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結婚という選択肢

 薄目を開けると、そこはもとのかび臭い地下だった。ただし、さっきの地下牢ではない。近くには骸骨が転がっていた。


「まさか、噂に聞く地下迷宮?」


 第一次魔王征伐の際、魔王城にまで迫った討伐軍は、一気に地下迷宮に落され、脱出できずに多数の死者を出したという。


「土魔法【尖塔旋穿】」


 もう一度土属性上級魔法を発動し、天井を破壊する。だが、100mほど塔を伸ばしても、空が見えることはなかった。


「チッ、この迷宮、どんだけ深くに造ってあるんだか……」


 どうにかして最上階層を目指すしかないだろう。


 飛行魔法で一気に塔の先端まで飛び、そこから先は炎魔法を全身に纏い、体当たりで壁を破壊していく。なんだ。これを続けていけば、簡単に迷宮攻略できるじゃないか。


 と思い、天井をぶち抜いていくと、声がした。


「哀れ。天地の区別もつかなくなるとは。土魔法【重力渦】解除」


 すると、世界が反転した。飛行魔法のおかげで、天井、否、地面に叩きつけられることはなかったが、これはかなりの衝撃だ。なぜなら私は、今まで地上ではなく地下を目指してひたすら迷宮の最下層を目指していたことになるのだから。


 これほど広範囲の重力魔法を使えるとなると、敵は相当な手練れということになる。


「あんたは誰? どこにいるの? 隠れてないで出てきなさい? 私はね、あくまで友好的な話し合いをしに来たの」


「そんなことは知っています。魔王様から聞きました。魔王様はこの世の現在を全て見通す力を持たれている。あなたが魔王討伐を目指す勇者ダルクの部下だという時点で、あなたの言動の全ては筒抜けだったというわけです」


「なるほど。それで……ってあと、私はダルクの部下じゃなくて『元仲間』だから!」


「フッ、どうでもいいことです。それより、魔王様はお世継ぎを待望しておられます。ですが、魔王様の子種の宿す強大な魔力に耐えうる女性はなかなか見つからず。という状況でしてね。あなたがその候補に選ばれたのですよ」


「な! 私に魔王の子供を産めと?」


「そういうことです」


 バカげた話だ。だが、


【ハハハッ、人間と魔族の共存? なら君が魔王と政略結婚でもして、和平を結ばせてみるかい?】


 私を笑ったダルクの言葉が甦る。


 そうか。


 魔王の妻になれば、ちょっとお願いするだけでルーラオムを一般開放するくらいしてくれるかもしれない。あわよくば、カルネス王国との和平を結ばせるなんてことも……それは厳しいか。


 だが、私の理想郷づくりの第一歩として、悪い話ではない。問題は、魔王の子供なんてものが産まれ出て来るとき、私のお腹が引き裂かれたりしないかということなんだけども。あるいは、魔力を子供に全部吸い取られるなんてことも考えられる。


 危険な賭けだ。


「なにか心配しているようですが、」


 相手はそんなこちらの心情を察したかのように続ける。


「魔王様は自分の血をあなたに分け与えられました。これであなたには、魔王の子供の出産という難事に耐えうるだけの素質は与えられたというわけです」


 思わず首筋に手をやる。


 あの時注入されたのは、毒ではなく魔王の血液だったのか。


「魔王様の血の秘める魔力に耐えられるというだけでも大したものですが、これであなたは魔族の身体に近づいたのです」


「じゃあ何? 魔人化とか、できるってこと?」


「そうですね。出産の際は、魔人化して頂けると安全性がぐんと高まります」


 魔人化してやる出産って、どんなだよ……


 想像もつかないが、人間と魔王のハーフが産まれれば、その子は平和の象徴となるかもしれない。悪い話ではないな。


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