第202話試験2日目
自身の部屋に戻ると服がベットの上に用意されていたのでドレスやらティアラやらを回収用だと思われる籠に入れて、ささっと今日の振り返りをする。
「確かに、攻撃を受けた回数は少なかった。
敵の数が少なかったのもあるし、直接的に狙われている時間が少なかったのも大きい。
戦闘能力だけを見られているわけではないのはそうだけど、要求されていることのハードルは結構高かった・・・」
思い返してみるとセリフをアドリブで考えさせたりとかなり無茶ぶりな要求が多かった。
その代わりウィリィンが矢面に立ち攻撃に参加したのは終盤の何回かだけであり、それ以外の場面は基本的に後方支援に徹することが出来ていたと言えるだろう。
「つまり、戦闘以外の部分で結果を出すことで相対的に戦闘を行う時間を減らすことができることが証明されたということ」
ウィリィンがそこそこの実力しかなければもう少し攻撃に直接関与しなければいけない機会は多かったというより、それ以外では貢献できない状態になっていただろう。
やはり、自身ができることはしっかりとアピールすることである程度試験の項目を分散させることができるだろう。
「問題はあと13日あるということ・・・。
これは仕方ないか」
流石にこれだけの期間があれば分散させられたとしても十全に確認する時間を確保されてしまう可能性が高いが、その回数を一回でも減らせるように立ち回るとしよう。
というか、14日連続試験とは、なかなかに恐ろしい期間だ。
他の子どもたちは測られているという意識はないので、疲労しているのはウィリィンだけであるわけだが。
「明日はどんな試験だろう・・・?
流石に二日連続劇ということはないだろうし、考えても無駄か。
寝よう」
ウィリィンは一通り振り返って結局対策しようもないことを再度認識し、強いて言うならば広く視野を持つこと、使えるものは何でも使っていくことを意識しようと思いながら眠りに落ちるのであった。
翌朝
昨日同様に身支度を整え、魔法陣へと向かう。
そして、景色が切り替わると、昨日と同じ部屋へと辿り着いた。
「あ、ウィリィンちゃんですね。
こちらへどうぞー」
「は、はい」
今日もフェアが案内をしてくれると思ったが、目の前にいたのはあったことのない生徒の方で、その人に促されるように今日の会場へと案内されていく。
ウィリィンは話しかけられることもないので黙々とついていき、そのまま何もしゃべらずに目的地へと案内される。
「昨日と同じ場所・・・」
昨日の会場と同じ場所であった。
ただ、受付をしている人もアプラではなく他の人である。
キリングくんデッドリーくんはいないようだ。
まあ、確かにここにいたら子供たちに色々と話しかけられたり、場合によっては戦いが始まりそうであり、受付の業務に支障をきたしそうだ。
「ウィリィンちゃんを連れてきました。
対応お願いします」
「はい、ウィリィンちゃんですね
はい、大丈夫ですね、中で開始までお待ちくださいね」
昨日同様謎のスキャンを全身にされて、受付の生徒に促されるように扉の中へと入っていく。
中には子供たちが既に何人もおり、昨日同様各々楽しく遊んでいるのだが、昨日と決定的に一つ違うところが存在する。
「あー、ウィリィン姫だー」
そう、ウィリィンの知名度である。
あれだけ昨日の劇で活躍したのだ、嫌でも子供たちの記憶居残る。
昨日はエンドロール時にそのまま舞台裏まで連行されたので子供たちとあまり絡む機会はなかったのでなんとも思っていなかったが、服装が違えど、流石に覚えていて、一緒に話したり遊んだりしたい子が大半だろう。
「ほんとだー」
「ウィリィン姫、姫の姿じゃなーい」
「ねー?あそぼー?」
ウィリィンは冷や汗を流しながら隠ぺいをかけながら部屋の中に入らなかったことを後悔する。
昨日の活躍や今後の人付き合いを考えるとここで素っ気ない対応をするのは悪手だし、まずもうナイフ片手にこちらへ向かってきている子が何人かいる時点で話しても意味がない可能性が高い。
あとは、姫として演じていた少しかしこまった話し方だが、上に立つ者のような感じがして少々距離感を感じてしまうだろう。
それに、ずっとこの口調で喋り続けるのもしんどいので
「皆、昨日ぶり。
あと、姫なのは昨日だけね?」
「姫じゃなーい?」
「あそぼー」
「雰囲気ちがーう?」
「わーい」
何人かがナイフを持った状態で襲い掛かってくるのでそれをいい感じにいなして転がしながら輪の中に溶け込もうとする。
目指すべくは周りと同じぐらいの子、一緒に遊んでいても常に注意が向かないようなレベル。
その中で適度に遊びつつ、うまく魔力や体力を使わないように立ち振る舞おう。
「皆何して遊んでるの?」
「ナイフで刺すー」
「魔法合戦!」
「組手―」
「追いかけっこ」
「そこら辺全部!なんでも!」
なるほど、一部平和そうなものも混じっていたが基本的には戦えば良いらしい。
「わー、楽しそう」
声色や表情から悟られないように十分に注意しながらウィリィンは肯定する。
ぶっちゃけどれもやりたくない。




