まだ子どもですし
「こらぁ、エミリー!
ジーン様を困らせちゃいけませんよぉ」
マリアーナが放課後たしなめてくる。
ジーンのやつ、マリアーナにしゃべったな!
「エミリー、そういうことは人に聞いたってわからないことですわよぅ!」
「だって本当にわからないんだもん。
ずっと友達だったんだよ?
突然『この人いいわね!素敵よね!』なんて思えない。
でも...さすがにロベルトが怪我して『死んじゃうかも』って思ったときは、吐き気がしてめまいがした。
あんな思いはもう2度といやだな」
「ふふふ、まだまだエミリーはお子ちゃまね」
マリアーナにヨシヨシと頭を撫でられる。
「え~~、私のほうが年上なのに!!」
ずっとみんなといたい。
それじゃダメなのかな?
1年後は想像できても5年後は想像できない...。
想像できない未来を、ジーンと共に生きると決めたマリアーナは、やっぱり私より大人かもしれない。
「テスト終わった~~~~~!!!」
終りのベルが鳴って、テストを渡すと私は「んが~~~~!」と伸びをする。
模擬戦から早くも1ヶ月がすぎ、上半期テストで本当に大変だった。
ロベルトもレオンもシルビアもまんべんなくできるから色々教えてもらった。
語学全般が得意なマリアーナと外国語の得意なジーン、理数系のレイモンドに教えてもらった。
私?
オール平均を行ったり来たり!
うるさいよ、普通1番!!
ちなみに夜中一人で「自分は良いとこがない!」とベソベソしたのは秘密だ。
そんなことみんなの前で言ったら、レオンなんかが絶対「おまえはいつもギリギリになってするからだ!」とか言うんだ...恐ろしくて泣き言なんてできないよ。
ロベルトもレオンもシルビアも超がつく上流階級だもんね。
私んち、へなちょこ男爵でよかった~~~!
「エミリー、テスト終了のお祝いにシルビアとラウンジでケーキをいただきませんかぁ?」
「行く行く!!」
「これが終わったら夏休みですわねぇ。
エミリーはどうなさいますのぉ?」
「そうだね~。
姉上がそろそろご結婚を迎えるから、しばらくしたら帰るつもりだよ」
「まぁ、おめでとうございます。
おいくつですの?」
「姉上が20歳で相手は25歳だよ。
18歳のデビューの時相手の人と出会って、婚約したんだけどね。
すぐには結婚しないで相手を見極めるって姉上は言ってさ、だからこっちとしては『ようやく』って安堵の気持ちと、相手にもずいぶん待たせてしまって申し訳ないって気持ちだね」
「エミリーとそっくりで慎重なのですわねぇ」
マリアーナがニコニコ笑う。
「あ、シルビア!
お祝いにケーキ食べ行こう!」
教室に戻ってきたシルビアに手を振る。
「その前にエミリー...帰り際返却された答案のやり直しですからね!」
シルビアが腰に手を当てて、ビシッとポーズを決める。
ヒィ!母上といるような気持ちだ...。
そのあとロベルト達もラウンジに来て、あーだこーだ言われながら間違った問題をやり直しした。
「68点!?」なんて叫んだレオンには、スネをおもいっきり蹴り上げてやった。
「ほらエミリー、あと少しだ。
これが解き終わったらケーキ食え。
この公式使えばわかるから」
うぐうぐ泣きながら私は頑張ったよ。
進級テストは早くから勉強して、私の凄さをみんなに見せつけてやる!!
そして先生!
答案返すの早すぎっす!!




