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めいど・いん・はうす  作者: 池田 真奈
第一章 大剣使いの冒険者と小さな侍女ライリ
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第48話 第一夫人の座

「パーティ会場が随分と騒がしいと思えば貴方でしたか。 やはりクレアもいるのですか?」


クレアの姿を探すアニスに俺は自分の右上辺りに浮いているクレアを指差して教えてやる。


「亡くなった貴女に元気ですかと問うのは変な話ですが、元気ですか?」


それを見たアニスは見えない筈のクレアに向けて笑みを送りながら問い掛ける。


『うふふ、すこぶる元気ですわアニス様』


「すこぶる元気だそうだぜ」


クレアの言葉をアニスに伝えてやると目を細めて喜んでいた。


パーティも終盤に差し掛かった頃、俺はアニスに会うために会場を抜け出していた。

ヴィッチ侯爵とアイリス伯爵夫人については、それぞれが明日の御前試合での戦利品になる事が既に決まっており、公平を期するために本日は王宮に留め置かれる事になっている。


「明日の御前試合に参加するハメになってな、ダスト伯爵って奴の非道を正すために必要なんだとよ。 御前試合はアニスも見るのか?」


どう言う規模なのかも知らねぇんだよな。


「普段なら殿方の戦いなどに興味は無いのですが、貴方が参加するのならば是非見てみましょう」


へ〜 侍女長クラスなら観戦に来れるって事なんだな。


「だったら、応援宜しくな! それとアニスには頼みがあるんだよ……」


俺は明日のイベントの締めに必要な面子を王宮に招き入れる段取りをアニスに頼んでおく。






「お帰りなさいませ、ご主人様。 お疲れではありませんか?」


朱雀館に戻った俺はロビーで俺の帰りを待っていたライリの出迎えを受ける。

今日は本当に心細い思いをしただろうから、不安なんだろう。


「ああ、待たせちまったみたいだな。 アンナも済まなかった。 話は大体まとまったぜ」


そろそろライリにも話してもいいだろう。


「ライリ、俺は王宮でお前の母親に会って来た。 名前はアイリス、お前の面影がある女性だったから一目で分かったよ」


「私の母親? 祖母からは私の両親は亡くなったと聞いていますが…… それは一体どう言う事なのでしょうか?」


不思議そうな顔をして首を傾げているライリ。

そりゃあ、会った事もねぇ死んだはずの両親がいきなり生きてるって言われてもなぁ。


「生まれたばかりのお前を逃して両親は捕らえられたらしい。 詳しくは母親からは明日聞いてくれ」


話して欲しくない事もあるだろうからな。

それに父親は未だに幽閉されているんだからよ。


「明日…… 私の母に会えるのですか? そこに父もいるのでしょうか?」


「父親は別の所に囚われている。 明日、事が済んだら助けに行くつもりだ」


囚われていると聞いてライリの表情が曇る。

また自分のせいだと責めているんだろうな。


「大丈夫だぜ、ライリ。 お前には俺達が付いてるからな!」


「はい…… 私は皆さんに出会えて幸せです」


俺は泣きじゃくるライリを優しく抱き締めて少しずつ落ち着かせてやる。


「でよ…… 実はヴィッチ侯爵とライリの両親をダスト伯爵から取り戻すために共闘する事になってさ。 ヴィッチ侯爵は、そのダスト伯爵って奴を陥れたいらしくて珍しく利害が一致したんだよ。 その…… 一芝居打つためにヴィッチ侯爵と形式上で婚約する事になってな……」


ライリとアンナは呆気に取られている。

そりゃあ…… そうだろうよ。

急な話だからな。


「私との婚約はどうするのよ!」

「私との婚約はどうするのですか?」


二人がほぼ同時に俺を問い質す。

くっ、遂に来たか…… この時が!

ライリとアンナもそれは一体どう言う事かと互いに顔を見合わせている。


「済まなかった! 全部俺が悪いんだ、許してくれ!」


こうなったら…… もう土下座してひたすら謝るしかねぇ!

俺は床に額を擦り付けて謝罪する。


「全く…… 本当にしょうがないんだから! どうせアンタの事だから、私達を悲しませないようにと答えを引き延ばして墓穴を掘ったんでしょ?」


「ご主人様は確かに今は無理だと仰ってましたけど…… 証が欲しいと迫ったのは私ですから」


「あっ、それは私も同じだわ……」


もう…… 俺はお終いだ。

明日はライリの母親を賭けて伯爵と決闘をするなんて知れたら更に怒るよな……


「ハァー 惚れた弱みって言うのかしらね。 今更嫌いになんてなれる訳無いでしょ! こうなったらもう仕方が無いわ」


「はい、アンナ様の言う通りです。 こうなったら私達二人一緒に結婚して貰うしか方法がありませんね」


『結婚はご主人様が亡くなった後になりますが、私の事も忘れないでくださいね』


三人もかよ…… ヴィッチ侯爵も満更でも無さそうだったが…… まさかな? いやいや、相手は女郎蜘蛛だぞ! いつ殺されても不思議じゃない相手だけは勘弁して貰いたいぜ。

でも何だか俺が介入する事も無く、どうやら話はまとまったらしい。

思ってたより楽に済んだな…… こんな事なら、もっと早くに話せば良かったぜ。


「でも…… 第一夫人の座だけは譲れないわ!」


「わ、私も同じです! ご主人様、私が一番だって言ってください!」


『うふふっ、死んでからもずっと一緒の私が真に永遠の伴侶ですわ』


結局、あんまり変わってねぇよ……

それよりもオープンになった分、タチが悪くなってるじゃねぇか!




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