表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
めいど・いん・はうす  作者: 池田 真奈
第一章 大剣使いの冒険者と小さな侍女ライリ
83/172

第84話 やっぱり侍女が好き

突然ライリが口にした発言に驚きながら、冗談なのか本気なのかと本気で迷う俺。

多分どっちも正解なんじゃねぇかと思う。

でも今はまだ無理だと俺もライリ自身も頭の中じゃ分かってる。

だからこそ、口にしてみたんだと俺は思う。

ライリの部屋を後にした俺は二階にあるアンナの部屋に向かう事にした。


「おい、アンナちょっといいか? 買って来た物があるんだけどよ」


王都に買い物に出た際に、今後必要になる物を色々買い込んで来ていたからな。


「どうしたのよ、一体何を買って来たの?」


ベッドの軋む音がしていた事から横になっていたんだろうなと思い浮かぶ。

つわりって奴かな?

早い女性だと一ヶ月目から辛いって聞いたんだが、そうなると後半はかなり辛くなるみたいだからアンナも大変かも知れねぇな

そうなると家に女性が多いのは心強い。


「男の子か女の子か、まだ分からねぇからな…… とりあえずどっちでも着れそうな黄色の服を買っておいた。 やっぱり風邪とか引かせたら大変だからな。 後は泣いた時にあやすガラガラもあるぞ!」


その他にもおしゃぶりとかおんぶ紐とか気になった物を買ってある。


「ふふふっ、パパは随分と気が早いみたいね。 この子が生まれるは来年の夏頃になるのを知ってる?」


そんな事を言いながらもアンナは嬉しそうだ。

買って来た服を広げてみながら満更でも無いって顔をしているからな。

考えてみれば、この俺がパパって呼ばれるようになるのか…… そうなると生まれて来る子供のためにも未婚の母なんてマズイよな。


「善は急げって言うからな。 急ぐと言えば…… アンナ、俺と結婚してくれないか?」


こうなったら早い方が良いだろう。

腹が目立つようになっちまったら、ウエディングドレスも着れなくなっちまうからな。


「えっ? 私はライリちゃんが大人になるまで待たされるんだとばかり……」


ライリが成人するまで5年以上あるんだぞ。

それまで待つつもりだったのかよ。


「何だよ、アンナは結婚したくないのか? 子供が生まれる前に純白のウエディングドレスを着せてやりたいと思ったんだが」


ちょっと調子が狂うなと思ったのも束の間、アンナが俺に飛びつくように抱きついて来た。


「したいに決まってるじゃない! アナタがそんな風に考えてくれていたなんて……」


喜びの涙を瞳いっぱいに溜めたアンナが感情を抑え切れずにいるようだ。

俺は少し身を屈めてアンナを受け止めてやる。

暫くの間お互いの温もりを感じ、その存在を確かめ合うかのように抱き締めあっていた。


「愛してるわ…… アナタだけを愛してる。 だから…… 私をアナタの妻にしてください」


伸ばした腕を首に巻き付けたアンナが俺の耳元で情熱的に愛を囁き、そして懇願する。


「ああ、勿論だ。 長い間待たせて済まなかったな」


みんなにも話をしなくちゃなんねぇな。

後は俺とマリンの出会いを仕組んだとしか思えないジーニアス準男爵がどう出るかだが……

本当に食えない男だからな。


「大変です、旦那様! ランス国王陛下がお忍びでジーニアス準男爵邸を訪れたと父から知らせが来たであります!」


俺が思ってたよりも随分と早いな。

しかも国王まで来るとは向こうも本気って事なんだろうぜ。

俺は急ぎ国王陛下の元へと向かう。


「久しいな侯爵領の英雄。 元気そうで何よりじゃ。 此度はジーニアス準男爵の娘との婚約も決まったそうでは無いか。 言葉通りの英雄と言う事かのう」


ランス国王陛下がジーニアス準男爵邸にある執務室に置かれた豪華な椅子に座り、その横に持ち主でもある準男爵が立っていた。

何やら嬉しそうにしているのが気味悪い。

俺はライリを始めとして、皆を連れてこの会見に臨んでいる。

多分、皆にも関係のある話になると思ったからだ。


「それについては恥ずかしい限りです。 無礼を承知で伺いますが、陛下の本当の目的を聞かせて欲しいんですがね」


もう敬語もクソもねぇな……


「孫のマリンの婿に会いに来たと言えば驚くかのう。 ヨハン・ジーニアスは儂の隠し子だと言えば話は早いだろう。 儂が侍女に産ませた子だ。 血は争えんと言う事か」


おいおい、なんかとんでもねぇ事を言い出したぞ。

マリンが国王陛下の孫だって事か!

ちょっと待てよ…… マリンも母親は侍女だって話だよな。

血は争えんって言うのは親子二代で侍女との間に子供を作ったって事か。

しかも内緒って言うのも同じとはな……


「ここまで話して気付いたか婿殿。 我ら三人には共通点があると言う事に」


共通点って…… 侍女だよな。

俺とライリの関係って事か?


「それってライリの事か?」


皆の視線がライリに集まる。


「えっ! 私ですか? ご主人様…… 一体何なのでしょうか?」


ライリが俺に不安を隠せない様子で俺に寄り添って来たが、それを見たランス国王陛下とヨハン準男爵が揃って微笑んでやがる。


「其方が男爵位を蹴った理由が、その小さなライリと言う名の侍女と聞いて興味を持ったのだ。 更に小さな侍女の両親を救うためにアンダーソン伯爵を倒そうと宿敵に近いパープルトン侯爵と手を組んでまで儂の前に現れたのだから、中々に楽しませて貰ったぞ」


それって自分達と同じように侍女が好きな奴が気になっただけじゃねぇか?


「初めは単に婿殿に興味を持っただけだったのだが調べれば調べる程、その人柄に好感を持ったのだよ」


ライリとの出会いが俺に国王陛下との出会いを作ったって訳か…… コイツはやっぱりとんでもねぇ奴だな。

チラッとライリを見ると互いに目が合う。

不安そうに俺を見上げてやがるな。

また自分のせいで俺に迷惑をかけたとか思ってるんだろうぜ。


「大丈夫だ、ライリ。 例え何があってもお前を受け止めると約束したろ。 何も不安に思う事はねぇよ」


「はい、私も同じ気持ちです。 ご主人様」


さぁて…… 侍女好きの二人が何を言い出すのか分からねぇが、ライリにだけは悲しい思いはさせねぇからな。






3万PVありがとうございます。

感謝申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ