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居なかった世界では

 私は香水を係の人に預けたので取りに行く。エルはその間騎士団の人と話している。


「…ティナ」

 ルファーが私に声をかける。

「どした?ルファー?」

「エルに告白したのか?」

 ルファーは少し寂しそうに笑う

「そうよ?ねぇ、ルファーは誰と話したいの?」

 私はルファーを問い詰める。私を見ているようで見ていない。彼はきっと紗枝を探している。そんな気がする。

「え?」

 ルファーは突然のことで慌てる。

「いくら、私が顔がそっくりでも魂は違うわ、あなたと紗枝の間には何があったの?」

 ルファーは片手で顔を隠す。

「うわー、バレてたんだ…、もちろん話すよ。君にも申し訳ないし」



◇◇◇


「カートレット嬢が古語を解読してるらしいぞ」

 父上はにこやかに話す。

「ルファー、お前の2つ下かー。まだ幼かろうに…きっと考古学者になるんじゃないか?」

 父上はきっとカートレット嬢と私をくっつけようとしているに違いない。そして、私はカートレット嬢の婚約者エルリックとも仲が良いので知っていた。父上は口頭の婚約が無ければなあっと言っていた。


 そんなある日、古語ではなく彼女の魔法学の方がずば抜けていると王宮で表彰されることになった。

 1人キョロキョロしている暗い子がいた。私は趣味で庭仕事をしていた。汚れてもいい服だったから庭師と思えるほどだった。

 私は迷子を無視しようかなと思ったが、それはそれでめんどくさいなと思い始めた。はぁーっとため息をついて

「ねぇ、迷子?」

 彼女はこくりと頷く。

「どこに行くの?」

 彼女は髪の毛がボサボサで淑女としては程遠いが…いいとこの貴族なんだろう…服は新しく綺麗だ。

「緑の間」

 王宮にある緑の間は謁見室として使われているが、それは功績をおさめた人のみに使われる部屋だ。

「あー、君、カートレット嬢?」

 彼女はこくりと頷く。私は彼女を緑の間に連れて行こうとした。

「ねぇ、この花育ててるの?」

 長い前髪から彼女の目が見えた時ドキッとしてしまった。

「うん。」

「この世界にもこの花があるんだ。私この花好き」

 当時の私はこの花が好きと言われて、私のことを見てくれている気がして彼女にときめいてしまった。エルには隠さないと…。

 それから何度か王宮で彼女を見かけた。

 宰相は自分の娘が魔力暴走を何度も起こしてしまい小さな頃に亡くなってしまった。娘のように魔力量が高い子をなぜか好いてしまうようだ。この前までアセラだったのに…もう、カートレット嬢じゃないか。カートレット嬢はすごくいやそうな顔をしている。宰相何してるんだよ…。

「おい、宰相、彼女が嫌がってる。こんなことするなら父上に言うぞ」

 私は親指を下にして首の近くで線を描いた。口パクで『クビだぞ』と脅した。


「ありがとう。」

 カートレット嬢はすごく嬉しそうに微笑んだ。笑えるんだ。

「いいえ」

「私、週に3回王宮の図書館に通うことにしたの…もしよければ友達にならない?」

「私でよければ、」

 その時交わした握手は、今でも忘れない。

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