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めいど・いん・はうす  作者: 池田 真奈
第二章 小さな冒険者と美しき侍女ライリ
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第15話 あの日の誓い

俺は自分自身の墓参りをすると言う妙な体験をしちまったが、変な気分だぜ。

そして俺達は王宮へと足を運んだのだが、予想通りに混雑をしていた。

朱雀館から見える王宮も立派に見えるが、これだけ近くで見るとその大きさには圧倒される。

やっぱりヴィッチから紹介状を貰っておいて良かったぜ。

あの一般受け付けに並んでいたら冗談抜きで日が暮れちまうからな。


「パープルトン子爵からの紹介状を確認させて頂きましたが、本物に間違いありません。 では…… こちらへどうぞ」


受け付けは案外すんなり通る事が出来たし、こりゃあ随分と幸先がいいな。

受付嬢が示す場所には美人の侍女が立っており、俺達を見てにっこりと笑みを向けていた。

やっぱり王宮付きの侍女はレベルが高いな。

クレアの奴も美人だったしな……


「旦那様、他所の女性を見て鼻の下を伸ばさないで下さいませ」

「い、いててて……」


ぎゅっと俺の尻を抓ったかと思うと、おもむろに両手で頬を挟み込むライリ。

そしてぐいっと俺の顔を自分の方へと向ける。

嫉妬してるのか…… 可愛い奴だな。

まぁ、抓られるくらいならマシな方だ。

後でお仕置きですとか言われた日には、二人っきりの時に尻を剥かれて本気で叩きやがるからな。

不思議と逆らえなくなるのは、記憶が戻る前の俺の脳裏に刻まれたライリに対する恐怖のせいだろう。

そんな俺達を見た侍女が我慢出来ずにクスクスと笑っていた。


「こちらでランス国王陛下がお待ちです。 謁見の間では無く、私室へと案内するなど通常の陛下を知る私には驚きです。 それだけ大事な方々と言う事だけは理解しております」


侍女がドアをノックして要件を告げる。

すると向こうからドアを開けて現れたのは俺が知るよりもかなり老けたランス国王だった。


「久しぶりだな、アンノウン伯爵。 いや今は子爵領の英雄だったか。 パープルトン子爵からの書状で詳細は知っておる。 まさかいきなり死ぬとは思ってもみなかったぞ。 更に10年以上経ってから復活するともな……」


複雑そうな表情を浮かべているが、やはりアレだろうな。


「国王陛下には礼を言わせて欲しい。 あの時にライリとの結婚を認められていたら、ライリを10歳で未亡人にしちまう所だった……」


世間からどんな奇異の目で見られたか知れねぇしよ。

辛い思いだけはして欲しく無かったからな。


「そう言って貰えると救われる思いだ。 あの時は残されたその娘を思うと不憫でならなくてな…… 散々悩んだ挙句に儂が選んだのは全てを白紙にする事だったのだ」


「さぞや儂を恨んだろうな。 済まなかった」


一国の王に頭を下げさせるとはな。

流石に俺の嫁は格が違ったって所か。


「どうか頭をお上げ下さい国王陛下。 勿体のう御座います。 確かにお恨みした時期もありましたが、今は漸く旦那様と結ばれる事が出来て幸せに過ごしております。 ですからお気になさらぬように願います」


結ばれたと聞いて俺をチラッと見た国王が苦笑いを浮かべやがった。

仕方ねぇだろうが、我慢出来ないくらいにライリが可愛らしかったんだからよ。


「うむ、流石は若くして侯爵領の英雄の心を射止めた女性よ。 此度、其方が儂の元へ来た理由が冒険者として認めて欲しいと言う事だが…… あの時のように結婚の年齢は変えなくても良いのか?」


それも一度は考えたさ。

法的に俺達は只の恋人同士のままだからな。


「ああ、あの日間違いなく俺達は結婚したんだ。 法が認めなくてもな。 そうでなければ、あの日に誓った事は何だったって事になるからよ。 そうだろ? ライリ」


「はい、私の心は常に旦那様と一緒です」


一片の迷いも無く答えるライリ。

まぁ、馬鹿な俺が婚姻届けを出し忘れてるとでも思えばいいさ。

そうさ…… そのくらいに思っておけばいい。

済まねぇな、ライリ…… 馬鹿な俺でよ。


「ハッハッハッハ! 流石は固い絆で結ばれた二人じゃな。 儂は感服したぞ! 特例で冒険者として認めてはやりたいが、儂は今の其方の実力を知らん。 まずは見せて貰おうかの」


ランス国王がニヤリとしやがった。

楽しんでやがるな。

この国王が俺を気に掛けていた理由がメイド好きだって理由なくらいふざけた人物だからな。

大したキレ者で、この男に関しては色々と思う所はあるがよ。


「それはどう言う事だ?」


「我が国一番の腕前を持つ騎士と戦って見事勝利を収めて見せよ。 そうすれば実力を認めて何歳だろうが冒険者として認めてやろうではないか」


この国一番の騎士とは面白い趣向じゃねぇか。

何も悩む事はねぇ、やってやるぜ。


「その話、乗った! 勝負はいつやる? 俺は今すぐだっていいんだぜ」


「その者は遠方におるからな。 直ちに呼び寄せるとして…… 勝負は一週間後だ。 王宮内にある闘技場にて行うものとする!」


面白い事になって来やがったぜ。

誰だろうと俺が叩き潰してやる。

そして俺は名実共に晴れて冒険者だ。



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