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めいど・いん・はうす  作者: 池田 真奈
第一章 大剣使いの冒険者と小さな侍女ライリ
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第85話 最初の花嫁

王都にある小さな教会に俺達はいた。

窓から外を眺めれば辺りは白く雪化粧に染まっている。

俺達の門出に相応しいだろうよ。


「新郎は健やかなる時も、病める時も新婦を敬い愛する事を誓いますか?」


「ああ、誓うぜ!」


「新婦は新郎を愛し、富める時も、貧しい時も、これを励まし、これを助け、命ある限り真心を尽くす事を誓いますか?」


「誓います」


「ここに夫婦の契りを交わし、二人を夫婦とみなします」


「では…… 誓いの口付けを」


ヴェールをゆっくりと捲り上げると幸せに満ち溢れた花嫁の顔が姿を現わす。

小さな教会で厳かな誓いの言葉が交わされ、互いの唇が重ねられた。

そして…… 俺達は晴れて夫婦になったのだ。


「ご主人様、ライリは幸せです…… まさか、こんなにも早く結婚出来るなんて思いませんでした」


純白のウェディングドレスに身を包んだライリが喜びを口にしていた。

流石にライリに合うサイズのドレスも無かったからな、今着ているのは特注品になる。


「おいおい、ライリ。 もう俺はお前のご主人様じゃないんだぜ。 呼ぶなら別の呼び方があるだろうよ」


思わず苦笑いを浮かべる。


「そうでしたね。 旦那様」


恥ずかしそうに…… そして満面の笑みでライリが答える。

神の前で愛を誓い合った二人が寄り添い並んでいる姿には不自然さを感じずにはいられないだろうよ。

あまりにも二人の身長差が大きかったからな。

まぁ、背だけじゃねぇか…… 年の差もだな。

あの時に俺がランス国王陛下に頼んだのは、来月のある一日だけ成人して結婚出来る年齢を15歳から10歳に変えて欲しいと言う願いだった。

それも憲法を発布するのは、その日が過ぎてからの事後発表にして悪用を防いで貰っている。

そしてライリの10歳の誕生日が訪れた今日を待って二人は夫婦になったって訳だ。


「結局、一番手はライリちゃんだったのね。 来月は私の番だけど…… そもそも一ヶ月おきってどうなのかしら?」


本当ならアンナが一番最初になる予定だったからな。

その件については済まなかったと思う。

式を終えた俺達の所へみんながやって来たが、ライリはヴィッチやマリンにウェディングドレス姿を褒めらて真っ赤になっていた。


「だったら合同結婚式にして欲しかったか? 二人っきりの思い出も何も無くなるが、それでも良かったんだな?」


それが一番楽で良かったんだが、流石にそれはあんまりだろうとやめておいたんだがな。


「うっ、ゴメンなさい。 やっぱり毎月一人ずつで良いわ」


アンナも二人っきりの思い出と聞いて思い直したようだ。


「一週間おきも考えたんだが…… 慌ただしくなりそうだからよ。 どうせ春まで王都にいるしな。 この先長い付き合いになるんだから、退屈な冬の時期に毎月イベントがあった方が面白いだろ?」


12月のライリの誕生日に合わせた結婚式を皮切りにして、これから毎月結婚式の予定だ。

ちなみに1月がアンナ、2月がヴィッチ、3月にクレアと続き、4月には国を挙げてのマリンとの結婚式と俺の伯爵位の授与式が予定されている。

そしてアンノウン伯爵として領地へと向かう手筈だ。

夏には俺とアンナの子供も生まれる予定だから来年も色々とありそうだな。


「アンナ様、ブーケをお渡ししますね。 来月はアンナ様の番ですから…… きっと素敵な花嫁姿なんでしょうね。 羨ましいです」


ライリだって十分可愛らしいとは思うが、花嫁衣装だからな…… 流石に無理があるか。

美人でスタイルもいいアンナなら文句無しの花嫁姿が拝めそうだぜ。


「もう…… アンナ様じゃないでしょ。 アンナさんとかにしなさいよ。 メイドじゃなくてアイツの妻になったんだもの」


受け取ったブーケを嬉しそうに抱えながらアンナがそう口にしていた。


「はい、アンナさん」


そんな二人のやり取りを眺めている俺。

まだ少しぎこちない感じはするが、その内に慣れるだろうよ。

出来る事なら俺達の両親にも出席して貰いたかったが、ライリの父親は病んでいるし無理があるだろう。

どちらにしろ冬の時期には無理だったな。

それが分かってて決行しちまったんだから、俺が悪いんだけどよ。


『皆さんが羨ましいですわ…… 私もウェディングドレスを着てみたかったですのに……』


クレアが残念そうに呟いていた。

そう言えばクレアは死んだ時に着ていたメイド服のままだもんな。


「そう言えばクレア、そのメイド服は脱げるのか?」


メイド服を脱げればウェディングドレスを宙に浮かせて着ているように見えるかも知れんが……

それじゃ着ているとは言えねぇか。


『まぁ…… 私の裸に興味がおありなのですか? ご主人様が望むのであれば、二人っきりの時なら私はいつだって脱いで差し上げますわ』


自分の身体を抱き締めながら恥らうクレア。

下から持ち上げられた大きな胸が上下に踊っていた。

おいおい、何か勘違いしてねぇか?


「……旦那様。 私と結婚式を終えたばかりだと言うのに、他の女性に対して早速そのような事を口になさるのですか?」


ライリ、ちょっと待て!

可愛らしいクセに、その笑ってねぇ目が怖えよ……


「後で…… お仕置きですからね」


一体何をされるんだ…… 俺は。

ライリの怒りは何とか鎮めなきゃならねぇとして、困った問題が一つ発生しちまったな。

クレアの花嫁衣装か…… どうすりゃいいんだ?



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