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すべてが終わったそのあとで  作者: 北田 龍一
転生したら世界が終わってる。俺が来た時にはもう遅い件について

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VS王の骸骨 1

改めて、この世界が終わってしまったことを自覚する俺達。特にカーネリアのショックは酷い。一度塔へ戻るかと尋ねると、彼女は首を振る。どうしてこうなったのかの手がかりを探したい。ただ塔に閉じこもりたくないと言い、俺に王城の魔物を倒してくれと言う。

 俺も俺で、確かに知っておきたい。巨大ドクロが不安だけど、俺達は王城に向かうことにした。

 城下町の魔物に絡まれたけど、一度行き来した時に蹴散らしたからか数は少ない。そんなに疲れる事もなく、俺は逃げ出した城門の前に立っていた。城の前の化け物……いや、魔物になってしまった衛兵が、槍を十字にして通せんぼしている。俺が最初に来た時に壊した門は、修復もされないまま開きっぱなしだ。

 これなら簡単に出入りできる。目の前に突っ立って縄張りの事を彼女に示すと、怯えながらもカーネリアが姿を現した。


「本当に……襲ってきませんね」

「だろ? 城で危なくなっても、門の外まで逃げれば問題ない。怖いのはデカい骸骨だけど、アイツも追ってこなかった。さっき言った通り、ヤバくなったらパン屋に逃げよう」

「クジョウさん……ごめんなさい、無理をさせます」

「大丈夫大丈夫、俺も確かめたいことだからさ。その時難しい言葉とか資料も出て来るだろうし……カーネリアさんには、その時頑張ってもらうよ」

「……わかりました。でも、気を付けて下さいね」

「おうよ」


 これから一仕事あるってのに、ちょっと女の子に応援されたらやる気出るんだから、我ながら現金だよなぁ。

 でも、彼女に向けて言ったことも嘘じゃない。俺の召喚周りはともかく、世界がどうしてこうなったかは知りたい事だ。カーネリアの推理も、全く外れてはいないと信じたい。

 俺は騎士剣を携えて、壊れた門へ正面から歩く。魔物になっても勤勉な門番へ、気迫を込めた一閃を浴びせた。

 鎧ごとバラバラに衛兵が吹き飛び、城門の中へ堂々と侵入。チート転生者のダイナミックエントリーだ! ものども! 出あえ出あえ!

 なーんて号令がかかったのかは知らないが、元衛兵と貴族様がドロドロ皮膚でお出迎えだ。深く考える事は避けて、俺は目の前の敵を千切っては投げる。


 最初ここに来たときは、右も左もわからなかった。

 目的もなく、何とか逃げ延びるので精いっぱいだった。

 でも今は違う。俺を見守ってくれる人がいて、俺たちには知りたい事がこの場所に眠っている。ちゃんと目標をもって前に進んでいる。たったのそれだけで、体の底から力が湧いてくるだから不思議だよな。

 誰であろうと俺への攻撃はほとんど届かず、こっちからの攻撃で一撃必殺だ。恐ろしい見た目だろうが、物騒な武器を握っていようが関係ない。ただ一体を除いてな。


「グオオオオオオオオオオオオオォッ!!」


 思い浮かべたらすーぐ来やがる。城の中に空いた隙間から這い出て来るのは、強烈な圧を持つ水色髪の王冠ガイコツ。縄張りを荒らされた事で、見るからにプッツン来ている状態だ。

 チリチリと五感を嬲る咆哮に、俺の皮膚が一斉に鳥肌を立ててしまう。食らっても一応大丈夫と分かっちゃいるが、デカくて、強いプレッシャーを放って、見るからに絶対強者と堂々とされてりゃ怯えちまうよ。呼吸は荒くなるし、手先もちょっと震えたけどさ……それでも俺は、巨大な化け物に剣を向けて告げる。


「お前を倒す。邪魔するな……!」


 コイツを倒さなきゃ、俺たちは前に進めない。覚悟を決め直して騎士剣を両手で握りしめる。巨大な怪物は悠々と迫り、俺を掴んだ右腕を伸ばしてきた。

 タイミングを合わせて剣を振りかぶり、真正面から切り飛ばす。最初に粉砕した時のように、木っ端みじんに骨の手が砕け散った。

 けれど痛みを感じていないのか? 今度は左手を握りしめ、真上から鉄槌のように振り下ろしてきた。ビビらずに剣を大振りに振って、逆に手首から切り落としてやる。

 吹っ飛んだ左手が城壁に新しい穴を空け、地鳴りは周辺に響いていく。周辺住人に気を使う必要はねぇ。どいつもこいつも、ぎゃあぎゃあ喚いて騒音まき散らしてるもんな。今更城が崩れたぐらいで、ガタガタ抜かしはしないだろう。

 文句があるのは目の前の巨大ガイコツだ。両手を無くしたその体で、今度は肋骨を前に突き出してくる。嫌な予感がした俺は、腕を十字に組んで備えた。


 吠える骸骨。胸を覆う肋骨が俺の方へ向き、なんとそのまま大量に発射してきやがった。肋骨のマシンガンなんて聞いてねぇぞ!?

 頭を丸め、出来るだけ体の面積を小さくして耐える。いや当たっても平気っちゃ平気だけど、巨大化した骨が一発体に当たる度、ものすげー嫌な音と痛みがあるんだわ。防御力に補正があっても、痛みが消える訳じゃないからな……

 やがて嵐が収まり、慎重に防御を解く俺。すっきりした胸部より、俺は骸骨の腕の方に目が行った。切り捨てたはずの両腕が、もう再生していやがる。最初の時もそうだったが回復早すぎだろ。こんなんチートやチーターや! いやお前が言うなって突っ込まれるな。絶対。


「こいつ不死身なのか……!?」


 俺はチート防御力のおかげでダメージは低く、常時回復オートリジェネで回復するから実質死なない。

 そしてコイツは、どれだけダメージを与えても再生するから死なない。互いに決定打ないまま、永遠と戦いの輪廻に飲み込まれる事になるのか? これじゃあ千日手じゃねぇか。まるで将棋だな!

 ところがどっこい、戦局を返る救いの一手は

 青白い光と共に現れるんだな、これが。

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