勝ったのはホットケーキ
ぴゅうぴゅうと北風が吹きました。
「≪木枯らし≫だ」
合い言葉。
キツネは言った。
「勝負だ」
「こっちこそ」
たぬきは受ける。
はい、どろん。
ほい、どろん。
「やあやあお嬢さん、寒いね」
彼女は首を傾げた。
「紳士はお腹は出さないものよ、たぬきさん」
ほほほと娘は去っていく。
「やあやあお嬢さん、お待ちなさい」
もう一人。
娘は首を傾げた。
「お口に髭が3本ありましてよ、キツネさん」
ほほほほほ。
「「引き分けだ」」
娘がちらちら振り返る。
「なんだようお嬢さん」
たぬきが言うと
「おいでなさいな」
そして3人は、ホットケーキを食べました。
幸せの味。
「勝ったのは私」
娘の言葉に。
「「違いない」」




