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めいど・いん・はうす  作者: 池田 真奈
第一章 大剣使いの冒険者と小さな侍女ライリ
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第45話 鉄拳アンナ



「……で、何で皆殺しにしちゃったのよ! 一人は生かしておいてって言ったじゃないの。 これじゃ情報が手に入らないし、場合によっては人質とか証人とか色々と使い道があったかも知れないのに」


アンナはかなりご立腹の様子だった。

俺が最後まで生き残っていた異形の集団のリーダーを皆殺しにした事が気に食わないらしい。

それなりに情報は引き出したし、もう用は無かったと思うんだがな。


「いや、まずライリに危害を加えられないように両腕を斬り落としたんだよ。 それと舌を噛んで自害されると困るから歯を砕いてだな…… 最後に逃げ出さないように両脚を斬り落としたら死んじまったんだよ。 ホント根性ねぇのな」


ウンウンと俺の話を聞いていたアンナの怒りのボルテージが頂点に達したらしく、彼女の鉄拳が俺の顔面を捉える。


「ハゥ! い、痛えなぁ…… 何もグーで殴る事ねぇだろうが!」


この鼻血が出そうな感覚が俺は嫌いだ。


「それで生きてられる人間なんかいる訳ないでしょうが! 全く何を考えてるのよ……」


そうか? 俺なら大丈夫な気がするんだが。


「でもよ、色々と情報は引き出してあるんだぜ。

だけど…… ライリにどう話していいかって思っててよ」


ライリは冒険者ギルドへと向かう途中で逸れた朱雀館の主人でもあるフィリックと再会して、今は二人でお互いの無事を喜びあっている。


「どんな話かしら? 聞かせて貰えたら私も一緒に考えてあげるから」


確かに一人で悩むよりアンナに相談した方が正解かもな。

俺は奴が語っていた伯爵領の城に囚われているライリの父親と、恐らく無理矢理に伯爵と結婚させられただろう現在の伯爵夫人にしてライリの母親の話をアンナに聞かせてやる。

伯爵の非道な行いも包み隠さず話してやったが、夜の営みの件はアンナにはインパクトが強過ぎたらしく暫くの間だが絶句していた。


「アナタは助けに行きたいんでしょ? ライリちゃんのご両親の事を。 でも伯爵を殺害して伯爵夫人を攫ったなんて世間に知れたら縛り首とか極刑は間違いないわよ? それでも助けに行きたいのかしら? それとライリちゃんのご両親が生きている事は言ったらダメよ。 話すにしても無事に救い出してからね。 じゃないとあの子は伯爵領に一人で向かうわよ」


うっ、確かに貴族殺しは重罪だから極刑は免れねぇだろうな。

両親の事もライリには話さない方が良いのか、確かにライリなら一人で助け出しに行こうとしそうだよな。


「ああ、分かった。 ライリには話さないのは決めたとして…… 両親の件は少し考えてから行動する事にするわ」


やっぱりアイツを殺しちまったなのは早まったかな? 生きてりゃ伯爵の悪逆非道な行いの生き証人になったかも知れねぇしな。

いや、伯爵がそんな奴は知らねぇとシラをきれば意味はねぇか。


『ご主人様、アニス様にご相談なさってみてはいかがでしょうか? 各貴族領についても詳しい方ですよ』


そうか、あの婆さんなら何か知ってるかも知れねぇな。


「アンナはライリと一緒に行動を共にしてくれるか? 俺は少し調べたい事があるからよ」


ライリを一人にする訳には行かねぇからな。

正直言えばアンナをアニスの所へ連れても行きたくないのもある。

こうして俺が幽霊のクレアと会話が出来るなんて知られたくないしな。

幽霊とかが大の苦手なアンナはクレアが本懐を遂げて成仏したと思ってるから、俺に取り憑いてるとか知った時の反応が怖いんだよ。


「勝手に一人で伯爵領とか行ったりしないでしょうね?」


「行くわけねぇだろ……」


「だったらいいわよ。 あんな事があったけど今夜も朱雀館に泊まるつもりだから、アナタはちゃんと私達の元へ帰って来るのよ!」


そんなに信用ねぇのかな?

……やっぱり言われてたにも関わらず、最後の一人を殺しちまったからだろうな。


「へいへい…… 分かりました」


ここは大人しく従っておかないと、また鉄拳が飛んで来そうだぜ。


「ライリ! 俺はさっきの報告とかしなきゃならねぇから、お前はアンナと一緒に行動してくれ。 心配しなくても、夜までにはちゃんと戻るからよ」


「はい…… 分かりました」


やっぱり元気ねぇな…… 自分のせいだと思い悩んでいるんだろうぜ。

それと…… 俺には絶対に礼を伝えなけれりゃならない奴がいる。


「フィリックさん…… だったよな。 ライリを助けてくれてありがとう。 心から感謝してる。 あと、旅館の件は巻き込んじまったみたいで済まなかった。 せっかく軌道に乗り始めたばかりによ」


殺人事件があった旅館って噂になっちまうからな…… 客足が途絶えなきゃいいんだが。


「心配なさらずにライリ様がご無事で何よりでした。 我が朱雀館の従業員が不幸に見舞われたのは悔やみきれませんが、残された遺族には誠心誠意尽くして行くつもりです」


コイツ…… 笑い方は気味悪いけど案外いい奴だったんだな。

三人と別れた俺は王宮へと向かう事にする。

クレアが言うには侍女長を務めるアニスへ俺が来たと伝えれば会えるようになっているらしい。

前にアニスが俺の家に来た時に、今度王都に来る事があったらと話していたそうだ。

まぁ、俺はその間はクレアに憑依されてたから全く記憶はねぇんだがな。

何らかの打開策が見つかればいいが、伯爵とは厄介な相手だぜ。


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