ソルトオレンジティー
女性客が多い…店の前までは来れたが、なかなか入れない…
ドン。
私は女性の背中にぶつかってしまった。その人はフードで顔を隠しているようだった。少しフードからは桃色の髪色が見えた気がする…
「申し訳ございません」
と私は謝る。私が前を向くとそこには…エルとアセラ王女様がいた。ぶつかった際にソルトオレンジティーの香水の瓶が割れたようだ。
匂いと目の前にいる光景で胸がいっぱいになる。
「いいのよ」
アセラ王女はニヤッと笑う。そしてエルにピッタリとひっつく。
私は声にもならなかった。
「エル…」
エルに声をかけるがエルは私の方は一切見なかった。
エル…?
「明後日は婚約発表だったかしら…?」
アセラ王女はエルに問う。
「はい。アセラ王女との婚約発表です」
エルは顔色をひとつ変えずに言う
アセラ王女は嬉しそうにする。
「エル…?私とじゃなく?」
エルに問いかけてもエルは一切私のことを見ない。まるで、私がいないように感じる…
何があったの?どうして?
「何言っているの?発表も一切していない状態で婚約者のつもりなの?ずっとエルは私のものだったの…やっと手に入った…ふふ」
アセラ王女はエルの頬を触る。
だが、エルは一切微笑んだりしていない。
「感情も手に入ればいいのに」
アセラ王女は言う。
まさか禁忌の魔法…?
「むせるような匂いがしますわ。行きましょうエル」
アセラ王女はエルにエスコートをされて行った…
ソルトオレンジティーの香水の香りがする。胸が苦しい。匂いのせいなのか、それともエルが離れたからなのか。
「本当にむせるわ…」
私の目からポロポロと涙が溢れる。心が壊れそう。
天気も急に悪くなり、雨が降り始めた。
よかった。匂いも消えそう…
私はしゃがみ込んだ。
「そんな所でしゃがみ込むと汚くなるよ」
ソルトオレンジティーの匂いが充満しててもわかる花の香り
「ルファー…」
「とりあえず、傘を…」
ルファーは私に傘をさす。そして濡れた服を魔法で乾燥させてくれた。
「ありがとう…」
「とりあえず、話そうか」
ルファーのエスコートと共にカフェに入ることになった。
私から香水臭いのに…と気にしていたが、魔法で匂いも消臭してくれたようだ…
「ごめん香水まで匂い消してくれたんだね」
ルファーはコーヒーを飲み
「ごめんね。アセラのせいで…」
「いや全然…でも、エルが…」
私は魅了の魔法の話をした。
「実は、アセラが変な動きをしたからあの店を調べたんだが、魅了する魔法なんてものはなかった」
「え、?」
「商品も鑑定したが効果はないようだ」
じゃあエルは?
「多分あの魔法はアセラじゃ解けない。」
「エルは?どうして?」
「…多分、演技だ」
演技?なぜ?
「君の魂を異世界に送った犯人の監視じゃないか?」
「そんな…犯人はアセラ王女だったのですか?」
「おそらく…決定的な証拠があれば、」
ふと、髪色を思い出した…
「殿下お願いが」




