ちょっとした違い5
「その....ね、夏休みからずっと避けてて悪かった!
ごめん!!」
ペコッと頭を下げて、ロベルトに謝る。
裏庭のバラが暑い夏を乗り越え、ポツリポツリと咲き出している。
朝顔のカーテンが風に揺れる。
「キっキキキ、キキスに焦ったけど、ロベルトを傷つけるために逃げ隠れしてたわけじゃない。
恥ずかしくて、どうしていいのかわからなくて逃げちゃってたんだ。
クリスには、タラシめ~!って思った程度だけど、お前違うとこキスするから変に意識しちゃって...、なんていうか支離滅裂なんだけど、避けてて本当ごめんねっ!」
本当に何言ってるかわからん!
うごごご...身悶えしそうだ。
恥ずかしくて足元しか見れなかったけど、沈黙に耐え切れずチラリとロベルトを見る。
「なんでデレってる~~~っ!?」
思わず叫んでしまう。
ロベルトはそっぽ向いてデレデレしてるし、この空気耐えられん!!
自分も、より恥ずかしくなって真っ赤になってしまう。
ここを切り抜けるにはどうすれば?!なんて必死で考えてると「ぶはっっ!!」なんて、後ろから笑い声が聞こえてくる。
「レイモンド!
あんた覗いてたの?!」
朝顔のカーテンの裏を覗くと、ヒィヒィ腹を抱えて笑ってる。
「あっはっはっは!
だってあんなに避けてからの呼び出しだよ!
誰もが気になるに決まってるじゃん」
レイモンドは、は~~っ!っと息を整えながら「レオンとジーンは『そんな無粋なことするな』って来なかったから、安心しなよ」と、ニヤニヤしてくる。
「...だったらレイモンドも来ないでよ」
ちらりと横目で睨む。
「やだね!
こんな面白いこと、見ない理由ないじゃん」
ロベルトが来て朝顔カーテンの奥をチラリと覗き「レイ、お前んとこで指輪買ってやんねぇ」とレイモンドに声をかける。
「え~~~!!
ヤダヤダ!
いいじゃん、あの砂ゲロな空気払ってあげたんだよ~!」
「うるさいよ」と言いながらロベルトはレイモンドを小突いた。
なにやら一気に脱力する。
あんなに悩んだのに、レイモンドのおかげで虚しくなってきた。
ようは考えすぎってことだ。
「なんだかすっごい疲れたから帰る」
「送ってく」
すぐそばだよ...って言う気力も起きない。
「じゃまた明日ね!」
レイモンドは男子寮に足を向ける。
私は「おやすみ~~~」と言いながらロベルトと二人歩き出した。
「あのさ、ロベルトのすることって不意打ちすぎて変にドキドキするんだ。
男女のカンケイって偏差値低いからよくわからないし、だからまた逃げ隠れするかもしれないけど...あんまり気にしないでよ。
送ってくれてありがとう。
また明日ね!」
ニカッと笑い寮に入ろうとする。
するとロベルトが腕を掴んでくる。
「気にする。
お前のさっきの話しを聞いて期待してる。
話してくれてありがとう」
「あ、う、うん。
また、明日ね」
「あぁまたな」
去ってくロベルトに手を振りながら見送る。
いかん!
再びドキドキしてる。
たぶん、昔から知ってたロベルトより身長も大きくなって体もがっちりして、声も低くなってきていて、変わっちゃったからだ。
変化についていけないだけだ。
うん、ロベルトの変化はわかった。
...なら私の絶壁にはいつ肉がつくんだろうか?




