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めいど・いん・はうす  作者: 池田 真奈
第一章 大剣使いの冒険者と小さな侍女ライリ
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第55話 愛の告白

私のミスからお騒がせしましたが、通常通りの掲載に戻ります。

第54話も昨夜の内にアップし直してありますので、読んで貰えたら幸いです。

俺の前を黙って歩くライリが何だか大きく見えるのは何故だろうか?

たまに本当に子供なんだろうかと疑問に思う事すらあるのだから不思議なものだ。

ライリのために宿が用意したのは最上階のスイートルームって事で、やはり国王陛下の影響が大きいみてぇだな。


「ライリ…… 本当に済まなかった。 お前に憎まれ役を演じて貰うなんてよ」


俺は部屋に入るなり床に土下座してライリに謝る。

本当にこれくらいしないと俺の気が済まねぇからな。

ゆっくりと俺の方へ歩み寄る微かな足音が聞こえて来る。

そして地面に頭をつける俺の頭上からライリが優しく俺に語りかけてくれた。


「ご主人様の不始末を何とかするのもメイドの務めです。 でも本当に困った人ですね、私の未来の旦那様は…… さぁ、頭を上げて下さい。 それとも嫉妬深い私を見るのも嫌になりましたか?」


力を込めて瞑っていた目を開けるとライリの小さな靴が映る。


「そんな訳ねぇだろう! 何かちょっとしたタイミングでライリの事を考えちまったりしてよ…… 今は何をしてるかとか、ここに居たらこうしてただろうなとか。 正直言って子供相手に変だとは思うんだが、でも傍にいてくれないと寂しいって言うか…… 俺は馬鹿だから心の中で考えるだけで、自分の本当の気持ちも相手へ満足に伝えられないんだが、これだけは言える…… 俺はお前を愛してる!」


「……嬉しい。 でも… ご主人様。 そう言う事はちゃんと私の目を見て言うものですよ」


慌てて頭を上げた俺は目に涙を溜めて今にも泣き出しそうなライリと目が合う。


「愛しています、ご主人様」


ライリの言葉通り、愛の言葉は相手の目を見て言うもんなんだな…… 凄く心に響きやがる。


「俺もだ、ライリ…… 愛してる」


俺の言葉に応えるかの様に小さな身体で俺を抱き締めてくれる。

力を込めて怪我をさせやしないかと、恐る恐る背中に手を回しながら俺もそれに応える。

そして暫くの間、お互いの体温を感じ安心にも似た気持ちを抱くのだった。


「早く…… 大人になってくれよ。 お前にはしてやりたい事がいっぱいあるんだからな」


「はい、精一杯努力します。 それと私も同じ気持ちだと言う事は知っておいて下さい。 ……その時を楽しみに待っていますね」


俺達を知らない奴が見たら白い目で見るんだろうぜ。

当人達が至って本気なのは分かって貰えねぇんだよ。

まぁ、仕方ねぇだろ。

以前の俺だったら絶対にあり得ない話だぜ。

それに最初に出会ったのが俺で良かったよ。

他の奴がライリを知ったら、きっと惚れちまうだろうからな。


「ああ、今はこれが精一杯だ」


小さな婚約者の小さな額に軽くキスをする。

恥ずかしくなった俺は身体を離すと立ち上がる。


「あ…… 私からもいいですか?」


そんなライリの言葉にしゃがみ込む俺の顔は赤くなっていないだろうか。

ライリが俺の頬に軽く唇を寄せてから恥ずかしそうに微笑んでいた。





ソファーへと移動した俺達はライリの淹れてくれたお茶を飲みながら寛いでいた。


「ご主人様にはわざわざ父を迎えに来てくれたと言うのに申し訳無いのですが、父の事は母と話して既に決めてあるのです。 少し静かな場所で二人っきりで、ゆっくりと過ごして貰うのが良いだろうって」


聞いている話だと身も心もボロボロみてぇだからな、それもいいがろうがよ……


「ライリはやっと会えた両親と一緒に暮らせなくてもいいのかよ?」


俺はケンカして家を飛び出しちまったからな。

親父やお袋はどうしてるんだろうか……


「急に父だ母だと言われても実感が湧かないって言うのもありますけど…… 私はやっぱりご主人様と一緒に暮らしたいです」


そりゃあ、俺も同じ気持ちだぜ。


「じゃあ、明日はせめて挨拶くらいして帰るか。 先立つ物も必要だろう。 その辺りは任せてくれよ。 ライリを俺に出会わせてくれた、せめてもの心遣いだ」


「ありがとうございます。 ご好意に甘えさせて貰いますね。 きっと父や母も喜ぶとか思います。 でも娘の結婚相手が自分達より年上だって知ったら父は驚くでしょうね。 うふふっ」


母親も最初は絶句してたからな。

今は温かい目で見てくれてるけどよ。


「それを言わないでくれ、俺だって気にしてるんだぜ」


明日はライリの両親に挨拶か…… 畜生、緊張しちまうぜ。

クレアがいたら憑依して代わって貰いてぇ所だが、こればっかりは俺が何とかしなきゃいけねぇ事だからな。


「もう遅い時間ですから、お風呂を済ませて寝てしまいましょう。 ご主人様からお先にお入り下さい」


「そうか、じゃあそうさせて貰うか」


こっちの部屋の風呂は最初の部屋とは違い、広さも段違いだったが、風呂も俺の想像を超えていやがった。


「何じゃこりゃ! 風呂の中にジャングルがあるぞ」


広い風呂の中には南方特有の植物が植えられてやがる。

篝火が焚かれ浮かび上がる景色に息を飲む。


「どうしたのですか! ご主人様……」


俺の叫び声にライリが何事があったのかと風呂場に飛び込んで来やがった。

目の前に広がる光景にライリも驚いたらしい。

そして俺と目を合わせて笑い出す。

俺は全裸だったが、気を使って下は見ないようにしてくれているみたいだ。


「色々とおかしな旅館ですね、何故かベッドも回転するんですよ。 あれでは寝ていて目が回ってしまうのでは無いでしょうか?」


「違いねぇな、でも俺達と一緒だよ。 良さって奴は分かる奴にしか分からねぇって事さ」


人の価値観って奴は人それぞれ違うからな。


「なぁ、ライリ。 どうせなら一緒に風呂に入るか? こんな面白い風景を一人で見るのも勿体ねぇからな。 タオルを巻いて来れば恥ずかしくないだろう」


「……十分恥ずかしいです。 でもご主人様がそう言ってくれるなら、喜んで御一緒させて貰いますね」


一人岩風呂に浸かって夜空を見上げながらライリを待つ。

少しするとライリが白い大きめのタオルを身体に巻いて戻って来たが、顔は既に真っ赤になってやがるな。

ゆっくりと俺の隣へとやって来ると腰を下ろして寄り掛かって来た。


「綺麗な星空ですね、こうやってご主人様と眺められるなんて私は本当に幸せ者です」


「それは俺も同じだ」


今日、この日の夜を俺は一生忘れないだろう。

それはライリも一緒だと俺は思っている。




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