こんにゃくも婚約もシメる!!3
「はぁ.....継承問題だよ.....」
「王位継承権?」
項垂れるレオンの言葉に(そういやぁ、レオンって王族でした~~!)と思い出す。
「そう、わたしは第5位だ。
1位が第一王子、2位が第一王女、3位が第二王子、4位が陛下の弟である父上、そしてわたし。
王女は国外の輿入れがほぼ内定してるため、実質わたしは4位になる。
父上は王位に興味はないが、放棄してないのはわたしを王位から遠ざけるため。
スペアのスペアはきな臭いのさ.....いつも」
「第一王子はこのまま軍事国家を維持しつつ各国に目を光らせたい、第二王子はより領土拡大を目指し戦をしたい。
そして軍備縮小派に持ち上げられるお前か」
ロベルトが足を組み、口を開く。
「持ち上げられるんじゃない、操りたいのだよ.....誰かを人質にとって」
諦めた笑いをしているレオンを見て、私は最低な想像をする。
「.....シルビア」
最悪だ、最低だ。
「ねぇ、縮小派って縮小したいのにそんなに過激なの?」
「いや、ごく一部だ。
何度か尻尾を掴もうとしてるのだけどなかなか狡くてな」
レイモンドの質問に難しい顔をしたレオンが答える。
「何家?」
「ん、トピカ家とオースチン家とラレイト家だな。
あとはほぼ烏合の衆だ」
「そっかぁ.....あのさ、もしかしてもしかすると、ウチと取引ないかな?」
全員がレイモンドを見る。
「バード商会!」
私は思わず大声で叫んでしまった。
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「エミリー!よく来てくださったわ!」
「誕生日おめでとう、シルビア!」
ワインレッドのドレスを美しく着こなしたシルビアに歩み寄る。
今日はシルビアの誕生日だ。
「きれいだよ、シルビア!」
「まぁエミリーも可愛いですわ!」
エヘヘと笑いながらくるりと回ると、クリーム色とミントグリーン色のドレスがふわりと宙に舞う。
「あ、じゃぁまたね」
後ろで挨拶を待っている人に気づいて慌てて別れを告げる。
「奥にマリアーナがいるので探してごらんなさいな」
「ありがとう!」
シルビアの父上と母上にも軽く挨拶を済ませてマリアーナを探す。
案外あっさりと見つけられてホッとする。
「マリアーナ!」
「まぁエミリー、ごきげんよう」
「ごきげんよう、今日のマリアーナも可愛いね」
マリアーナのキリリっとした顔が笑顔になって一気に花が開くようだ。
あぁもうカワイイ!私の嫁嫁嫁っ!!
ジーンにもったいない!!
「今日はレオン様はいらっしゃるのかしらぁ?」
「う~~ん、それがさぁコソコソと4人でやっててわからないんだ。
『危ないことになったら困る』ってロベルトが言い張って、私はのけ者だったよ!
ムカつくから今日はたくさんの人と踊ってストレス解消するんだ!」
口を尖らしてマリアーナを見つめる。
マリアーナは「あらあら、大事にされてるのですわぁ」と可笑しそうに笑った。
「.....まぁ『悪いようにはならないよ』って言ってたけどね」
遠くからシルビアを見つめる。
ザワリと突然ホールが騒がしくなる。
「あ、ロベルトとレオン.....」
何事だ?と視線を巡らしたそこには、よく知った顔がいた。
黒いタキシードを来た長身の二人は、並んで歩いてると本当に絵になる。
レオンはやっぱり王家の血筋が流れてるだけあって、立ち居振る舞いはさすがとしか言い様がない。
『参加しない』とされていたレオンが参加したことに、シルビアの父上の顔がだらしがないことになっていた。
う~~ん、あんまり見たくない絵面だ.....。
「あれ?レイモンドどジーンがいない」
「ジーン様はワタシと婚約なさってるでしょう?
だからご辞退なされたらしいわぁ」
「なるほど~、相変わらず固いな!」
真面目な奴め!
『シルビアの友達として』って思わなかったのだろうか?
ちょっとはにかみながら笑うマリアーナを見て『まぁそれほどにマリアーナを大事にしてると思えば、いいのかもしれない』と思い直す。
「.....んで、レイモンドは?」
「エミリーがきっと嫌がる理由ですわぁ、きっと」
「あ~~『貴族至上主義』ね.....。
やな感じ!」
べぇっと舌を出す。
昔気質の貴族はまだまだその傾向が強い。
平民の方が財産がある、なんてことも最近では多々あること。
『散財のしすぎで貧乏な爵位持ちが、財産のある平民と結婚した』なんてよくある話だ。




