020 クーちゃんの苦悩
ダンジョン核コアを胸に宿した10歳の少女。
…に救われた蜂の魔物。
アースとクーちゃんの出会いの物語、短めです。
【女王蜂クーちゃん視点】
我はこのロッタナ大湿原の一角を担う女王蜂、数多の狩人蜂を眷属に持つ蜂界の女王。
狩人蜂の下には飛沫蜂数十匹が付いていて”魔花蜜”を集めさせている。”魔花蜜”は我のみならず魔物、人間も欲しがる極上の甘味だ。滋養強壮の効果もある。
今日も”魔花蜜”の集まりは上々だ。我は女王としてこのまま蜂の一族が繁栄していくことを信じて疑わなかった。
しかしその我の思いは、いともたやすく砕かれた。
突然、鍵爪熊が現れ、我の王国が壊されたのだ。
ヤツの眼には我らの事は見えていない様で、眷属たちが集めた”魔花蜜”を貪ることにだけに夢中だった。
そして、”魔花蜜”が無くなると食後の遊びのように我らの巣が壊されたのだ。
もちろん、我も蜂一族のため眷属の狩人蜂を連れて果敢に戦った。
しかし、わが眷属はことごとく鍵爪熊の爪に切り裂かれた。
そしてついに全ての眷属がやられた。我も挑んだがヤツの爪の一振りに一刀両断された。
羽が無残に散り、飛ぶ力が失われた。
湿地の冷たい地面を感じながら、青い空を仰ぎ見た。
ここで我が一族は途絶えるのか、そう思うと悔しさがこみあげてきた。敵わないまでも何とか一矢報いたい。 そう切に願う。
「怪我してるの?」
声が聞こえた方に視線を動かすと、人間の子供と目が合った。
その瞬間、まるで絶対的ななにかに包まれたような安堵感に満たされた。
傷ついた身体に暖かな何かが流れ込んできて、痛みが和らぐ。身体の奥から活力が漲ってくる。
まどろみの中、次第に意識が薄れていった。
「……誰か、誰か助けて」
助けを呼ぶ声が聞こえると、なぜか焦りと、心配する気持ちが流れ込んできた。
急がないと、そう思った時には眷属である狩人蜂を外へ送り出していた。
「我が行くまでお前たちが主の手助けをするのだ」
瞬時に数百匹の狩人蜂が生まれ、助けを呼ぶ声の方へ飛んでいく。
アースの魔力によって生まれ変わった女王蜂。その眷属もその恩恵を受けていた。
金色の光をまとった狩人蜂が、鍵爪熊に襲い掛かった。
先ほどまで爪の一振りでやられていた狩人蜂が、信じられない速度で飛び回り、鍵爪熊の爪を軽々と避ける。
むしろ鍵爪熊の隙をついて針での攻撃でダメージを与えている。
しかし地力が違いすぎるため今一歩決め手に欠けていた。
じれったく感じていると、アース様の魔力で我の身体が形作られる。
そのままゆっくりと上昇し、種族の固有魔法で風の鎧をまとった。
我の存在に気づいた鍵爪熊が向かってきた。
――――小癪な!――――
ビュオオオオオオーーー
さらに魔法で風のトンネルを鍵爪熊との間に作る。これでどんなに速度を上げても狙いが外れる事はない。
準備は整った!
残りの魔力を全て後ろに放出して推進力に変え、我の身体を弾丸と化し鍵爪熊目掛けて飛んだ!!
ドスッ! 乾いた音が聞こえた。
その瞬間、我の身体は鍵爪熊の腹に大きな穴を穿った。
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