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魔王のプライド

 イグニスから奪ったメダルは溶けかけていたが、とりあえず4枚揃った。


これで魔王の嫁入り決定だな。さっきは手も足も出ずやられたが、今度こそは勝つ。そして魔王を尻に敷いてやる。間違っても亭主関白的な態度など取らせない。


なぜなら、全力全快の私が、魔王程度にやられるはずがないからだ。


私が支配し、魔王が服従する。


断じてその逆ではない。


そう意気込んで玉座の間に突入したのだが、ついに魔人化が解かれた。


これまで魔王の血がもたらしてくれていた恩恵が無くなり、一気に体力と魔力の消耗した状態に戻った私は、そのまま地面に倒れこんだ。


「無様だな。まぁいい。メダルも四つ集めたようだしな。しかし、見事な戦いぶりであった」


 魔王シェムハザは淡々と告げる。まるで実際に戦いの様子を見ていたかのような口ぶりだ。確か、シェムハザには現在起きている全ての事象を把握することができるとかなんとか言っていたな。それで私が来ることも事前に察知していたとか。


 ちょっと待て。


 じゃあなんでメダルを集めさせる必要があったのだ?


 意図は知らんが、全く悪趣味な奴だ。


「私と戦ってみるか? 勇者の部下よ。もっとも、歩くことすらままならないようだがな」


「くっ、だから私は勇者の部下じゃなくて元仲間だっての! あんなのの部下になった覚えはない!」


「フッ、どうでもよいことだ。それより、テラルから聞いているだろうが、私の子を産むつもりはあるか?」


 本来は軽々しく決めるべきものではないのだろうが、今の私には大義がある。


「あんたを尻に敷けるのなら、子を産むことも厭わないわ。もちろん、自分が産んだ子だからには、最大限の愛情を注ぐ! 魔王の子だろうとね」


「ほう」


 シェムハザは、僅かに感心したような素振りを見せた。といっても、表情が少し緩んだように見えただけだが。


「それならば、お前を妻として迎え入れてやってもいいぞ」


「上から目線ね。気に入らないわ。夫婦になるなら立場は対等のはずよ」


「ほう。たかだか十数年しか生きていない定命の分際で、ほざくではないか。格の違いを教え込んでやろうか?」


「今の状態で私を痛めつけても、あなたの魔王としての沽券が損なわれるだけじゃない? プライドも重んじなければ、魔王とは呼べない」


 すると、魔王は純粋な魔力の塊を射出してきた。いつもの私なら簡単に避けられるが、満身創痍の今ではそれも叶わない。私は直撃を免れず、ボロ雑巾のように宙を舞った。


「勘違いしているようだな。人間。プライドを気にするのは半端なプライドしか持ち合わせていない者だけだ。私のように圧倒的な力を持つ者にとっては、いかなる賞賛も批判も平等に無価値なのだよ」


 承認欲求など失って久しいといったかんじの言葉だな。さすがは二千年生きているだけのことはある。


 今度は私が感心する番であった。


「大した自尊心ね。で? 人の下半身を間接的に焼き焦がしておいて、謝罪の一つもないわけ? それと、イグニスにはちゃんと回復魔法かけたんでしょうね?」


「私の秘書が治療している。問題ない。お前の方は、魔人化して元通りになったわけだし、問題ないだろう」


 意外と部下思いなんだな。だが、そこは魔王といえど、しっかりしてもらわなくては困る。


「そ。じゃあ私のことも治してくれな……」


 そこで私の意識は途切れた。



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