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ダメえもんシリーズ

ダメえもん ~いじめっ子撃退~

作者: moco

ある晴れた日、眼鏡をかけた小学四年のにょび太と自称スーパーロボットのダメえもんが外を歩いている。


「いい天気だね~。やっぱ、たまにはこうして外でお日さまの光を浴びないとね~」


「にょび太くんは昼寝ばっかしてるからね。運動しないと、もやしっ子になっちゃうよ」


「いいじゃん。もやしは旨い、安いで最高じゃん!」


「・・・叩き売られる運命だけどね」


何気ない会話のはずが、急に意味深そうな暗い顔になってボソッと呟くダメえもん。

それを見たにょび太は、何だか悲しくなった。

そんな風に二人で歩いていると、後ろから声を掛けられた。


「おい! にょび太!」


振り向くと、そこにはいつもにょび太をいじめている二人組が立っていた。


「あ! ピャイアン! それにクネ夫!」


驚くにょび太を後目に、ダメえもんが口を挟む。


「? 友達かい? ずいぶん変わった友達だね~。一人は言いにくい名前だし、もう一人はクネクネしててなんだかおカマっぽいし」


初対面の人に対して随分な言い方である。


「なに~? おい、にょび太! なんだ、そこのアホ面した丸っこいやつは!」


「ホントですよね~、ピャイアン様。知性のかけらも感じないですよね~」


仕返しのつもりなのかピャイアンもクネ夫もひどい事を言う。

これにはにょび太もついつい『ぷっ』と吹き出してしまうが、一応説明する。


「これはロボットなんだよ、ピャイアン。ダメえもんって言って、未来からやって来たんだよ~」


「なにい? ロボットだぁ?」


「うん。それに、不思議な道具(役に立たないけど)を色々出してくれるんだ」


すると、ピャイアンの目がキラリと光った。


「ほう? 不思議な道具を? ・・・おい、にょび太。そいつを俺によこせ」


「え?」


「わかってるだろ? 俺の座右の銘『お前のものは俺のもの 俺のものも俺のもの』を?」


まるでカツアゲするかのようにピャイアンは迫ってくる。


「なんだか政治家みたいなこと言うね~、このデブは。あいにく、僕とにょび太くんの絆はそんな簡単に切れるものじゃないんだよ。ねえ? にょび太くん?」


ダメえもんは呆れながらにょび太を見たが、にょび太はというと、


「あ、どうぞどうぞ」


と、あっさり売り渡した。


「ひ、ひどいよ! にょび太くん! 僕と君の仲はそんなあっさり塩味程度のものだったのかい?」


ダメえもんは涙目で訴えるが、にょび太はガン無視している。


「ようし。これで今日からお前は俺様の子分だ! ・・・じゃあ早速にょび太をイジメようか。なんかいい道具あるか?」


「にょび太をいじめる? それは最高ですね、親分。わかりました!」


先程と180度態度を変え、ダメえもんはポケットに手を突っ込む。


「こら~~~!! ひどいじゃない! ダメえもん!」


にょび太が抗議するがダメえもんは無視し、ポケットから筒のようなものを取り出した。


「ジャジャジャジャーン! 『空気砲 マグナムバージョン~~!』」


「空気砲? なんだそれは?」


「これはですね。ピャイアン様のようなビッグマグナムをお持ちの方用の、大型の空気砲なんですよ~」


ピャイアンのイチモツを褒めつつ、ダメえもんはピャイアンの腕に空気砲を取り付けていく。


「お、おお、そうかい。で、これをどうするんだ?」


褒められて満更でもない様子のピャイアンに、ダメえもんは使用方法を説明する。


「・・・って感じで撃つんですよ~。試しにあそこの電柱を撃ってみてくださいよ、ピャイアン様~」


乗せられるままにピャイアンが狙いを定め、空気砲を一発を放つ。すると、


ドドォン!


という轟音とともに電柱が倒れていった。


「こ・・・ こいつはすげえな・・・」


「すごい~ん、ピャイアンさま~ん」


「さすがピャイアン様、見事な腕前で」


満足げな三人組とは裏腹に、にょび太は顔面蒼白だ。


「こら~~、そんなの当たったら死んじゃうだろ~!」


にょび太の抗議が耳に届いていないのか、


「へへへ・・・ 俺、一度、人を撃ってみたかったんだよな」


ピャイアンは危ない目をして呟いている。そしてクネ夫も、


「やっちゃえ、やっちゃえ、ピャイアンさま~ん。当たっても、うちのパパが権力でもみ消してくれるよ~ん」


と、危ない発言をしていた。


「ふふ・・・ じゃあ思いっきり暴れられるってことだね」


クネ夫の言葉に安心したのか、ダメえもんはクネ夫用にと『空気砲 火縄銃バージョン』という小柄な空気砲を取り出す。

更に、自分はいつぞやの『人生やり直し機』という名の釘付きバットを持ち、ブンブンと素振をし始めた。


「「「ふふふ・・・ 覚悟はいいか(い)? にょびくん?」」」


血走った眼の三人が迫ってくる。


(やばい。この人たち、マジだ・・・)


そう悟ったにょび太は慌てて逃げ始めた。


「うわ~~ん、助けて~~!! 〇される~~~!!(泣)」


逃げ回るにょび太を三人が追いかけ回す。


「「「待て~~~! にょび太~~~ !!!」」」


ドン! ドン、ドン!


ピャイアン、クネ夫は空気砲を撃ちまくってくる。

しかしにょび太には当たらず、電柱や塀、自販機などが次々と破壊されていった。

そしてダメえもんは何か恨みでもあるのか、ペ〇ちゃん人形やカーネ〇人形などを釘付きバットでどつき回していた。


そうして時間が経ち・・・

夕方、テレビであるニュースが流れていた。


『本日、〇町でテロ事件が発生し、警察官が多数出動の上、少年二人と正体不明の物体一つが捕縛されました。主犯格と思われる正体不明の物体は「我々は選ばれし民なのだ」などと意味不明の発言を繰り返しており・・・』


ピャイアン、クネ夫、ダメえもんの三人は近所の人に通報され、警察のお世話になったのであった。

ピャイアンとクネ夫は少年ということですぐに釈放されたが、ダメえもんは暫く拘置所暮らしとなったそうな。

そのお陰か、にょび太にとっては平穏な時間が暫し訪れたのであった。


おわり

現在、連載小説「隻眼浪人と茶髪娘、江戸を翔ける!」も手掛けています。

こちらもぜひご覧になってください。(ブックマークや評価をしてもらえると励みになります。)


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