第一話、がらくた
第一話、がらくた
自分の話ばかりする男は嫌われる。そんなことは百も承知だけど、あともう少しだけぼく自身の話をさせてほしい。これは、5ページ以内でひとが死ぬような話でもなければ、なにかとくべつなPKに目覚めるような刺激的な話でもない。
なぜならこれは、ぼくの物語だからだ。
我慢して聞いてくれたあかつきには、剣と、魔法と、異世界と、美少女が登場する話をしてやろう。期待してまってもらいたい。
ちなみに、剣が登場するというのは大ウソで、しかし魔法が登場するというのも実は嘘で、だがしかし、異世界が登場するというのだけはほんとうに嘘だ。
だがしかし、美少女が登場するというのはほんとうの話だ。
嘘なんかじゃない。
ぼくが愛用するスタンスミスのシューズをかけてやってもいい。ただし念押しさせてもらうと、美少女というのだけは、である。
ぼくの話に戻ろう。
ぼくの名前は漆原倫太郎。県立岩城第三高校の生徒だ。身長は176センチで、体重は64キロ。最近聴いている音楽は神聖かまってちゃんとピクシーズで、ザゼンボーイズ経由で背伸びして聴いたフランク・ザッパの良さは残念ながらまるでわからなかった。
得意なことはバスケで、
好きなこともバスケだった。
なぜ、過去形かという質問に対し、これからぼくは数十ページほど時間をかけて懇切丁寧に説明しようと思う。