第70話 詠唱破棄と即興改編
即興改編とは、詠唱破棄から派生した魔術の高等技術だ。
魔術を行使する際、本来ならば唱えなければならない詠唱文を文字通り破棄し、魔術名を唱えるだけで魔術を唱えられるのが詠唱破棄。
詠唱の補助がない分、深い知識と高い創造力を求められるが、魔術を行使するスピードが段違いであるため、討伐ギルド要員や軍属の者たちの中では常識的に使用されている。
逆に言えば、詠唱破棄で魔術が唱えられない者たちはそういった職には就けない、と言っても過言ではない。
そして、即興改編。
こちらは詠唱破棄と同じく、本来ならば唱えるべき詠唱文を破棄するのに加え、魔術名に直接、己の創造イメージを付与する技術だ。
詠唱破棄のように必須な技術というわけではないが、どんな魔術にも存在する魔術の方程式に無理矢理介入し、威力を底上げしたり効果範囲を拡大、持続時間を延長したりと様々な効果を付与する。
そして、それを即座にその場の思い付きで行えるからこその即興改編だ。
無論のことだが、詠唱破棄からの派生とはいえ求められる能力の高さは段違いであり、習得出来る者は才ある者の中でも更に一握りの上澄みのみ。
その上澄みの者たちですら修得には数年では足りない、とまで言われる魔術の頂点のような技術の一つだった。




