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キラキラボシ  作者: ぷろふぃあ
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エピソード5

 数日後、電話で楓から詳しい情報を聞き出した香苗は、学校帰りに美空が通っていた小学校を訪れます。


 職員室を訪ねた香苗でしたが、美空が通っていた当時の教師は殆ど残っていないようで、あの頃から変わっていないという保健の先生に会うため保健室へと向かった香苗。


 ノックをして中に入った香苗。机の椅子に腰掛けていた三十代半ばくらいの白衣の女性が、座ったまま椅子をクルリと回し、香苗のほうへと振り返ります。


「あら、随分大きなお客さんだこと。どんな御用? どこか怪我でも?」


「い、いえ、そういうワケじゃなくて…聞きたいことがあってきたんです」


 書き物をしていた保健の先生が、持っていたペンを人差し指と中指の間に挟んで、その頭を親指の付け根に引っ掛けてクルクルと回しながら人懐っこい笑顔で尋ね、そう返す香苗。


「聞きたいこと?」


「はい。六年前にいた静岡っていう先生のことなんですけど…知ってますか?」


「ええ。知ってるわよ。よく…ね」


「ホントですか! 私、その先生にどうしても会わせたい娘がいるんです! 居場所、知りませんか?」


 瞳を輝かせ、身を乗り出した香苗の声のトーンが上がります。


「逢わせたい娘…か。奇遇ね。私もいるの。多分あなたと同じくらいの歳の子。美空っていう子なんだけど…」


「うそ!? 知ってるんですか? 美空のこと」


「ええ。やっぱりそうだったか…美空ちゃんの友達?」


「はいっ! 親友なんです」


「あなたを見てればわかるわ。相変わらずなのね、あの子。いい子だものね、本当に。美空ちゃん、元気にしてるの?」


「はい。でも…その…私には元気にしか見えなくて…でも、なんかうまく言えないんだけど、辛いのに無理して笑ってるのかなとか、そんな風に全然見えないんだけど、もしかしてそうなのかなって気がして、私、親友なのにそういう美空の本当の気持ちがわかってあげられてなくて…だから美空のこと、もっとちゃんと知りたくて、静岡っていう先生がいなくなった時から多分、止まっちゃってるんだと思う美空の時間を動かしてあげられれば、ホントの美空がわかるんじゃないかって…いや、その、何言ってるかわかんないですよね…すみません…」


「ううん、わかるよ。まだ美空ちゃん、静岡先生のこと?」


「はい。まだ好きだって…」


「そうよね…あんなに好きあってたんだもの…忘れられないか。多分、静岡先生も美空ちゃんのこと…あなたはわかるよね? 当時の美空ちゃんが小学4年生、どんなに愛し合ってたって小学校の教師との恋愛が世間的に成立するはずがないってこと。絶対、二人とも辛い思いすることになるに決まってるもの。だから静岡先生、美空ちゃんのために教師をやめて、自ら姿を消したの…これ、美空ちゃんには絶対内緒ね」


 そう言い終えると、ゆっくりと立ち上がった保健の先生が窓枠に両手を掛け、窓の外を見つめます。


「美空ちゃんが、静岡先生がいなくなったことを知ったあの時、見つかるはずのない先生を捜すために学校を飛び出していく姿を、私はね、ここから見ていることしかできなかったの。すべてを知っているのに何も言ってあげられないままにね。もう美空ちゃん16歳だもん、まだ少し犯罪っぽい歳だけど、でも、もう大丈夫だよね。二人を逢わせてあげたいって私も思うの。でも…」


香苗のほうへ振り返り、表情を沈ませる保健の先生。


「ごめんね。私も静岡先生の居場所は、知らないの。あの後先生、バックパッカーになって自分探しの旅に出ちゃって、美空ちゃんの様子が知りたいって時々連絡はあったんだけど、美空ちゃんが卒業しちゃってからはプッツリ連絡もなくなって…今どこで何しているかはわからないのよ」


 本当に済まなそうにそう言った保健の先生を見て、輝かせていた瞳を曇らせ、視線を落とす香苗。


「ごめんなさいね、力になれなくて…ただ静岡先生、隣の市の病院の精神科に子供の頃から通い続けていて、教師になってからは通っていなかったらしいけど、多分、完治したってわけじゃないから、時々相談なんかはしてると思うの。病院名は聞いてないんだけれど、隣の市の病院で精神科のあるところってそんなに件数ないと思うし、女性の精神科医だっていうから、探そうと思えば簡単に探せるんじゃないかな。その精神科医なら静岡先生のこと私より詳しいと思うの。まだその先生が、その病院にいれば…の話なんだけどね。ごめんね、こんなことしか教えてあげられなくて…」


「ううん。ありがとうございます! よかった、ここにきて。私、不安だったんです。自分のやろうとしてること、美空にとって迷惑なんじゃないか、お節介なんじゃないかって。でも、私のやろうとしてること間違いじゃないってことわかった。私、探してみます。その精神科医」


「そっか。美空ちゃん、幸せだな、こんな友達がいて」


「いえ…私のほうが美空には、もっともっと幸せもらってますから…」


 少し頬を赤く染め、照れながらそう言った香苗。


「それじゃ、今度は美空ちゃん連れてきてね。保健の先生が会いたいって言ってたってね」


「はいっ! 本当にありがとうございました」


 深々と頭を下げ、保健室を出ていく香苗。笑顔でバイバイと小さく手を振る保健の先生。




 隣の市って、実は香苗の住んでいる町がそうだったりで、電話帳で病院を調べて、数件ある精神科のある病院に電話を掛け、女性の精神科医がいないか聞いてみる香苗。


 プライバシー保護のため電話では教えてくれない病院も何件かあり、直接足を運んだりしながらメモ帳に書き込んだ病院名にバツ印をつけていく香苗。そして、ついに見つけたある病院名に丸印をつけました。










「ねえ、ナエちゃんってば。そろそろどこに行くのか教えて?」


 学校の帰り、香苗に言われるまま一緒にバスに乗り込んだ美空。隣に座っている香苗にそう尋ねます。


「ははっ…まあ、着いてからのお楽しみってことで、ねっ?」


 愛想笑いをして誤魔化す香苗。美空は「もうっ!」と少しだけ怒ったような表情で頬を膨らませています。




 前日、学校から帰宅した香苗は、自宅の電話で病院に電話を掛けました。内線で精神科にその電話は回り、応対した女性の看護師に自分の名前や用件を話した香苗。


「少々お待ち下さい」


 そう言った看護師の声のあと、香苗の耳に当てられた受話器から流れ続ける保留のメロディー。



「静岡っていう患者のことで聞きたいことがあるそうなんですけど…どうします?」


 診療を終え、コーヒーを飲みながらくつろいでいた精神科医にそう尋ねた看護師。


見た感じ三十代半ばくらい(実際は四十台前半くらいです)色白で少々キツめの性格に見えてしまうキリっとした顔立ち、眼鏡をかけていて背中の中ほどまである黒髪を一本に束ねた女性医師。


「まさか、電話掛けてきた人って高校生くらいの女の子じゃない? 名前は?」


 持っていたコーヒーカップをテーブルに置き、立ち上がった精神科医が看護師に尋ねます。


「えっと、はい、多分、声の感じ、そのくらいの子だと思います。名前はカナエって人でしたよ」


「カナエ? そっか…まあいいわ。出てみる」


 そう言い、電話のところへ向かった精神科医は、受話器を取り、保留を解除しました。


「もしもし、精神科医の多村由香里です。カナエさんって言ったわね。静岡は私の患者で、よく知ってるけど、どういう理由で何が知りたいの?」


「えっ、あっ、はい。友達をどうしても逢わせてあげたいんです。それで、居場所を知っていたら教えてほしくて…」


「ふ~ん、なるほどね。友達って、もしかして美空って名前じゃないかしら」


「えっ!? どうして知ってるんですか!」


「さあ、どうしてかしら。静岡のことなら何でも知ってるわよ。もちろん居場所もね。教えてあげないこともないけど、条件があるわ。美空って子、私のところに連れてらっしゃい。明日でもいい、学校が終わった時間なら診療が終わってるから、精神科の受付で多村と面会したいって言えば話が通るようにしといてあげる。それじゃ、待ってるわよ」


 そう言って一方的に電話を切った由香里。


「先生、なんか嬉しそうですね」


 電話を終えた由香里を見て、看護師がそう言いました。


「そう? ふふっ、まあ、そうかもね。やっと大嫌いなアイツの顔、拝めそうなのよ」


 不思議そうに首を傾げる看護師。


「明日、女子高生が二人、私を訪ねてくると思うから、そしたら私の診療室に通してね」


 そう言い残して、鼻歌まじりの上機嫌でその場からいなくなった由香里。


「大嫌いな人に会うのに、なんで嬉しいの…かな…」


 由香里の去り際の背中を眺め、ボソッと呟いた看護師が、もう一度不思議そうに首を傾げました。




「えっ? 病院? まさか誰か入院したの?」


 市立病院前でバスを降り、病院の入り口へ向かって歩いていく香苗の後をついていきながら心配そうな表情でそう尋ねた美空。


「いや、違う違う。えっと…この病院に美空に会いたいって人がいてね…」


「私に? ナエちゃんの知り合い?」


「ううん、私も会うのは初めて。電話で話したことあるだけで…そしたら美空を連れてきてって…ごめんね…きちんと理由話せなくて…」


「ううん、へーきだよっ。ナエちゃんが誰よりも私のこと想ってくれてること知ってるもん。きっと私のため…だよね?」


 そう言ってニコッと笑ってくれる美空に、自信なさげにうなずいて見せた香苗。


 院内に入った二人は、案内板を頼りに精神科へ向かいます。受付の看護師に名前を告げ、精神科医の多村に会いにきたことを伝えた香苗。二人は、看護師の案内で奥の診療室に通されます。


 横に『担当医 多村由香里』という札の掛けられたドアを開けた香苗。「失礼します」と断りを入れ、中に入った二人。


「いらっしゃい。あなたがカナエさん? で、そっちが美空…ちゃんね」


由香里の問いに「はい」と返事を返す二人。机の椅子に脚を組み腰掛けた由香里の、まるで睨みつけているような鋭い視線は美空に向けられ、品定めでもするように下から上を見てまわします。


「ふ~ん…話には聞いてたけど、こんなちんちくりんのお子様だとはね。そのいかにも人畜無害で幸せ振り撒いてるような可愛らしい作り笑いで、一人の男を苦悩させ、追い込んで、大切な夢を奪ったこと、あなたは気づいてるかしら?」


「なっ!? ちょ…なにを…」


 美空へ向けられた由香里の嫌味混じりで敵意のこもった挑発的な言葉。香苗は気まづそうに目を白黒させ、美空と由香里の顔を行ったりきたりさせています。


「カナエさんとは、あとでお話があるから、ねっ?」


 そう言い、香苗へニコッと笑顔を向け、なんだかお茶目なウインクまでして見せた由香里。でも、すぐその顔は冷たい表情に戻り、キッと鋭い視線が美空へ向けられます。


「私ね、静岡由比が、今どこにいるのか知ってるわよ。会いたい? でもあなたに会う資格なんてあるのかしらね~。あなた由比クンのこと何も知らないでしょ? 由比クンね、小学生の時、いじめにあっててね、担任の教師も両親も、誰にも助けてもらえずに自殺未遂してるの。それっきり絶対的な人間不信に陥って、親兄弟はおろか、人間を信じられなくなって、人との関わりを一切拒絶してしまうようになった…でも由比クン、自分のような子供が二度と現れないように自分が教師になって一人でも多くの子供たちを助けるんだって。由比クンが私のところに初めてきた時のこと、今でもよく覚えてる。とにかく人が怖くて、足をガクガク震わせて涙目になりながら、人を見るだけでも怖いはずなのに、それでも私の目を真っ直ぐに見つめて『僕には夢があるんです! お願いです! 僕を治して下さい!!』ってしっかりとした大きな声を精一杯張り上げたの。それから十年かけてやっと病気を克服して、必死に努力してやっと叶えた夢だったのに、あなたみたいな世間知らずのお子様を好きになったせいで、あんなに苦労して叶えた夢、捨てなきゃいけなくなったのよ」


 黙り込んでしまう美空と香苗。突然のことで、言われていることの本当の意味を理解しきれず、不思議そうにしていた美空を見て、呆れ果てた顔をしている由香里。


「わかんない? 小学生のガキじゃ、わかんなかったろうけど、その歳になってもわかんない? 小学生と教師の恋愛が世間的に認められると思う? そんなの無理に決まってるし、二人とも辛い思いするに決まってるじゃない。由比クン、真面目で優しくて不器用だから、教師をやめて、あなたの前から消えるしかないって、そんな方法しか思いつかなかったのよ。そのあと由比クン、自分は大切な生徒たちのことよりも、一人の女の子を選んでしまった最低な人間だって、ずいぶん苦しんだみたいだし、夢を失ったことで昔の自分が顔を覗かせるようになって、再発しかけた病気と闘いながら由比クンがどれだけ辛い思いをしたか…全部あなたのせい。あなたなんかに由比クンが出会わなかったら…あなたが由比クンの夢を奪ったのよ! あなたさえいなければ…」


「えっ…あっ…私…先生、転任って…やめた…の? 私のせい…で…私が先生の夢を…」


 大粒の涙を流し、その場を飛び出していく美空。


「美空―――っ!!」


 そう声を張り上げ、あとを追おうとした香苗の腕を立ち上がってサッとつかむ由香里。


「待って。話があるって言ったでしょ?」


「私は、アンタの話なんて聞きたくない! 離して!!」


 由香里の手を振りほどく香苗。


「アンタ最低だ! よくそんな性格で精神科医なんかできるもんだな。患者が余計心の傷増やすだけだろ。美空は、私の前で泣いたことなんて一度もなかったんだぞ! 私、アンタのこと絶対許さない」


 キッと由香里を睨みつけ、その場を去ろうとする香苗。由香里は、ドアの前に立ち、香苗の行く手を阻みます。


「そこどいて! 私、美空のところに行かなきゃいけないんだから。アンタなんかに会わせた私のせいなんだ。私が美空を傷つけた…」


「ダメ。あなたが行く必要はないのよ、カナエさん。せっかく私がまいた種が無駄になっちゃうじゃない」


 さっきまでの美空に対する態度がまるで嘘のように、にこやかに穏やかな口調でそう言った由香里。


「はあ? なにそれ、どういうこと?」


「あのね、カナエさん。あの子の泣いたところ見たことないって言ったわね。多分、さっき泣いてたあの子が、本当のあの子よ」


「うそ! そんなことない…よ」


「ふふっ、言い切れないでしょ? さすが親友なのかしら? よくあの子のこと見てたのね。あの子ね、ここにきてからずっと不安でたまらなかったはずなのに、ずっと笑おうとしてたの。私に何を言われようと笑顔を作ろうとしてた。本当は泣きたいくせに、必死に堪えて、とにかく笑おうとしてたわ。あの子、よく笑う笑顔の素敵な子なんでしょうね。あなたも、由比クンも、あの子を取り巻く人たちも、そんなあの子のことが好きになったんでしょう? それも本当のあの子なんでしょうけど、でもね、あの子、笑っちゃいけないところでも無理して笑ってる時があるんだと思うの。今日会ったばかりであの子のこと知らないから断言はできないけど、あの子、多分、傷つきやすくて、泣き虫で、弱い子なんだと思う。なのに、そんな自分を隠して、無理して笑って強がってる。多分、由比クンのせいね。どうせ去り際に、泣かないで下さいとか、ずっと笑っていてとか言い残していったのよ。優しさのつもりだったんでしょうけど、結局、健気にそれを守って、無理して、辛い思いさせてるんだから、まああの子も由比クンもお互い様なんでしょうね」


「えっと…あの、話がよく見えないんですけど…さっきのあれは、わざとってこと…ですか?」


 いらなくなった怒りの捨て場所に困りながら、気まずそうに尋ねた香苗。


「あら、ごめんなさい。とりあえず立ったままもなんだから、座ろっか」


 由香里は机の椅子に、香苗は患者用の椅子に座り、向かい合います。


「ごめんなさいね。頭にきちゃったでしょ」


 済まなそうにそう言った由香里に、ブンブンと首を横に振って見せる香苗。


「ごめんなさいは、私のほうです! 済みません…酷いこと言って…」


「ふふっ、いいのよ。半分はわざとだったけど、もう半分は八つ当たりだから。きっと誰より大切に想ってる友達のためだもの、怒ってもいいんじゃない? 私、実は由比クンにふられてるのよね。アイツ、私みたいに才色兼備な女をふっといて、あんなお子様に走るんだもの。あの子のこと大嫌いでね、会えたら絶対に虐めてやろうって思ってたのよね」


「えっ…あっ…」


 怒っていいものなんだか、悪いものなんだか分からず、美空のために由香里になにか言うべきなのかも分からないまま、香苗の口から言葉にならない声がもれます。


「大丈夫よ。私の気はもう済んだから。私、大人ですもの。まあ少し大人気なかったかなとは思うけれどね。カナエさんは、今頃あの子が、どこに向かってるか分かる? あの二人、超がつくほどじれったいのよね。お互い、好きで好きでしょうがないくせに傷つけてしまうことを怖がって、お互い遠慮しあって。いいかげん、くっついちゃえばいいのよ。傷つこうが、辛い思いしようが、たとえ離れ離れになろうがね。せっかく焚きつけてやったんだから、お互い腹割って本音を話し合えばいいのよ」


「えっ? どういうこと…ですか?」


 不思議そうに首を傾げる香苗に、悪戯っぽく笑って見せる由香里。


「ふふっ、分からない? あの子、知ってるのよ。由比クンの居場所」










『あなたが由比クンの夢を奪ったのよ!』


 美空の脳裏に何度も何度も繰り返される由香里の言葉…病院を飛び出した美空の足が無意識に向かった先は、動物園でした。


 ポロポロと流れ続ける涙…もう、どんなに笑おうとしても笑うことのできなくなってしまった美空。あの手に癒してほしい、暖かくて優しいあのフワフワした手で…落ちるのが早い冬の太陽、西の空に微かな赤みを残し、一番星が輝きだした頃、美空は動物園にたどり着きます。


 帰る人に数人すれ違っただけで、ほぼ人気のない園内、湖のほとりのベンチに座っているプロフィーくんを見つけた美空。いつもなら元気に飛びついていくのに、ためらい、躊躇し、立ち止まってしまいます。


 プロフィーくんの背中を見つめたまま動けずにいた美空。確信は全然なくて…でも雰囲気や仕草、隣にいることで感じるあの時と同じ安心感や胸の高揚。きっとそうなんじゃないかって気づいていながらも、気づいていないフリを続けてきたんです。


 もう傷つきたくなんかない。今が幸せなら今のままでいたい。知らないフリをして、あの優しい手で慰めてもらえれば、また笑えるかもしれない、幸せでいられるかもしれない。でも、もしクマさんが…もしそうなら謝りたい…それでもし傷ついても、幸せが終わってしまうんだとしても、たとえ一生笑えなくなったとしても私は謝りたい…。


 涙でいっぱいの瞳で真っ直ぐプロフィーくんのことを見つめ、胸に当てた右手をギュッと握った美空は、一歩前に足を進めます。


 人の気配に気づき振り返ったプロフィーくんの大きくてまん丸な目に映った泣いている美空。立ち上がり、いつもどおりのコミカルな動きで慌てて駆け寄ったプロフィーくんは、心配そうに美空の顔を覗き込みます。


「…ふえっ…ぐすっ…クマさん…私…私……」


 一瞬ためらう美空…言ってしまえば、そうなんだとわかってしまえば、もう戻れない。でも…どっと溢れ出した涙とともにずっと抑えてきた気持ちも溢れ出して…うわあああんっと大きな声で泣き叫んだ美空は、プロフィーくんの胸にしがみつきました。


「私、知らなかった…なんにも知らなかったんだ…大好きな人が突然いなくなって、自分は不幸で、でも、大好きな人が残してくれた最後の手紙に書かれていた約束を守って、どんなに辛くても無理して笑って…そんな自分が強い子だって、えらい子だって、どこか誇らしげだったんだ。いつも自分だけが、自分だけが不幸で頑張っていてってそんなふうに思ってたんだ。ぐすっ…ひっく…全然違ってた。全部私が悪かったんだ。私が大好きな人を傷つけてた、苦しめてた、大切な…大切な夢を奪っちゃったんだ。私、なんにも知らずに、なんにも考えずに、自分の気持ちばっかりで………」


 プロフィーくんの胸に顔をうずめ、怖くて全身を小刻みに震わせる美空。しがみつく両手にギュッと力を込め、その手で自分の体をプロフィーくんから押し離した美空は、目を見開き、真剣な眼差しでプロフィーくんを見上げます。


「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい先生っ!! ごめんなさいっ!! 私、謝ることしかできない…許されることじゃない、許してもらおうなんて思ってないんだ。でも、ごめんなさい…ごめんなさい先生……」


 少しの沈黙、ためらい動きの止まるプロフィーくん…そっと両手を頭にあて、ゆっくりと持ち上げ、頭の着グルミをはずします。


 汗止めに巻かれたタオル、ボサボサの髪、美空の瞳に映ったのは、あの頃よりもなんだか少し男らしくなった由比の顔でした。


「先…生………」


「好野…やっぱり、わかっていたんだね」


 あの時と変わらず美空に向けられる優しい由比の微笑み。


「うん…絶対にそうだっていうのはなかったんだ。だけど声が聞こえなくたって、姿が見えなくたって、隣にいればわかるよ。世界で一番大好きな人のことだもん…でも私には先生を好きでいる資格なんてないよね…私のことなんて嫌いだよね…迷惑だよね…ぐすっ…ひっく…ひっく…」


 何度ぬぐっても溢れ、流れ続ける涙。うつむき、泣きじゃくる美空。そんな美空の肩に手を当て、そっと抱き寄せる由比。


「好野…違うよ。好野は何も悪いことなんてしていないんだ。悪いのはきっと僕のほうだよ。僕もキミのこと、何も知らなかった。こうして泣いているキミを見るまで、僕はキミがいつも笑っていてくれているんだと思ってた。僕のことなんかとっくに忘れてくれているって…でも違ってた。僕は、こんなにキミを悲しませていた、辛い思いをさせ続けてきていた」


「ううん! 違うっ! 私だよ。私が悪いんだよ」


 由比を見上げ、首を何度も横に振る美空。


「私、何も知らなかった…でも、今なら分かるよ。私が悪いんだ。先生、私のために私の前からいなくなったんだよね。先生、やめちゃったんだよね。夢…なくしちゃったんだよね…」


「違うんだ。僕は夢を失ったんじゃなく、捨てたんだ。夢なんかよりキミのことが、もっと、ずっと大切だったから。キミは、なにも悪くないよ。僕のこと、由香里さんから聞いたんでしょ?」


 うなずく美空。


「やっぱり。あの人にキツイこと言われたんだね。僕も昔は散々泣かされてさ…この間も相談に行ってね、すごい剣幕で怒られたんだ。アンタは逃げてるだけだって。何があったって、どんなに辛い思いしたって、好きな人と一緒にいられるのが一番幸せに決まってるって。心の底から好きになった人のことなんて一生忘れられるわけない、アンタが優しさだと思ってやってることでどれだけ傷つけて辛い思いさせてるか分かってるのかって。あの人のあれって優しさの裏返しで、誰よりもよくわかってくれて、考えてくれてて、やっぱりそのとおりだった。僕はわかってなかった。キミが僕のこと、こんなに好きでいてくれたこと、僕が、こんなにキミのことが好きなこと…」


 そう言って微笑み、ギュッと美空を抱きしめる由比。美空も、戸惑いながら少しだけ笑顔を見せ、由比の胸に顔をうずめました。




「えっ!? うそっ、あのクマさんが?」


 目をまん丸にして驚き、思わず腰を椅子からあげてしまう香苗。


「クマさんって…あれって犬じゃなかったかしら。まあ、クマに見えないこともないけど、ま、いっか。そう、それでね、多分あの子も気づいてるわよ。だって誰よりも好きな人のことなんだから声も姿も見えなくたって雰囲気とか仕草なんかでわかるもんよ」


 そう言った由香里。


「でも…それじゃあ…なんで? お互い好き合ってて、わかってるんなら、どうしてあの二人、結ばれないわけ?」


「そうねえ…あの二人、スタートから挫折してるダメダメな臆病者どうしだからね。あの子はホラ、小さいときのことだし、相当きついトラウマになってるんだろうから、せっかくまた逢えたのに、なにかアクション起こしちゃうと、またいなくなっちゃう気がして怖かったんでしょ。人間、知らないフリして現状維持ってのが一番ラクだからね。で、アイツはアイツでさ、春から青年海外協力隊に参加すること決まってるのよ。もうすぐいなくなっちゃうのわかってるのに着グルミ脱ぐわけにはいかないでしょ」


「そんな…外国に行っちゃうってこと? それじゃあ美空は…そんなの酷過ぎるじゃないですか」


「ふふっ、そうねえ。帰ってくるのは何年後になるかわからないっていってたわよ」


「なんか嬉しそうなんですけど…」


 なんだか嬉しそうにしている由香里を見て、少し不機嫌そうに言った香苗。


「怒っちゃった? ふふっ、だって結末が楽しみでしょうがないのよね。結果あの子がフラれでもしてくれれば、由比クン、私がもらっちゃうし。まあ、どうせそんなことにはならないんだろうけど…私が、なんでこの歳になっても独り身なのかわかる? 好きになった人のこと、そう簡単に忘れられるものじゃないのよ。ましてや、そいつが目の前で自分の好きな子のことペラペラ嬉しそうに話すのよ?」


「あっ…ごめんなさい…」


「いいのよ別に。ふふっ、カナエさんって感情がストレートで裏表がなくって好きよ。心配しなくてもあの二人、うまくいくと思うわよ。せっかく本音がぶつけ合えるように火種作ってあげたんだから、今頃、二人で探してるんじゃない? 幸せになれる方法。それがどんな方法にせよ、多分、あの子、辛い思いすることになると思うの。その時、カナエさんが、あの子を支えてあげて。あなたに、それがいいたかったの」


「私にできるかな…私、結局、美空のために何もできなかった。私、美空の親友の資格あるのかな…私なんかで…」


 そう言ってうつむき、瞳を潤ませた香苗。由香里は立ち上がり、香苗に寄り添い、優しく頭を撫でます。


「カナエさんは頑張ったわよ。あの子を私のところに連れてきただけでも大金星なんだから。大丈夫。あなたほどあの子のこと想ってる子、あの子が必要としてる子、ほかにいないわ。精神科医の私が保証してあげる。ねっ」


「なんだ…優しい人なんですね。さっきはごめんなさい…性格悪いとか精神科医に向いてないとか…」


「ふふっ、全然気にしてないわよ。っていうか、あれが素の私だし。精神カウンセラーなんて優しけりゃいいってもんでもないのよ。メイドだってほら、従順なのより、ツンデレのほうが需要高かったりするじゃない?」


「なにそれ、変なの。私には、よくわかんないや」


「ふふっ、いいの。わかる人には、わかるから。それじゃ、なにかあったらいつでもいらっしゃい。多分、私、相当力になってあげられるからね。ふふふっ」


 香苗の肩をポンと軽く叩いて椅子に腰掛け、そう言った由香里は、自信満々な態度で不敵な笑みを浮かべます。


「ははっ、じゃあ頼りにしちゃいますよ」


「おう、まかせときなっ」


二人は、そう言い合い、ニッと悪戯な笑顔を見せ合いました。




「青年海外協力隊?」


 ベンチに座っている美空と由比。聞き返した美空に、由比は複雑な表情でうなずいて見せます。


「行ってしまったら何年後に帰ってこれるかわからなくて…だから、その前に好野の姿を一度でいいから見たくて、それで、この町に戻ってきて…まさか、こんな風に逢えるなんて思ってもみなかった。何度も僕だって打ち明けたいと思った。でも、また同じことを繰り返すことになるから…」


「先生…私、行かないでなんて言わない。せっかく見つけたやりたいことなんだよね?」


「うん…僕さ、教師をやめてから、ずっとバッグパッカーやってたんだ。その途中で立ち寄ったある小さな島で、学校に行きたくても行けない、島でたった二人だけの子供に出会って、その島に半年くらい滞在して、その子たちに勉強を教えてあげてた。その子たちが本当に楽しそうに嬉しそうに勉強をしててさ、それを見てて思ったんだ。この子たちだけじゃない、きっと世界中にも勉強がしたくてもできない子供たちが数え切れないくらいいるんじゃないかって。もう一度そんな子供たちのために教師になって夢の続きを見てみようって…」


 そう言った由比は、うつむき黙り込んでしまいます。夢を捨て、美空と一緒にいることを選んでも多分、美空を傷つけてしまう。夢を選び、美空との別れを選んでも同じこと。同じことの繰り返しになるのかもしれない。それなら、いっそのこと…。


「好野…僕は夢を捨てても、夢を追っても、きっとキミに辛い思いをさせてしまう。だから僕のことを…」


「忘れてって? それじゃ、おんなじだよ…忘れられるわけないもん。生意気言ってごめんなさい。でも、先生は私のことを気遣いすぎて、きっと逃げてるだけなんだよ。私のことなんてどうだっていい、先生の本音が聞きたいの」


「それは…」


 言葉に詰まる由比。


「先生、あのね、私、あの時から星が嫌いになったままなの。ホントは大好きなのに、見るとあの時、先生がいなくなった時のこと思い出すだけだから。だから、また好きになれるチャンスがほしいんだ。私の本音はね、先生に夢を叶えてほしい。それで私は、どんなに辛くたって、寂しくたって、ずっと先生が帰ってくるまで待ってる。私は平気だから…だから忘れてなんて言ってほしくないよ。あの時、先生がいなくなってね、もう二度と会えない人、思い出だけの人になっちゃったの。そんなのイヤっ! どんなに離れていたって、何年後に会えるかわからなくたって、またいつか逢えるって、そう思っていたい。そうすれば私、耐えられるよ。季節が違うから今の夜空には見えないけど、ベガとアルタイル、彦星と織姫って、きっと何万キロも何十万キロ、ううん、もっともっと何パーセク(1パーセクは3光年ちょっとだったかな?)も離れてるのに、年に一回、必ず逢えるんだよ? だったら私達だって、地球上なら、どこにいたって彦星と織姫より近いもん」


「僕は…夢を追いかけてみたい。自分勝手だってわかってる。それでも夢と同じくらい好野のこと大切で大好きだから、好野のこと失いたくない。その…僕が帰ってくるまで待っていてほしい。ごめん…僕はヒドイやつだな…」


 情けない顔で済まなそうにそう言った由比の顔を覗き込み、満面の笑みで首を大きく横に振った美空。


「先生。私、大丈夫。絶対大丈夫だよ。私、寂しくなったら星空を見上げるんだ。どんなに離れていたって、この星空は先生に繋がっているもん」


「僕も見上げるよ。その先にある好野のこと、想い浮かべて」


 嬉しそうに目を細め、うなずいて見せた美空へ微笑みかけた由比は、美空の頭にそっと手をのせ、優しく撫でます。


「へへっ。ありがとっ、先生。私のこと好きになってくれて」


「僕のほうこそ、ありがとう。こんな僕のこと好きになってくれて」


「どういたしましてっ、へへへっ。ねえ先生…」


 由比の横に置いてあった頭の着グルミを由比の頭にスポッとかぶせた美空は、立ち上がって由比の正面に立ち、チュッと口づけをしました。


「へへっ。私、まだまだ子供だから、今はこれが精一杯。先生が帰ってくるまでには大人になって、もっとスゴイこと、いっぱいしてあげるねっ。へへっ」


「まいったな…はははっ…」


「へへっ。わあ~~~っ、すごい、星が降ってきそうだよ…」


 湖のほうへ足を進めた美空は、柵際で満天の星空を見上げて、両手を広げます。そんな美空に寄り添い、星空を見上げた由比。寒さに少し身震いした美空を後ろからそっと包み込みました。


「あったか~い。ねえ先生、あの時した約束覚えてる? 私たち、あの星みたいにキラキラ輝いていられるかな? ずっと変わらずに輝いていられるかな?」


「うん、いられる。絶対にだ。約束する今度は絶対に…」


 ギュッと美空を抱きしめた由比。


「うん。信じてる…私、信じてるよ」


 幸せそうに微笑み、目を細めた美空の目尻からこぼれた数滴の雫。二人は、寄り添ったまま、いつまでも星空を眺め続けたんです。


 この星空を二人の心に焼きつけるために。できれば流れ星なんかが見れたらいいのにな~なんて思いながらねっ。








                エピローグ




 ほんのつかの間だった二人の幸せな日々。あっという間に季節は春になり、別れのときを迎えてしまいます。


 見送りに行った空港、笑顔で手を振る美空、搭乗手続きを済ませ、待合のほうへと入っていく由比…その姿が見えなくなった途端、傍らにいた香苗の胸にしがみつき、泣きじゃくる美空…。




 相変わらず、その人懐っこい笑顔で幸せを振り撒いていた美空でしたが、辛いとき、寂しいとき、香苗の前では時々、涙を見せるようになりました。


 香苗は、美空が本当の自分を見せてくれるようになったこと、自分を頼ってくれることが嬉しくて…でも、そんな美空を見るのは辛かったりで…なんだか複雑な心境だったりします。


 美空のことを相談するために時々、由香里を訪ねていた香苗。二人は、ずいぶん仲良くなったみたいで、ユカりん、ナエっち、なんて呼び合い、一緒に御飯を食べに行ったり、家に遊びに行ったりしてるようです。由香里は、相変わらず美空が大嫌いみたいですけどね。


 寂しいけれど、それでも、あっという間に過ぎていく楽しい高校生活。見上げた夜空に星が無いときは、つい涙ぐんでしまうこともあるけれど、基本、元気いっぱいの美空。京都へのベタな修学旅行も終わり、三年生に。そして迎える受験シーズン。


 香苗と楓は、仲良く近くにある同じ大学にスポーツ推薦が決まり、美空はというと、海外で頑張る由比の手助けに少しでもなれればと、語学勉強のため大学に…っていうのは半分で、もう半分は香苗と楓と同じ大学に入りたかったなんていう不純な理由で猛勉強を開始。眠○打破をストローでチューチュー吸いながら眠気と戦い、連日の徹夜を経て、その甲斐もあって奇跡的に合格。晴れて春から美空は、香苗、楓と一緒に女子大生です。


 迎える春、卒業式を終え、卒業証書を片手に、みんなとの別れが辛くて校門を出れずに泣きじゃくっていた美空。そんな美空に、校門前に集まっていたクラスメイトの女の子たちから声がかかります。


「美空~っ! ありがとう。美空のおかげで高校生活、楽しかったよ」


「ホントにありがとう、美空っ!」


「私、この町出ちゃうから、会えなくなっちゃうけど、また絶対に帰ってくるよ。美空に会いに」


「卒業したって私達、いつまでも友達だからねっ!!」


 美空の涙が嬉しい涙に変わります。「こっちこっち~」とみんなに手招きされ、校門前へ向かう美空。


「ほら、美空はココっ」


 香苗に誘導され、校門前に並ぶみんなの真ん中へ。デジカメのシャッターを切る男子生徒、写真に写る目尻いっぱいに涙を溜めた美空の満面の笑み。


 チラチラと桜がつぼみを開き、もうすぐ始まる大学生活にそわそわしていた美空の自宅にかかってきた一本の電話。受話器を取った美空。


「もしもし…えっ!? うん…うん。うんっ!! 待ってる! うんっっ!!」


 瞳を潤ませ、キラキラと輝かせる美空。数日後、一人空港に向かい出迎えた美空の前に、ゆっくりと遠くから二年ぶりに見るその顔を確認しながら歩いてきた、ボサボサの頭に無精ひげ、真っ黒に日焼けして、なんだかたくましくなった由比が立ち止まります。


「おかえりなさいっ。先生」


「ただいま好野…ごめん、待たせちゃったね…」


「ううんっ! 大丈夫。全然待ってない。あっという間だったもん。全然、待ってなんか…」


 満面の笑みだった美空の顔がクシャクシャにくずれ、瞳からポロポロと涙がこぼれ出します。


「ごめん…ありがとう。好野…」


「先生…うわあああ~~~ん!!」


 由比の胸にしがみつき、泣きじゃくる美空。そんな美空の頭を、優しくそっと撫でる由比。


 由比は一時帰国で、またすぐに戻ってしまいます。まだまだ続く二人の遠距離恋愛、辛く寂しい日々…そんな恋を選んだ二人の物語は、まだまだ続きますが、今回はここまでになります。


また機会があれば、二人のこと、見てあげてください。今度はきっと、これでもかってくらい幸せになった二人のこと、見てもらえると思います。




                                        おしまい


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