表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アース ダンジョン核を持つ少女  作者: 生けもの
1章 期待の新人探索者
6/141

005 はじめての依頼 2

 ー≪辺境の町 探索者ギルド≫ー


「「こんにちわー、依頼達成の報告に来ましたー」」


 アースとユッテが受付嬢のシリルに依頼達成の報告をした。


「………」

「???もしも-し!」

「…あっはい!はいはい!!」


 アースが背負っているカバンを()()()()シリル。

 背負っているアースが受付のカウンターくらいの小ささの為、背負っているカバンの大きさが際立っていた。

 大の大人が2~3人入りそうなほどの大きさのカバン。それにはパンパンに辛味草が入っている事が見て分かった。なぜならカバンに全部入りきらなかったのか、カバンから大きくはみ出している辛味草が覗いていた。


「えーと依頼の辛味草を採って来たんだけど、ここに出せばいいの?」

「りょ、量が多そうなのでカバンのまま預かってもいいですか?すぐ査定しますから」


 そう言ってシリルはカバンを預かり奥に引っ込んでいった。


 鐘1つ(30分くらい)ほど経つとシリルが興奮気味に戻ってきた。


「お待たせしました、えーと辛味草が1,2…26束で26,000コル、あと5本ほど『星振りの草』がありました。こちらは5本で50,000コルになりますが一緒に買い取りをしてもよろしいですか?」


 シリルが依頼達成の報告をしてくれ、2人はそのまま全てギルドに買い取りをしてもらうことにした。


「かしこまりました、では合わせて7万と6000コルになります」


 トレーの上に7枚の銀貨コルと6枚の銅貨コルを乗せて渡してきた。それを見たユッテがアワアワと慌てた。


「?ユッテどうしたの」

 ユッテの挙動不審な様子にアースが不思議に思った。

「どうもこうも、銀貨なんて見たことないわよ、すごい大金だよ!」


 はっと我に返り、今の話を聞かれてないかユッテがきょろきょろと周りを見回した。が幸いにも誰も気づいた様子はないようだった。

 思わぬ大金ゲットにユッテの目が”$”になっていた。


 採集の依頼でこんなに儲かるなら魔物を狩れたらすっごく儲かるんじゃないかな?でもそれだけ危ないって事だよね、う~ん危なくない魔物の依頼ってないのかな?


 目の前の大金に目がくらんだユッテは、うまくアースに依頼を受けさせる方法はないか考えていた。

 


 ー≪探索者ギルド ギルド長室≫ー


「失礼します。ご依頼の『星振りの草』をお持ちしました」


 シリルが『星振りの草』をトレーに乗せてギルド長の部屋へ入ってきた。


「ほう、もっと時間がかかると思っていたが、存外早く集まったみたいだね」


 ギルド長室のソファに錬金術師のクリフトが座っていた。

 錬金術師のクリフトは細身の体に金色の長髪、尖った耳のエルフ種だった。


「はぁ、あまりウチのギルドを私的に利用するのはやめてほしいのだが…」


 クリフトを非難めいた目で睨んだのは辺境の町の探索ギルドの(おさ)、レオナルドだった。

 ギルド長のレオナルドは元は上位ランクの探索者で短い茶髪に鍛え抜かれた巨体の持ち主だった。


「そんなつれない事を言わないでくれたまえ、そのために多額の寄付をしているのだからね」

「お前の金じゃないだろう」


 二人の間に険悪な空気を感じ取ったシリルは、半ば強引に説明を始めた。


「こほん! 本日、別の採取品の中に偶然クリフト様のご依頼の品がありましたので、品質が落ちる前にと思いお持ちしました」


 シリルの説明に頷きながら、クリフトが1本1本星振りの草を確かめる。すると途中で手が止まり注意深く確認し始めた。


「どうした?かなり強引に融通した物だぞ、これでも不満か」

「??どうかされましたか?本日持ち込まれたばかりなので品質は問題ないと思いますが」


 クリフトの様子にシリルが焦りながら説明をする。


「いや、問題はない。というかこれは星振りの草4本と()()()()()1()本だね」

「え?星降りの草?」


 シリルが確認するかのようにクリフトの言葉を繰り返した。

 名前も見た目もそっくりな二つだが含有魔力量とその質は明らかに別物で、星振りの草が1本10,000コルに対して、星降りの草は2,500,000コルもする代物だった。


「ふふふ、私は運がいい。これほどの品質で星降りの草(これ)が手に入るとは」


 クリフトが宝物でも眺めるように、星降りの草を見つめていた。


「無知な君たちに星降りの草がなぜ見つからないのか教えてあげよう」


 クリフトが二人を蔑みながら語りだした。


「星降りの草は魔力量が多い人間が星振りの草を摘んだ時にその者から魔力を吸収して()()()()()になるのだよ。だから魔力量が少ない人間がいくら探しても星降りの草は()()に見つからないというわけさ」


 そう言って、星降りの草と星振りの草を仕舞うと金貨5枚をトレーの上に置いた。


「ところで、さっき”別の採取品”の中に紛れていたような事を言っていたが、これを採って来た()()()()()()()()()は星降りの草どころか星振りの草の事すら知らない駆け出しの探索者がギルドに持ち込んだという事かな?」


 クリフトがシリルに確信しているように質問をした。


「あっあのそれは…」

「おい、他の探索者の事は誰であろうと詮索はルール違反だ」

「ふっ、そうだったね。ちょっと興味があったからつい質問をしてしまったよ」


 ギルド長のレオナルドがシリルをかばう様に会話に割り込んだ。

 するともう用はないとばかりにクリフトは部屋を出て行った。



「はぁ… ギルド長、私あの人嫌いです!いつも周りの人を馬鹿にして」

「気持ちは私も同じだが、彼が身を寄せているホーラン子爵はこの町を含む南部連合の顔役だからな。こちらとしても強くは出られんのだ」

「わかっています、わかっていますが…」

「ところで星降りの草を採って来た探索者はどんな人間だったんだ?」

「探索者登録をしたばかりのとても可愛らしい、まるで天使のような小さな女の子です。それが信じられないほど大量の辛味草を採って来て、その中に星振りの草がいくつかあったのですが… でも本当に星降りの草が混ざっていたんですか?こう言っては何ですがクリフト氏が間違っていたという事はありませんか?」

「それは無いな、奴が目利きで間違えるなんてありえん。それより…」


 レオナルドが一段階低い声でこれから起こる懸念点を吐露した。


「食い詰めている青銅あたりの探索者どもが(採集の依頼料目当てに)その子に手を出さないか心配だな」

「そうですね、確かにぐうたら探索者どもが(ロリ〇ン故に)手を出さないか心配ですね」

「「ふぅ…」」


 レオナルドとシリルは揃ってため息を吐いた。

初の依頼達成!だけど厄介な相手に目をつけられたようです。

ブクマや評価などリアクションがありましたら励みになりますのでお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ