘う。
これは結構効果的で、ウィリィンがこの状態で近づくだけでかなり警戒した動きを見せてくる。
その分、子供達への注意が散漫になったり、迎撃を止めて、ウィリィンへの対処に動きを変えたりと、いい感じに操れるようになってきた。
「入らなくていいから、扉を狙ったりしてみて。
多分、注意を引けると思う」
「分かったー」
「こっちだよー」
「混乱してきてるよー」
子供達が扉へ向かおうとすればそちらへの対処を優先し、そのタイミングでウィリィンが肉薄すると、鍵穴を守る様に迎撃態勢に・・・そんな感じでゴーレムの中に存在する優先順位を刺激するような立ち回りを行うことで、どんどん動きの隙を生み出していく。
薙刀による攻撃及び、先ほど同様のビームについても、慣れてくれば軌道上に立たないことを意識し、それでも対処が難しい場合は、ウィリィンなど他の子が扉に近づいたりすることで、攻撃をキャンセルさせたりすることで、徐々に安定した立ち回りを見せ始めている。
こちらからの攻撃は大して効いている感じはないものの、よろめかせたりすることはできる為、積極的に狙っている。
ウィリィンが渡したロープに関しては、既に薙刀によって切断されてしまっており、捨ててしまっている。
そんな感じでヒットアンドアウェイを繰り返していると、遂にその時が来た。
ズデーン
攻撃中に扉へと近づき、無理やり軌道を変化させ、それによって不安定になった体勢に対し、綺麗に攻撃が入り、ゴーレムをすっ転ばすことに成功した。
「こんどは仰向けっ、入れれるねっ」
ウィリィンは鍵を持って、ゴーレムの頭部に向かう。
当然ゴーレムは鍵を入れさせまいと暴れ、
「ビームを撃ってくることは想定済みだよっ。
上からの落石もねっ」
ウィリィンが頭部に辿り着いたタイミングでビームを放ってくるが、当然それを回避する。
そうなると、ビームは天井にヒットするわけであるが、それはウィリィンが魔法で迎撃し、落下の軌道を変えた。
そして、今度こそ打つ手の無くなったゴーレムに対して鍵を入れ、回すと、
ガチンっ
音を立てて、ゴーレムの全身がバラバラに崩れ始めた。
そして、中から赤いコアのようなものが崩れたゴーレムの身体の中から姿を現した。
それは一瞬輝いたかと思うと、
「あぶなっ!?」
ウィリィンへと先ほどのようにビームを放ってきた。
ウィリィンは光り方を見て、警戒をしていたので、何とか回避に成功する。
が、その間にコアはビームを連続でウィリィンに向かって放ちながら、空中へと逃れてしまった。




