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こんにゃくも婚約もシメる!!4   ― ダスティン殿下視点 ―

「して、そなたは何を望む?」


「いえ、何も望んではいません。

 それに殿下を煩わせることなどしていただかなくて大丈夫です」

麗しく微笑む男を見ながら「そうか」と頷く。

正直こちら側に引き入れたいと思っていた男だから、こちらとしても幸運なことだった。


ロベルト・ウォーレン、現宰相の息子。

以前から切れ者だと噂されている若者。

そして我が従兄弟、レオン・シュバルツ。

一切の関心事がなく、浮名を流す継承保持者。

スペアに継承権を放棄されたらいざという時に困るという見解から、レオン自身は放棄したくても承認が下りず放棄できない。


突然の内密の謁見に何事かと肝を冷やしたが、どうやら現状に問題でもあったのだろうと推測する。



「わたしたち二人は殿下に『忠誠』を、そのかわりこれからわたしたちに起こることに対して『黙認』を」と言われた時には驚いた。

事なかれ主義であったレオンが何かのために動き出すなど、ありえないことだった。



なにかするつもりなのか?


「よかろう、お前たちが成人した際には情け容赦なく使ってやる。

 今のうちにはかりごとの腕でも磨いておけ」

「御心ままに、ダスティン殿下」

深々と忠誠の礼をとるふたりに退出を促し一人思考に浸る。


おもしろい、あいつら何をする気だ?


あの二人がこちらに付けば、弟とそう争うことなく王位も決着がつく。

何を考えているのかわからない従兄弟に対する悩み事が消え、ホッとした。




ことが動いたのが5日後、軍備縮小派として強硬路線をとっていた3家が突然泣きついてきた。


どうやら父上には恥ずかしくて申し上げられないのであろう。

父上だってこんなことに構ってるほどお暇な身分ではない。


.....かというわたしもだが、仕方あるまい。


『お前ら、わたしとは敵対してただろう?』と言いたいのを我慢して「どうした?」と問うてみる。

「今までどれほど滞納しても文句も言わなかったバード商会が、突然荒くれ者を雇って『金を返せ』と押し入ってきたのです!」

涙ながらに切々と訴えてくるが『お前らは何を言っているのだ』と(うめ)いて頭を抱えたくなる。

「殿下、どうぞ軍隊を出して、あの憎きバード商会を追い払ってくださいっ!」

軍はこんなバカなことを容認させるためにあるものではないと言いたい。

「平民と貴族、どちらを大切になさるのかお分かりでしょう?」

ニヤニヤと下卑た笑いをしながら喚く3家の当主は皆、宝石やら質のいい服を着ている。


金は返せなくとも贅沢は止めれぬらしい。


これのことか、と思う。

確かレオンはバード商会の息子ともつるんでいた。

レオンの周りには侮れないメンツが揃っていると、内心震えが走る。


「バカか、そちら?

 平民だ貴族だの前に、金は借りたら返すものだ。

 子供でも分かることを、当然であろう?

 それに軍は国のものであって私物ではない、せいぜい搾り取られるがいい」

大きくため息をついて呆れたように見返せば、男たちは自分の意見が通るとでも勘違いでもしていたのだろう。

わたしの言っている意味が分からないというように固まった。


仕事の邪魔だと3人を、シッシ!っと追い払うように衛兵に連れて行かせる。

頭が痛いのは本当に困るものだ。



さぁこれであいつらは、このまま贅沢を続けたくばどこぞの成金との縁談を組まねばなるまい。

そのことに忙しくてもう手出しができんだろう。


レオンはどう出る?とほくそ笑む。

そのあと貴族社会はしばらく混乱する。


借金を返さない貴族に、泣き寝入りをしていた平民の金貸し屋は、バード商会が難なく回収したことに驚愕した。

どうやら腑抜けた貴族達は『殿下は軍を出して貴族を守る』と豪語していたらしい。

それが、一切手出ししてこないことに『とんだ嘘っぱちで、平民にも平等な殿下』と評価したらしく、各金貸しは借金回収へと行動を起こしていった。


結果、3家を含めて多くの無能な貴族が没落していくことになる。



だいぶ強硬な手段をとる金貸しには鉄槌を下したが、国の役にも立たず、ただえばり散らした貴族を排斥でき、優秀な人材を後釜に据えれたことに少なからずこちらにも利益があった。


やはりあいつらは役に立つ。





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