Kiss
それから数か月が過ぎ、衣千子との合コンは相変わらずだった。
でも、衣千子は年下の彼、木元 瀏遠さん。23歳。の相手と、ゆっくり付き合ってみようかな?と、ぼやきつつある。
優しくて一緒にいると安心出来るとか?
あれから時々、出掛ける事もあるらしく ――――
「ねえ、憐花。今度、4人で飲みに行こうよ!」
「えっ? 4人?」
「うん。高希君と瀏遠君の二人と私達。どう? 嫌?」
「ううん。別に良いよ」
「じゃあ決定ね! ちなみに高希君、年下だけど大人なんだから偏見しないで仲良くしなよ! 高希君、可哀相だよ」
「分かってるけど……」
「まあ、憐花が年下は自分とつりあわないとか思うんだろうけど恋愛には関係ないと思う。もし、憐花がそう思うなら高希君、気にしちゃうんじゃないかな?」
「………………」
そして、飲みに行く事になった当日 ――――
「衣千子ぉ~♪」
「今日は駄目~っ!」
「ええーっ! どうしてぇ~」
「駄目なものは駄目なの!」
「衣千子の意地悪~っ!」
「………………」
私はイジける。
「ごめんね。憐花」
「………………」
私は、お手洗いに行く。
お手洗いを済ませると、他のお客さんと、ぶつかってしまった。
相手側が足元がふらついていた為、私にぶつかって来たんだけど…………
「いってぇ~」
「す、すみません」
私は悪くないけど、つい謝ってしまった。
そこから去ろとすると
グイッと腕を掴まれた。
「ねえ、彼女一人?」
「えっ? いいえ、連れがいます」
「連れ? そんなの、こっそり抜け出しなよ~。俺と飲みに行こうよ! お姉さん美人だし、ぶつかった詫びに行こうよ」
「ごめんなさい! そういうわけにはいかなくて」
そう言うと、私を壁に押し付けた。
「や、やだ……離し……」
「憐花さん?」
「こ、高希君……」
高希君は、私達の間に割って入って相手の男の人を押し退けた。
「彼女は、俺の連れなんで辞めて貰えますか?」
「チッ! ちょっとからかっただけだよ!」
そう言うと、お手洗いに入って行く。
「大丈夫ですか?」
「うん……大丈夫」
私の頭を優しく撫でる高希君。
ドキン
「そう?」
「うん……」
そして、高希君は、お店のスタッフの人に、さっきの事を報告していた。
「さあ、戻りましょう」
「うん……」
「余りにもお手洗いから戻って来るの遅いって思って……混んでるのかな? とも思ったんですけど、気になって見に来たら絡まれてる感じだったから」
「まあ……ちょっと……違う意味でだけど……」
「何もなくて良かったです。まあ、怖い思いはしたかもしれないですけど、憐花さん美人だから」
私達は、二人の元に戻り、再び飲み、私は眠りに入っていた。
数時間後 ―――
「……あれ? 私……」
「憐花さん」
「高希君っ! ごめん……私……」
「良いですよ。二人に任せられたので、ある意味信頼されてるのかな? って嬉しく思いますけど」
「そっか……」
「ところで、憐花さん、年下苦手なんですか?」
「えっ?」
「衣千子さんから聞きましたよ。恋愛対象にならないとか?」
「あ……うん……」
「その理由は、“年下だから頼りにならない”とか。“自分を曝け出せない”とか……そんな所でしょうか?」
「だって自分が年下に甘えるのは想像つかないよ」
「そうなんですね」
「だから私に恋しても無理だと思う」
「ハッキリと言いますね」
「言うよ」
「じゃあ、もし俺が憐花さんを好きになったら苦労しそうですね」
「すると思うよ。振り向かせるのにお手上げに絶対なるから! 第一、私が高希君を好きになるって保証ないし」
――― そう ―――
これが当たり前だった
友達としてただ話して
その時間を普通に過ごしていた
それから、4人で集まって飲む事が増えてきた。
そんな中、瀏遠君と衣千子が付き合い始めた。
そんなある日、4人で飲んでいる時、高希君のお酒のペースが早く酔っ払う高希君の姿が身受けられた。
「高希?」
瀏遠君が名前を呼ぶ。
「……ん……」
「あーあ……寝ちゃったよ」
「高希君、何かあったの?」
私は尋ねた。
「ちょっと仕事でさー」
「「そっかぁ~」」
衣千子と私は同時に言った。
「こっちに来る時、トコトン飲むって言ってたしな」
「飲んで忘れるってやつだね」と、衣千子。
私達は、その話で盛り上がる中、私は、いつものように
「衣千子ぉ~、瀏遠く~ん」
「あっ! そうだった」
「そういえば……憐花……」
「キ~~スぅ~~」
「「お預けーーっ」」
二人に同時に言われ断られた。
「ひどーーい……二人が付き合っているからってーー」
ふくれる私。
「だって、お互いの唇は私達だけの唇だから」と、衣千子。
「「ねえー」」
二人は再び同時に言った。
「ズルい……何、何? 二人はラブラブだからってーー……」
次の瞬間 ―――
グイッ
私の腕を掴み引き寄せ頭を寄せられると唇が重なった。
ドキーッ
胸が大きく跳ねた。
ドサッ
勢いで倒れ込む。
「………………」
唇が離れ、私の上に優しい重みがある中、私の目の前にいるのは高希君の姿。
ドキーッ
私の胸が大きく跳ねた。
≪この体勢って……ちょっと……ヤバイ……≫
「………………」
「憐花さん、どうかしました? 物足りないですか? もう一回……する?」
ドキッ
聞き慣れない高希君の話し方に胸が大きく高鳴った。
≪ヤバイ……ときめいてしまった≫
「憐花さん、顔赤いですよ」
「し、仕方ないでしょう?……と、突然過ぎて……」
グイッと起こされ抱きしめられるようにされた。
そして、私達は飲み直した。