そばに...
ロベルト視点でお送りします
初めて見たときの印象は「何だこの子ザル?」だった。
見た目は女の子と言って通じる顔立ちなのに、教室や校庭を走り回る姿はまさに子ザル。
「なぁ、ロベルト!
おまえ、おれとおなじへやだろ?
クラスでもなかよくやろうな!」
「エミリオ、ずうずうしいってコトバしってるか?
おれはコウシャクのしそくだから、だんしゃくのおまえがなれなれしくするな」
そして俺は鼻持ちならないガキだった。
嫌われてもおかしくないクソガキだった。
「なんだ、そんなくだらないことかんがえて、ロベルトってこのさきもいきるの?」
今思えばまさに『くだらないこと』だけど、小さな俺はそれが当然だと思っていたんだ。
「なんだと~~~!?」
俺は怒りに任せてエミリオの頭をゴツンと殴った。
当然殴られたままじゃいないエミリオと、ガンガンに殴り合ってケンカした結果、俺はエミリオに負けた。
あんな子ザルに勝てるものか!
「おれがしょうりしたんだから、もうおまえはおれのトモダチだからな!」
ニッと笑ったエミリオに俺はドキドキした。
学園は基本的に『爵位を持ち出さない』という理念の平等をうたった場所だ。
あんなに純粋な笑顔なんて見たことなかった。
家柄が邪魔して、だれも俺に見せてくれなかった笑顔だった。
そのうちレオンやジーンやレイモンドと仲が良くなっていった。
その頃には男爵だ子爵だなんだと、地位だけで人を見ることはなくなった。
地位があっても役に立たない頭の悪いやつ、地位がなくても実力のあるやつ、そういうのがたくさんいる。
ここは人脈作りの最適な場所だ。
俺は人脈作りに勤しみながらも、エミリオとより仲の良い仲間になった。
そんなおれは、レオンも女の子みたいな顔つきだったけど、エミリオを見るとドキドキした。
俺って頭がおかしいのかもしれない。
だって男にドキドキするんだから!
10歳を越える頃になると『俺は絶対変じゃない!』と思って女の子ともそれなりに遊んだ。
......エミリオにバレないように。
でもエミリオほどドキドキさせられることはなかった。
エミリオは成長すればするほどに、周りが驚く程綺麗になっていった。
性格は子ザルからサルになっただけだけど...。
その頃も俺はムキになって否定していた。
でも、淑女の仮面に隠された女の本性よりも、男だけど屈託なく笑うエミリオの方がいいという馬鹿どもから、エミリオが変なことされないように、俺はエミリオに懸想してるやつの裏をかき叩きのめし、エミリオを守った。
「独り占めするな!」という売られたケンカも、言い値で買ってやった。
年に1度の懇親会で、エミリオと女の子がクルクル踊る姿を見て悔しかった。
うらやましかった。
エミリオと踊りたかったから......。
あの手をとりたかった。
嫉妬する相手が違うとわかったその時、唐突に納得した。
俺はエミリオのことが好きなんだ。
あぁ、俺って男にムラムラきちゃう性質だったんだ......。
ここまできたら諦めるよ。
気づいたけど、すぐに無理だとわかった。
俺は侯爵家を継ぐ。
......あいつは男爵家を継ぐ。
俺のこの気持ちを押し付けて苦しむのはエミリオだ。
手を出したくても出せない。
でもそばを離れたくない。
そんなときだった。
レオンが真っ青な顔をしてかけてくる。
「ロベルト、落ち着け。
馬車の事故で......エミリオが死んだらしい」
「は?レオン、お前...笑えない冗談だぞ?」
「今、シュタイン家から連絡が入った......」
グラリとめまいが襲った。
メッセージ等ありがとうです
はげみになります




