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魔王との対面

 縄で両手を後ろ手に縛られ、剣も取り上げられて馬車に乗せられる。目隠しもされた。久しぶり……というか、初めてだな。こんな経験は。


 それにしても……魔王シェムハザとルーラオムは関係の深い場所というのは、どういう意味なのだろうか? 聖地ルーラオムと、二千年前から大量殺戮を繰り広げる魔族の王との間に、どんな繋がりがあったというのか? まさか、ルーライとシェムハザには何か因縁でもあるのだろうか?


 いずれにせよ、そうした因縁がなければ、わざわざ聖地ルーラオムを占領するなんてことはしなかったはずだ。


 やがて馬車は目的地に到達し、乱暴に外に連れ出された。索敵魔法で魔王軍本隊の戦力を探りたいところだが、下手に魔法など発動しては気絶させられるだけだろう。


 無抵抗のまま、かび臭い地下牢に放り込まれるところまで、どうにか我慢した。目隠しは外された。牢の外にはオークの看守が一人。鎖も、鉄格子も、看守も、私なら素手でどうにかできる。


 そろそろ、魔王とやらに会いに行くか。


 手錠と鎖を難なく引きちぎると、鉄格子を曲げ、オークの顔面に蹴りを食らわせ、地下牢を抜け出した。そのまま索敵魔法を発動させると、最上階に特に強力な魔力反応があった。


 魔王シェムハザで間違いないだろう。


 私を取り押さえようと暗黒騎士たちが続々と集まってくる。一気に駆け上がるか。


「土魔法【尖塔旋穿】」


 土属性上級魔法を発動させると、床下の地面が隆起し、螺旋状の塔と化して魔王城の天井を次々と貫いていく。


「なっ、何が起きている?」


「これほど大規模の魔法を、一体誰が?」


 暗黒騎士どもが戸惑っている隙に、私は螺旋の溝の一つに捕まり、土の塔が伸びていくのに任せて、最上階へ上っていった。


 そして、奥の玉座に鎮座する黒衣の男が見えた時点で、塔を飛び降りる。


 すかさず近衛兵らしき四人の悪魔が襲い掛かってくる。


「聖魔法【浄華聖焔】・十連」


 上級聖魔法による結界を張ると、悪魔たちは大やけどを負い、地面を転げまわった。聖魔法は、魔族の最も苦手とする属性の魔法だ。


 結界を維持したまま、私は玉座へと歩み寄る。


 そこに鎮座する男は、一見普通の人間と何ら変わりない。


「あんたが魔王シェムハザ?」


「そういうお前は、勇者ダルクの部下だな?」


 こいつ、なぜそんなことまで知っている? それと、私はダルクなんかの部下ではない。あくまで対等な『元仲間』だ。そこがムカつくな。


「部下じゃないけど……っていうか、なんで知ってるの?」


「私に知らないことなどないからだ。私は世界の全てを見通す目を持つ。お前が来ることも予期していた」


「そう、なら私の話を……」


「極大魔法【無間地獄】」


 刹那、莫大な量の闇属性魔力が上からのしかかる。反対属性の【浄華聖焔】を十個重ねて張っているというのに、凄まじい圧を感じる。


 なんて魔力量だ。耐えるので精いっぱいだ。攻撃魔法を放つ余裕すらない。


 そのまま膝をつき、うなだれる。このままでは、確実に圧し潰される。


 そう思った時、魔王の背中から触手が伸び、首筋に噛みついてきた。口がついている触手とは、気持ち悪いな。しかも、何か液体を流し込まれる感覚がある。


 あぁ、ここで毒でも流し込まれて死ぬのかな。


 理想郷づくりなんて息巻いて来たけど、やっぱり一人じゃ魔王には勝てないか。


 そんなことを考えていると、だんだん意識が遠ざかっていった。


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