表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の後始末  作者: まるす


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/67

第49話 質屋

「………………」


 帰路に就く中、ルーイはデビルゴートとの戦闘中に頭の中に響いた声のことを考えていた。


『汝、神の子……封印を解かれし』

()を解放せし……』

()を……』


 単語自体の意味は分かる。


『神の子』とはそのまま神様の子ども、という意味だろう。

 だが、『汝、神の子』と言われた途端に全く意味が分からなくなる。

 確かに産みの親のことは何も知らないが、どう考えたって自分が神様の子どもなわけがない。


『封印』とはそのままの意味だろう、さして考えるほどのことではない。

 そして、『我』とはあの場のことを考えれば恐らく例の槍のことを指すのだろうが、こちらもよく分からない。

 槍に自我が宿っているとでもいうのだろうか。


「……まさかな」

「どうかしましたか?」

「いや、なんでもない」


 クレハの問を曖昧に流しつつ、そういえば、と記憶に引っ掛かっていたものを引っ張り出してみる。

 

 付喪神(つくもがみ)、という神がいるらしい。

 なんでも長い年月を経て使い込まれた道具や武器などに、神や精霊といった存在が宿ることがあり、そういったものの総称を言うのだそうだ。

 昔読んだとある文献に記述されていた内容で、神を信じていないルーイだが、そういった発想は面白いと思ったので頭の片隅に残っていたのだ。


 まさか、あの槍にその付喪神つくもがみとやらが――。


(まぁ、いいや……それに)


 気になることはもう一つあった。


 槍を抜く前、ルーイは意識を失っていた。

 その時、何か重要なものを見た気がする。

 気がする、というのは物凄く曖昧でただの夢だった、と言われればそれまだけで済むような泡沫だ。

 だが、その泡沫が何だったのかがとても気になる。


 ルーイは武具召喚を行い、例の槍を取り出す。

 普段はサバイバルナイフを腰に佩き、(いしゆみ)を背負っているので、長物や大型の武器を異空間に収納できる武具召喚を必要としておらず、今まで使ってこなかったのだが、さすがに自分の身長ほどもある槍を持ち歩くのは邪魔で仕方なかった。


 武具召喚自体は珍しくものではなく、また簡単な魔術ということもあり、クレハに少し教えてもらうだけで簡単に覚えられた。


「………………」


 当然だが、さっきまで地面に突き刺さっていた槍をルーイが握ったのは初めてのことだ。

 だが、何度握ってみても長年これを握っていたとしかいいようのない、しっくりくる感じ。

 初めてなのに手に馴染む、という矛盾がとても気持ち悪かった。


 気持ち悪さを隠すように、ルーイは顕現させた槍をすぐにしまった。


「本当にどうしたのですか? あの槍が気になるのは分かりますが」

「……いや、こんなのオレには過ぎたる物だしさ。質屋に入れたら一生遊んで「ルーイ様?」なーんて冗談だよ、冗談! あっはははは」


 石突の部分にある魔法銀(ミスリル)だけで、プイスの一年間の税収どころではない金額になるだろう。

 そして、穂先にはその倍以上の魔法銀(ミスリル)が使われているのだ。

 質屋に入れたら――というか、こんな小さな島の質屋が買い取れるわけがない。

 王都まで足を運んだとしても、果たして扱ってくれるか店があるのかどうかすらも怪しい。

 

 そして、満身創痍とは思えないクレハの覇気を感じ、ルーイは頭を掻くことしか出来ない。

 恐らくクレハはルーイが本当にそんな事を考えているとは思っていないだろうし、何かの思惑があるとが理解しているのだろうが、そこを突いてきたりはしなかった。

 平然を装って視線を前に戻す。


(今考えても何にもならないし、とにもかくにもまずはクレハを休ませてやらないと。他のことはババアに相談するか)


 二人は来た道をゆっくりと戻っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ