表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の後始末  作者: まるす


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/67

第62話 あや取りのように

「んっ……」


 黎明よりも少し前。

 ようやく暗闇に少しづつ色がつき始めた頃。

 少女は微睡みの中を揺蕩たゆたっていた。


 身体のあらゆる部位が鈍く痛む。

 魔素(マナ)枯渇状態からは回復していたが全身が怠く、頭が重い。


(ここは……)


 微睡む意識の中、少女は辺りを見回す。


 ベッドに寝かされ、角灯(ランタン)の火は落とされていた。

 家の中には自分一人、辺りからは喧騒が聞こえてくる。


(私は……確か……)


 必死に記憶の糸を手繰り寄せようと試みる。

 自分は、クレハ=オリヴィアは、今一体どういう状況になったのか。


 記憶の糸は複雑に絡み合い上手く手繰れない。

 魔素マナ枯渇状態とは知識としては知っていたが、ここまで酷いものだとは知らなかった。

 やはり書物を読むだけでなく、自身で経験しなければ本当の意味で物事を理解など出来ない。


(似たようなことを少し前にどこかで……)

 

 はたと気付く。


(そうだ、私は)


 自分は魔素(マナ)欠乏症に陥り、ルーイにお姫――横抱きで抱えられたまま、ここに連れて来られたのだ。

 それから寝台(ベッド)に寝かされ――。


(違う、もう少し前)


〝封印の祠〟からの帰り道、転移魔術を行使したのは自分ではない。

〝魔女の庭〟で出会った、リリー=ロル=ビターと名乗る謎の少女が転移魔術――正確には転移呪術――を行使し、無事にプイスまで帰り着いたことに安堵した。


 そして、その少し前に何か重要な話を――。


「っ!」


 複雑に絡んでいた記憶の糸が、まるであや取りのように綺麗に解けて、手繰り寄せられた。

 

 同時に意識が覚醒する。

 傷口は丁寧に治療されていたが身体全体が痛む。

 そして、全身を苛む倦怠感と頭痛。


 しかし、動けないほどではない。


「っ……!」


 己を奮い立たせ、鉛のように重い体を動かし寝台(ベッド)から起き上がった。


 まずは現状を確認しなければいけない。

 一番良いのはルーイに会って話を聞くことだが、恐らく彼はもうここにはおらず、自分の役目を果たすために奔走していることだろう。

 カトレアもきっと同じだろう。

 

 ――とすれば。


「タリア様に会わないと……!」


 少女はゆっくりと玄関に向った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ