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めいど・いん・はうす  作者: 池田 真奈
第一章 大剣使いの冒険者と小さな侍女ライリ
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第88話 ママを悲しませないで

『ご主人様、思ったより早く私の元へ来てくれたのですね。 嬉しいですわ。 並み居る強豪を蹴散らして最後に勝利を収めたのが私なんて』


目の前にいるクレアが随分と嬉しそうにしてやがる。

おいおい、やっぱり俺は死んじまったのか?

あれだけ感じた痛みも綺麗サッパリって感じになってやがる。

まぁ、途中から痛みも感じなかったけど、アレは死に近付いていたって事なのかも知れねぇな。


「そんな事よりアイツらは大丈夫だったのか?」


白い仮面の奴らの生き残りとかいたら厄介なんだが……


『大丈夫ですわ。 力尽きたご主人様を目にしてキレたアンナさんが皆殺しにしてましたから』


まぁ、アンナを怒らせたら怖ぇのは俺が良く知ってるけどよ……

ライリは……悲しんだろうな。

済まねぇな、幸せにするって誓った側から死んでたら世話ねぇよな。


「それにしても生まれて来る子供の顔も見ずに死ぬ事になるとはな……」


アンナも未婚の母にしちまったしな。

随分と酷い男だよな俺って奴は……


『その事ですが…… 残念ですけどお腹の赤ちゃんは…… もう生命反応を感じませんわ』


無理して死なせちまったって事か?

本当に救えねぇな……

やっぱりこの世に神様なんていねぇんだよ。


「だとしたら赤ちゃんの魂はどうした? もう天国とかに行っちまったのか?」


せめて一緒に逝ってやらねぇとな。

父親として出来る最初で最後の事になる訳か。


『ほらっ、ご覧下さい。 アンナさんから抜け出て来た小さな光を…… アレがご主人様の赤ちゃんですわ』


クレアに言われて下を見れば、辺りに転がる白い仮面の奴らの真ん中に立って呆然とするアンナが立っていた。

その視線の先には少しずつ雪を被り始めた俺が倒れてやがる。

やっぱり死んじまったんだな。

感傷に浸る俺に向かい小さな光が漂いながら近寄って来る。

俺が父親だって分かるのか?

両手を伸ばして小さな光を包み混んでやる。

済まねぇな…… 馬鹿な親父を許してくれ。


『ママヲカナシマセナイデ……』


小さな光から声が聞こえた気がする。

驚いた俺がクレアに振り返るとどうやら同じ声が聞こえたらしく驚いた顔をしていた。


『ご主人様…… その赤ちゃんを私に……』


クレアの言葉に従い小さな光をそっと手渡す。

両手で包み込むようにしているクレアが耳元に両手を近付けて何やら頷いていた。


「おい、一体何だって言うんだよ?」


『本当に親孝行な息子ですわ。 弱かった自分の代わりにパパには生きて欲しいそうですの。 それに私が寂しくないように一緒に逝ってくれるなんて……』


胸に両手を押し抱くようにしたクレアが涙を流していた。

ちょっと待てよ、子供が親より先に逝く事はねぇだろうが!


『ご主人様、早くアンナさんの元へ…… ですが、赤ちゃんの頃の記憶なんて儚く消えてしまうものですわ。 死霊使いの指輪を使うのです、アレは使者と生者を繋ぐ……』


おいっ、使うってどうすりゃいいんだよ!

クレアの奴、肝心な事を話さずに逝っちまいやがった。

それにしても幸せそうな顔をしてたな。

俺よりガキの方が良かったのかね?


「旦那様! どうして…… こんな…… ご主人様の嘘吐き!」


ライリが俺の死体を目にして泣き叫んでやがるぜ…… 本当に済まねぇな。

だがよ、待っててくれ…… 俺は必ずお前の元へと戻るからな……

クレアの奴はアンナの元へ行けって言ってたな。

だったら目指すのはアンナの子宮って事か……

ちょっと引っかかるものはあるが仕方ねぇ!

待ってろよ…… ライリ!



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