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めいど・いん・はうす  作者: 池田 真奈
第一章 大剣使いの冒険者と小さな侍女ライリ
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第67話 懐かしの故郷へ

ハイランド王国の王都カラミティから遥か東方に位置するマイセン辺境伯領。

辺境って名前が付くくらいだから田舎だと思いきや、王都と同じとまではいかないが小王都と呼ばれる程に独自の発展を遂げている。

隣接するアクバル帝国との国境に位置する重要な地でもあるため、軍事的にも強大な力を誇る。

そして辺境伯領の外れにある小さな村が俺達の目指す場所になる。

その村こそが俺の故郷って訳だ。


「ご主人様のご両親へのご挨拶するなんて今から緊張してしまいます。 どのような方々なのでしょうか?」


「そうだなぁ…… 親父は頑固で人の話を聞きやしねぇし喧嘩っ早い。 お袋は親父のどこに惚れたんだか分からねぇが、正反対の性格をした優しい女性だったな。 二人共まだ生きてればの話だけどよ。 もう十数年間会ってねぇからな」


16歳の頃に家を出て既に十数年間手紙すらも出してねぇしな、俺なんか死んだと思われててもおかしくはねぇよ。

逆に言えば俺の両親が生きてるって保証もねぇからな。


「将来、私の義父様や義母様になる方々ですから一生懸命お世話したいと思います」


「ああ、宜しく頼むぜ」


まぁ、ライリなら普段通りにしてりゃあ問題無いと思うがな。

10歳にも満たないライリをいずれ俺の妻になる女性だと説明した時に親父とお袋は一体どんな顔をするだろうか……

こうなった以上は覚悟はしているが、やっぱり言いにくいぜ。

それよりも四人も連れて行く時点でアウトだよな…… 呆れられるだろうよ。


ライリは前向きだったが、アンナやヴィッチは完全にびびっちまっていた。

他の奴らはそれぞれが違う反応を示していた。

アンナは一緒に暮らす訳でもねぇのに「義母様と仲良く出来るのかしら?」とか早くも嫁姑関係に悩んでやがる。

ヴィッチの奴は「結婚が六回目って事を知られたら何と説明すれば良いのでしょう?」とか聞いて来たが、流石に全員殺しちまったとは言えねぇわな。

マリンは…… 特に変わらねぇな。

前回と違って置いていかれず一緒に旅へと連れて行って貰えた事が嬉しいらしく、ずっとニコニコしてやがる。

変わらずマイペースでいられるのはある意味尊敬するな。


みんなを幸せにしてやりたいと言う俺の宣言通り、今回はクレアも連れて来ていた。

他の奴らみたいに話して挨拶する事は出来ねぇけど、せめてクレアにも会って貰いたいと思ったからだ。

馬車を操縦する俺の横には嬉しそうにしたライリが座っている。

他の奴らは二頭の馬達が牽引している幌馬車の方に乗っているんだが空いている席にクレアが座っているなんて知る由も無いだろう。


今回の旅に乗り合い馬車を使わなかったのには俺達だけで旅をしたかったと言う理由からだ。

旧侯爵領を出発した俺達は王都を経て伯領領、子爵領を経由して既に目的地である辺境伯領の外れまで到達していた。


「このペースなら二、三日後には俺の実家に辿り着けると思うぜ。 それにしても大丈夫なんだろうな…… 特にアンナとヴィッチは緊張し過ぎなんじゃねぇか?」


野営の準備を済ませ焚き火をみんなで囲みながら雑談をしていたんだが、二人の様子が気になって声を掛けてみる。

確かに俺もライリの両親に会う時はかなり緊張してたけどよ。

いずれアンナとマリンの親にも挨拶に行かなきゃなんねぇな。

ヴィッチとクレアの両親は既に他界しているらしいから墓前へ報告をしようと考えている。


「そんな事言ったって…… もしも嫌われたらとか考えたら怖くなっちゃうんだもの」


「私も女郎蜘蛛などと呼ばれていた過去をご両親様が知っていたらと思うと心配で仕方がありませんわ」


二人して道中ずっとこんな感じだからな。

何だか青い顔をしてやがるんだが……

コイツら…… 実際に親父とお袋に会ったら倒れちまうんじゃねぇか。

しかも故郷にはもう一人厄介な奴がいるんだよなぁ。

まぁ、あれから随分経つからな…… 一体今はどうしてるのやら。


『ご主人様、どうやらこちらに誰かが近付いて来る気配を感じます。 気を付けて下さいませ』


クレアが何者かの気配を察知したらしい。

俺が立ち上がり大剣に手を伸ばすとアンナも何かが起こる事を理解して慌てて右腕にパタを装着していた。


「こんなに女性が大勢とは随分と華やかだな。 そのハーレムの主はどんな奴だ?」


おいおい、その声はまさか……

現れたのは無精髭を生やした初老の男性。

俺を見て驚くのも無理はねぇよな。

こんな所で何してやがるんだよ。


「ちょっと待て! お前はノウンの所のガキか? まだ生きてやがったとは驚きだな」


そりゃあ、コッチのセリフだよ。

師匠…… 十数年ぶりだって言うのに相変わらず失礼な奴だぜ。




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