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めいど・いん・はうす  作者: 池田 真奈
第二章 小さな冒険者と美しき侍女ライリ
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第18話 汚れてるとか言うんじゃねぇ!

ユナに敵だとまで言われてショックの余りに逃げ出したマリンを追いかけた俺は、ロビーの近くで漸く捕まえる事に成功する。


「ちょっと待てよ! なにも子供相手に逃げ出す事もねぇだろう」


マリンの手を掴んだ俺はそう言ったもののユナの辛辣な言葉はコイツをかなり傷付けたんだと知る。

震えて座り込んじまったからな。

だが俺の予想とは違う答えが返って来たのには驚かされる事になる。


「私だって好きで結婚したのではないであります。 跡継ぎを産むようにって無理矢理連れ戻されて、好きでもない男の相手を強引にさせられ…… ううっ…… 思い出すだけで汚らわしい。 やっぱり私は旦那様のお相手には相応しくないって思ったら急に恥ずかしくなって……」


全部俺が死んじまったせいじゃねぇかよ。

お前にそんな辛い目に遭わせていたなんて…… 済まなかったな。

ヴィッチとは違ってマリンは好き合って結婚した訳じゃねぇのか。

ヨハンとランス国王を恨みたくなって来たが、それもこれも俺のせいだよな。

そんな目にマリンを遭わせなきゃならなかったんだから俺は逆に恨まれたろうよ。

クソッ、時間でも戻せたらな…… あの日の夜にでもよ。


「俺はせっかく家庭を築いて旦那や子供もいるんだから掴んだ幸せを大事にして欲しいと思っていたが、そんなにも嫌だったら別れて俺の元に戻って来いよ。 お前を幸せに出来るのはやっぱり俺しかいねぇだろ?」


座り込んだマリンを背中から抱き締めてやるとマリンが驚いた様子で俺を振り返る。


「戻って来いって言ってくれるなんて…… 私なんかで良いのでありますか?」


「おいおい、今更何を言ってやがる。 それでお前が幸せになれるのなら、俺がこの国から奪ってでも幸せにしてやる。」


「……他の男に汚された私でも?」


「もう二度と自分を汚れてるとか言うんじゃねぇよ! この俺がお前を欲しいって言ってるんだぜ? だがマリンにも領主と言う立場があるから今すぐにとは言わねぇ。 まずはそう思ってる男がお前にはいるんだって思って自信を持て! マリン、お前は魅力的な女性だ」


俺の言葉を聞いて目を丸くしたマリンが涙を流しながら笑ってやがる。

泣いたり笑ったり忙しい奴だぜ。

俺がマリンを連れてみんなの元へ戻るとユナの姿が見えなかった。

どうしたか聞くと小便を漏らしたらしい……

子供とは言え、子爵令嬢が何やってやがる。





「何とか決闘が始まる前に間に合いましたね。 今度こそは傍にいられるように後の事を文官達に任せて駆け付けて来ました!」


アンナ達が王都にやって来た日の夜にヴィッチまでもが遅れて到着したか、大切な会議をすっぽかしてまでやって来たマリンと比べて随分と対照的だな。


「そんなに心配する事はねぇだろうよ。 旦那のコルツはどうしたんだよ?」


「今回は留守番を任せました。 領主印を持たせましたから重要な決済なども彼が行う事が出来ます。 後は…… 知りません」


そう言いながらあらぬ方向を向くヴィッチ。

おいっ! ダメだ…… やっぱりヴィッチも政務を投げてやがる。

俺が呆れた表情を浮かべているとスタスタとマリンが俺の元へやって来た。

何やら強い決意の程が伺える。


「旦那様、今夜は誰と寝るのですか? 宜しかったら私とご一緒して欲しいであります!」


いきなりのマリンの申し出に皆が騒然とする。

寝るって言っても大人しく寝るだけじゃないんだろうな…… きっと。


「ちょっとマリンちゃん! 旦那さんの事はどうするの?」


アンナもかなり困惑気味だ。

俺とは一線を越えないと言う協定をヴィッチとは結んでいるらしいが、その事についてはマリンとは話もしていなかったろうからな。


「先程、旦那様にも言いましたが、旦那様も複数の女性と結婚しようとしていたのですから、私が既婚者だろうと旦那様と結ばれるのには問題が無いと思うのですが?」


正直な話、男尊女卑の傾向が強いこの国では正室や側室などと複数の女性と結婚する者もいるのは確かだ。

それは確実に跡継ぎが必要な王侯貴族には良くある話でもある。

しかし…… その逆は聞いた事が無いぜ?


だがマリンの発言を聞いたヴィッチがポンっと手を叩く。

その王侯貴族だもんな、お前。

目から鱗が落ちたみたいな顔をしてやがるぞ。

おいおい、勘弁してくれよ。


「あらあら、さっきは泣いて逃げ出した癖に何を言ってるのよ? 旦那様は私のものと既に決まってるんだから!」


ユナがマリンと俺の前に仁王立ちで立ち塞がるが、マリンは余裕の表情でそのまま俺の方へと歩み寄る。


「な、何よ! 文句あるのかしら?」


先程とは違うマリンの態度にユナもたじろいてやがるな。

そしてユナの頭越しに俺の両頬を手で挟むように抑えるとみんなが見ている前で唇を奪いやがった。


「うふふふっ、まずは唇を頂いたであります。 次は何処を頂くか…… これからが楽しみです!」


唇に指を当てながらウットリとするマリン。

落ち込んでいたマリンの奴が自信を回復したはいいが、これじゃ後が怖えよ。



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