日々の鍛錬は必要です2
「ロベルト、そのご令嬢は君の婚約者かい?
可愛い子をつかまえたじゃないか!」
「いやぁ、ありがとう」
ちょっと、ロベルト否定してよ!
肘で脇をグイグイ押すが反応なし。
「なんだい、ロベルト!
2度も踊りやがって、おれにも幸せ分けてくれよ」
「お前だって懇意にしてる令嬢いるだろう?」
え、同じ人と2度踊るって意味あるの?!
再び肘でグイグイ押すが反応なし。
はい、シルビアの怒った顔がこわくて、ロベルトのそばにいることを取りましたエミリーでございます!
ホールに戻ったあと、血色よくホクホク顔のレイモンドと、シルビアにベタベタしていたレオンと1回ずつ踊った。
それにしてもロベルトのやつも私にベタベタして、いったいなんなんね?
お、エミリオの時のちょっと知った顔もいたりで、すごく懐かしい。
「おい、みんな勘違いしてる!
私が話したら、エミリオだってバレるから黙ってろって言うから喋らなかったけど、今のはなに!?
訂正しろよ!!」
コソっとロベルトに話しかける。
「勘違いさせとけばいいさ」
そっと寄り添うようにロベルトが返事をしてくる。
「お前私を使って何か企んでるんじゃないか?
ベタベタするな、怪しい雰囲気になってるんだって。
ほら、みんな見てる見てる!!」
ロベルトが向き合って腰に手を回そうとするのを必死で振り払う。
「エミリー、あなたすごい噂の的ですわよぅ!」
「ママママリアーナ~~!!」
そっと近づいてきたマリアーナにガバッと抱きつく。
「ロベルト様って『難攻不落な要塞』って言われているのですわねぇ。
ジーン様の隣にいると、あなたのこと他の男性から色々聞かれるのよぅ。
可笑しかったわぁ!」
「私なんてとんだ誤解ばかりうけてるよ」
「そうねぇ、わざとかしらぁ?」
ちらっとマリアーナがロベルトを見ると、ロベルトは肩を少しすくめ、ジーンと談笑し始める。
「困った方に好かれたのですわねぇ...」
「はぁ?8年も一緒にいたのに、せいぜい『友達的好き』程度に決まってんじゃんか!」
「こぉらぁ!言葉使いが悪いですわよぅ!」
「は~い、ねぇそういえば、ダンスを同じパートナーと続けて踊るって意味あるの?」
「ありますわよぅ、同じ方と何度も踊るのは「良い仲ですよ」ってことよぉ。
だからみなさん、噂されてたのですわぁ~」
もう色々と容量オーバーです...。
「そうねぇ...ロベルト様、ワタシと一度踊りませんことぉ?
このままだと、またエミリーがやっかまれてイジメられてしまいますわぁ」
マリアーナが憔悴しきった私を見て、ふむ...とロベルトに声をかけた。
「...そうだな、キミはエミリーの友人だし...いっしょに踊ってもいいかな。
ジーン、エミリーをよろしく」
「エミリー、お借りしますねぇ」
マリアーナがロベルトの手を取ると優雅に歩を進める。
「うふふ、ロベルト様って『いつものお友達』と『エミリーと関係者』と『それ以外』って分け方なのですわぇ」
マリアーナはエミリーに聞こえないようそっと呟いた。
「エミリー、お前も踊るか?」
「そうだね、もうロベルトには振り回されっぱなしで疲れたよ」
私は大きくため息を吐く。
「がっちり囲い込みたいんだろ。
見ていて微笑ましかったぞ?」
「ふざけんな、助けろ!
あとでお前の髪シッポ、引っ張りまわしてやるからな」
プンスカ怒ってジーンと踊りだす。
「『エミリオ』と踊る時がくるとはなぁ...。
あの時どんな女性とも見境なく元気よく踊ってたな!」
「節操ないみたいな言い方するなよ!
あの時は自分も相手も楽しかったからいいじゃん」
ジーンが懐かしそうな顔をする。
「結婚とか色々考えなかったか?」
「そうだねぇ、私はする気がなかったね。
リックが生まれなかったら、姉上の子供でもいとこにでも譲る気持ちだったし、きっと生涯独身だったよ。
父様も認めてくれてたし、実際お見合いは断られてたもん」
「なるほどな、オレたちは『しない』って選択肢なかったからな。
ダンス1つとっても慎重になる」
「へぇ、男も女も大変だな」
「そうだな、オレから言えることは『ラストダンスはロベルトと踊ってやれ』ってことかな?」
「えぇ!?
私、ジーンとロベルトとレイモンドとレオンとしか踊ってないよ...。
完全に私の悪女計画は頓挫した」
「なに変な計画立ててんだ。
ロベルトが泣くぞ」
「なんであいつが泣くんだよ。
気持ち悪い!」
ちょっと可哀想な目で見てくるジーンの足をおもいっきり踏んでやった。
スッキリした!!
今回もありがとうでした~




