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めいど・いん・はうす  作者: 池田 真奈
第一章 大剣使いの冒険者と小さな侍女ライリ
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第72話 ライリの後輩

俺の口から出たクレアの名前に反応したのは彼女を良く知るアンナだった。


「ちょっと待ってよ。 クレアさんは成仏したんじゃなかったの?」


そんなアンナが驚いて声をあげる。

他の奴らは何の事かって言う感じだな。


「いや、成仏してねぇよ。 今も俺の横にいるからな。 ロイ・ガーランドの屋敷で沢山の美女達の遺体と一緒にクレアの遺体が燃え尽きた際に成仏したんだと思ってたら夜になって帰って来やがったんだよ。 何故か以前は見えていた筈のアンナに見えなくなっちまったから不思議なんだが、これのせいかもな」


俺は死霊使いの指輪をみんなの前に翳す。


「それって死霊使いの指輪でしょ? 何だか後生大事にして指に嵌めていると思っていたけど、私はクレアさんを偲んでだと思ってたわ。 アナタだけに見えるのは絶対にそのせいでしょ!」


俺もそうは思うんだけどよ……


「ちょっと貸してみなさいよ」


アンナが手を差し出して来る。


「いや、外したりしたらクレアが我を忘れて暴れ出すんだよ。 終いには呪い殺されそうでよ」


みんなが呆れた顔で俺の方を見ている。


「それって完全に取り憑かれてるわよ……」


アンナが深く溜め息を吐く。


「ご主人様は自分にその気が無くても女性に対して気を引くような言葉を並べるから惚れられ易いとは思っていましたけど…… まさか幽霊にまでとは思いませんでした」


ライリが遠い目をしながらアンナに続けて溜め息を吐いているんだが…… 俺ってそう言う評価だったのか?


「話が見えないのですけれど、貴方が幽霊に取り憑かれていると言う事ですか?」


ヴィッチが小首を傾げながら聞いて来る。

マリンや師匠も興味ありそうに俺を見ていた。

仕方がねぇな…… 俺が口にしたんだから、ちゃんと説明するしかねぇよな。


「王都にある高級旅館【朱雀館】に出没していた幽霊がクレアだ。 幽霊の噂があったのはライリも知ってるな。 俺はクレアに依頼されて彼女を殺して遺体をコレクションしている変態野郎のロイ・ガーランドって奴の屋敷にアンナと幽霊のクレアの三人で乗り込んだんだが、奴が手にしていたのがこの死霊使いの指輪って訳だ。 奴はこれを使ってクレアの遺体を操ってやがったが、クレアの機転で奴を倒す事が出来たんだ。 その後に遺体も全て焼却して全て終わった筈だったんだがクレアか俺と一緒にいられないのが未練で成仏出来ないと言い出してよ…… 今に至ると言う訳だ。 ちなみに屋根裏部屋がクレアの部屋だぜ」


みんなが俺の話を黙って聞いていたが、色々と思う所はあるみたいだ。


「悪い幽霊では無いんですか? 悪霊とか……」


ライリが信じられないと言う顔をしながら聞いて来る。

まぁ、見えないんだから仕方が無いかもしれんがな。


「王都で白い仮面の集団にお前が襲われた時に、奴らが仲間割れしたのはクレアの仕業だ。 ライリ、お前にとってクレアは命の恩人なんだぜ。 レストランに二人で行った帰りも、あのイヤミな男が手下を引き連れて襲って来たんだが、幸せそうなライリに嫌な思いをさせたくないからと、お前に憑依して気付かないようにしてくれたのもクレアだ。 本当に心の優しい奴なんだよ」


「そうだったのですね…… 不思議な事もあるものだとは思っていましたが、ありがとうございますクレア様」


見えないクレアにお辞儀するライリ。

流石に見当違いな方向を向いているがな。

ライリには思い当たる節があったから理解してくれた様だ。


『まぁ、ライリ先輩ったら私に"様"を付けて呼ぶ必要はありませんのに』


クレアが嬉しそうに笑みを浮かべていた。


「クレアが"様"はいらねぇってよ…… ウチのメイドとしては、お前の方が先輩なんだとさ」


それを聞いたライリも嬉しそうにしていた。

後輩が出来た訳だからな。


「おい、死霊使いの指輪って言ったな。 ちょっと俺に触らせてみせろ!」


そう言うや否や俺の左手を握る師匠。

いきなり手を握るんじゃねぇよ…… 男同士で気持ち悪りぃだろうが!


「ほぉ、中々の美人だな。 生きていりゃあ、お相手願いたい程だぜ」


師匠の言葉に皆が驚き、我先にと死霊使いの指輪に触れていく。


「やっぱりクレアさんだわ。 全く…… 成仏したと思ってたのに」


アンナは呆れたような口振りだが、その表情は久しぶりの友人に再会したかのように何やら嬉しそうだった。


「あら…… 王都で見た事のある顔ですね。 確か王宮で一番優秀な侍女と呼ばれていた方ね」


何だよ…… ヴィッチは顔見知りかよ。

流石は以前から王宮を訪れていた事もある元侯爵様だぜ。


「私の後輩ですか…… うふふっ」


ライリはメイド服姿を着た大人の美女が自分の後輩だと知って何だか嬉しそうだな。


「私も噂は聞いた事がありました。 王宮付きの侍女が失踪した事件があって、王都を訪れていた冒険者が解決したと…… その冒険者とは旦那様だったのでありますか?」


マリンも王都在住の兵士だったから事件の事は知ってたみたいだが、俺が関わってた事までは知らなかったらしい。


「あらっ、指輪から手を離してもクレアさんの姿が見えるみたいですけど……」


ライリの言葉に皆が手を離して確認する。


「ホントだわ…… 以前みたいに見えるわね」


アンナにも見えるらしい。

これが死霊使いの指輪の魔力なのか?


「良かったなクレア。 これで寂しい思いをしなくて良くなるぜ! 話し相手も出来たんだから」


これで夜の二人っきりの会話タイムも終いだな。


『ご主人様! 皆様とお話出来るようになったとしても、毎晩のお勤めは継続して頂きますわ』


おいっ! 夜のお勤めとか響きが悪いだろう!

みんなが白い目で見てるじゃねぇかよ。

特にアンナなんか凄い目で睨んでやがるぞ。

クレア、笑ってないでちゃんと説明しやがれ!



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