第60話 「ヤッパリお前は」
「ふぅふぅ……」
ルーイは大木を背に座り込んでいた。
足が重い。頭痛が酷い。打撲、捻挫、擦過傷と比較的軽傷で済んではいるが、さすがに体力が限界に近かった。
〝封印の祠〟で僅かばかりの休息を取って以来、休みなく走り回っているのだから、それも当然だった。
魔物たちに囲まれることも増えてきた。
霧は晴れ、月明かりが森を少しは照らしてくれているが、かといって特別夜目が効くわけでもない。
魔物たちに追われている中では、足元を見誤って転ぶだけでも致命傷になりえる。
そんな状況での心労は言うまでもないだろう。
加えて例の槍は、ルーイの状態に関係なく、気力や体力を根こそぎ奪っていく。
だが、それでもルーイは槍を手放さない。
この槍はそれだけの攻撃力を秘めているのだ。
急所でなくとも一突きすれば、簡単に魔物たちの生命を奪う。
力を入れずとも振るえば、その切っ先が魔物たちの脚を断ち切る。
ルーイの魔素を求めるように穂先と石突の魔法銀が白藍色に輝く。
その度に槍は鋭さを増し、ルーイは力を失っていく。
「はぁはぁ……ったく、全部終わったら、ヤッパリお前は質屋行きだ」
槍を一瞥し、杖にして立ち上がる。
泣き言など言っていられない。
震える足を懸命に動かし少年は歩き出す。
(残り九箇所……!)




