キス魔女子
「憐花、合コン付き合って!」
親友の、石河 衣千子から、合コンに誘われる。
「えっ!? ご、合コン!? や、やだ! 勘弁してよ~! ただでさえ私…………」
「良いじゃん! 合コン、行こう! 絶対だからね! 逃げたら承知しないよ~」
私、葉耶麻 憐花。25歳。
親友・衣千子の合コンにいつも付き合わされる私。
だけど、私の場合は盛り上げ役の為、男の人との出逢いを目的としていない。
盛り上げ役なので、それで皆が楽しいのであれば良いと私は思うのが今の現状。
だって私は ―――――
「ねえ~衣千子ぉ~キ~~ス~~ぅ♪」
甘えた声で言う私。
「はいはい」と、衣千子。
そして盛り上がる中、男女問わずキスをすると眠りに入る私。
「合コンかぁ~……」
憐花と衣千子のいる合コンを見て、ポツリと呟く男の人の姿。
「高希?」
「瀏さん……俺……恋する事……出来ると思いますか? もう1年になるのに、まだ吹っ切れてないんですよね……?」
「急がなくても、そのうち良い人、現れるだろう?」
「……だと……良いんですけど……」
しばらくして ―――
「飲み過ぎたかなぁ~……俺……」
そこへ ――――
「衣千子ぉ~~」
グイッと私は確認する事なく隣の人影の腕を引っ張る私。
「えっ?」
「ん……? ……あれ?」
衣千子にしては腕の感触が違う気がした為、
私は、下から上へと、ゆっくりと視線を動かしていく。
ドキーン
全く知らない男の人に私は驚いたのと同時に、胸が大きく跳ねた。
「きゃあっ! ご、ごめんなさいっ!」
サササ……
ガクッ……
後退りした直後、バランスを崩し転びそうになる。
「きゃあっ!」
「うわっ! 危ないっ!」
グイッ
私の腕を掴むと引き寄せ抱きしめられるようにされた。
ドキーン
胸が大きく跳ねる。
「大丈夫ですか?」
「は、はい、す、すみません………」
「いいえ」
ゆっくりと、お互い離れる私。
すると、そこへ ――――
「憐花」
「高希」
相手の連れと思われる人が駆け寄り、衣千子と共に、一人の男の人。
「さ、帰るよ」
「うん。あ、あの、すみません……」
私は、軽く謝りながらも会釈する。
「いいえ」
私たちは別れた。
「可愛い♪ 今の子」
「えっ? ……瀏……さん? ま、まさか……」
「彼女達と合コン!」
「えっ!? やっぱり……」
そして、私達を呼び止め、衣千子が、連絡先を交換しあい、お互いの都合がつく日に会う約束をした。