第514話守護者
扉が開き、中を伺うと、
「っ!?」
極太の光線が中にいる存在から放たれており、ウィリィンは慌てて、子供達を射線の外へと突き飛ばし、自身も避ける。
その判断は正しく、光線の通った先は完全に融解している。
それを行ったのは金色に輝くゴーレムであった。
ゴーレムの頭部には
「鍵穴っ」
「鍵入れる?」
「入れるとどうなる?」
子供達が指差す通り、鍵穴が存在しており、見るからにウィリィンが持っている鍵と構造が一致している。
「まあ、問題はそう簡単に入れさせてくれないよね」
ゴーレムは見かけによらず機敏に動き、ウィリィン達にその拳を振り下ろした。
皆動きを見て、回避しているが、拳が振り下ろされた場所は大きな音を立てて破壊されており、パワーはかなりのものであるため、当たるとひとたまりもなさそうだ。
そして、こちらの反撃となり、魔法や肉体による攻撃を仕掛けるが、
「かたーい」
「変化ないー」
「弾かれたー」
拳はゴーレムに使われている金色の素材はとても強靭であるようで、物理、魔法共に傷をつけることが敵わない。
ウィリィンも様々な魔法を放ってみるが、意に介している様子は無い。
「もしかして、倒せない?」
今回は倒すこととは別に鍵を入れるという勝利条件が存在するため、その分ゴーレム自体は難しい設定にされているかもしれない。
先程の黒い悪魔と違い、そもそもの素材としての性質が少なくとも子供達の力量を越えた硬さになっている。
「ウィリィンー」
「効いてないよー」
「どうするー?」
「うーん、ちなみに、奥に見える扉に入るのは?」
実はゴーレムの後ろにはゴールらしき扉が存在している。
それにゴーレムの動きはウィリィン達をそこへと進ませないようにしている節がある。
だが、それはウィリィン達がひとまずはゴーレムを倒すことをメインに動いているからであり、狙いを扉に絞ればある程度苦労はするだろうが、到達することはそれほど大変ではないだろう。
「ええー」
「倒したいー」
「せめて鍵入れようよー」
「あ、うん。
なら、転ばせたり動きを奪ってみようか。
それに関節技とか使えば壊せるかも」
「おおー」
「やろー」
「すってんころりんー」
ウィリィンは子供達の方針を尊重し、代案を提示する。
まあ、硬すぎる相手に対してはこれらの方法がやはり有効である。
どんなに硬かろうと同質の物体同士であればダメージを与えられるし、転ばせたりして攻撃の頻度が下がればとれる手も増えてくる。
方針が決まったところでウィリィンは長いロープを生み出し、子供達に配る。
これを足に巻き付けて引っ張ればうまくいけば転んでくれるだろう。
後は関節部分を可動域の越える方向へと曲げてやれば壊れてくれるかもしれない。
「っ、といってもあいつ、結構パワー強いんだよな。
あと、タメが長いのはあるけど、ビーム喰らったらひとたまりもないんだよね・・・」
ゴーレムの基本的な動きはその大きな体格を生かした拳、ボディーアタックの類、そして最初に不意打ちをしてきたビームによる攻撃だ。
ビームは予備動作があり、両の目が光り、エネルギーが集約してから放つので、しっかりと観察して、逃げに徹していれば当たることは無いし、当たると確実に死ぬので、子供達が当たると感じた時にはサポートしたりもしている。
「力強いー」
「転ばないー」
「皆で引っ張ろー」
そりゃ、相手の方が力が強いのだ。
バラバラにやっても何も成果は得られないだろう。
子供達はタイミングを合わせて、引っ張る。
3人の力を束ねればゴーレムの力に拮抗、まあ、少し負けているができるようになって、あと必要なのは重心である。
「はい、これでいいかな」
ウィリィンはゴーレムが立っている位置に滑る液体をバラまき、踏ん張る力を抑制した。
そして、ウィリィンも引っ張るのに加勢する。
「お?」
「おお」
「おー」
ドガーン!!!!!
その結果、見事にゴーレムはひっくり返り、大きく隙を晒した。
「あちゃ、うつぶせになったか。
流石に、これをひっくり返すのは大変だし、四肢もぎるか」
「おー」
「壊せ―」
「やれー」
倒す方向にまでは気を配れていなかった。
これでは鍵を入れることができない。
ゴーレムは手足をばたつかせながら、無様に抵抗をしているが、ウィリィンはその足にロープを巻き付かせ、相手の動きも利用しつつ、捩じる様に引っ張る。
すると、金属同士がこすれるような嫌な音を立てながら、曲がってはいけない方向に曲がり始めた。
「わぁぁぁぁ!?」
「難しいー」
「取れないー」
子供達も手足をどうにかもごうとするが、力負けして振り回されたり、うまく力の入れ方が分からない状態のようだ。
そんな様子を見つつも、ウィリィンは変な方に曲がったことで出来た隙間の中を確認する。
「っち、中もおんなじような素材かっ。
そうなると、もいだほうが効果的だね」
ウィリィンは内部に魔法の類を送り込み、破壊する手も考えていたが、中も同じ素材で出来ているとなると破壊には相応の火力が必要なことが分かり、諦めて、足をもぐことにする。




