なんかちょっと変なんだ
歓迎会を過ぎて1週間以上は経ったなぁって思う頃、私は「不意打ちすぎて衝撃が避けきれない!」な爆弾を食らった。
「エミリー、シルビア、驚かないでねぇ。
ワタシ、この週末ジーン様と婚約いたしましたのよぉ」
キラキラと眩しい位の笑顔でシルビアは大喜びして、私は驚愕に椅子を弾き倒すように立ち上がる。
「まぁまぁ!それはおめでとうございます」
「ええぇぇぇ!!
あの鈍感男が申し込んできたの?!」
拍手して祝福するシルビアと、全力で仰け反る私。
「女は決めるところは決めなきゃいけませんわぁ」
にこやかにマリアーナが左指にキラリとはまった指輪を見せてくれた。
「え~~~!!
てことはマリアーナから?!」
「うふふ、それは『神のみぞ知る秘密の話し』ですわぁ」
一人身悶えする私にマリアーナは苦笑する。
「...一番色恋沙汰に鈍いから、最後だと思ってたよ...」
「こらエミリー、失礼なことを言ってはだめです!」
ひょえっ!と思いながら、マリアーナに「遅ればせながらおめでとう!」と伝えた。
「エミリー、いいですこと?
ワタシの勝手な意見ですけど、ダメな男とずるい男は最後まで残りますけど、いい男は大概早々に売れてしまいますわよぅ。
エミリーはのんびり屋さんだから気をつけなさいねぇ」
「...き、肝に銘じます」
妙に納得する。
「まぁ婚約ですし、将来は見通せませんからねぇ。
でもうまくいくことを祈ってくださいねぇ」
「当然ですわ!」と鼻息を荒くするシルビアに、にこやかにマリアーナは微笑んだ。
「二人とも、頑張ってね」
是非とも幸せになってほしい私は、マリアーナの手をぎゅっと握った。
「じじじじ、ジーーーン!!!
その指輪は何事なのだ!?」
ジーンの胸元に揺れるネックレスに通された指輪を見て、レオンが指さす。
剣技授業のため、ちょうど着替えてるところだった。
「あぁ、これか?
指にはめて剣技などして、煩わしくなってしまっては困るからな。
チェーンに通してネックレスとして持つ許可をもらった」
「そんなことを聞いているのではない!
よもや交わした指輪ではあるまいな?」
レオンのあまりの勢いに、一緒に着替えてるクラスの仲間が「なんだ?どうした?」と振り向く。
ロベルトとレイモンドも気づき、ネックレスを見て目を見張っている。
「あぁ、マリアーナ嬢と婚約したからな。
誓いの指輪だが?」
そんなに驚くことか?といぶかしんでいると、ジーンの『婚約した』という言葉にその場が騒然とする。
「マジかよ!あのジーンが!!」
「こんなとこに伏兵がいた!」
「こんな鈍感男に負けたのかよ!」
一緒に着替えていたクラスのメンバーに、ジーンは少しムッとして眉間を寄せる。
レオンはこの世の終焉のようにうなだれて、レイモンドは「どこで買ったの?当然ボクんちだよね?!」なんて聞く。
ロベルトに至っては「もしやマリアーナ嬢に押し倒されたのか?」なんて真面目に聞いてくる。
「お前たち全員、今日はオレが稽古をつけてやろう...」
ジーンは爽やかに微笑んで、逃げ出そうとするレイモンドの首根っこをつかんだ。
10学年の男子は「もっと不意打ちすぎて死にかけちゃうかも」な爆弾を食らって、実際身も心もズタボロで撃沈した授業になった。




