第9話 誘拐された楓
カエデ=タナカを無事に返してほしければ、アンペール王子一人で指定された場所まで来い。
本日18時までに〇○○埠頭B倉庫
「という手紙が俺の下駄箱から出てきたんだが?」
「「下駄箱なのにね~」」
「不穏なラブレターだな」
「で、チョージとしてはどうなんだ?」
「ちょっと誘拐されたくらいで音を上げるようでは俺の婚約者とは言えない。さ、今日の議題に移ろう」
「流石、チョージ様。それでこそです!」
「カエデさん、どうしてここに??」
「「自作自演疑惑……」」
「やだぁ、ちゃんと(?)誘拐されましたって!でもほら、私は暗器が得意だから体中に刃物が隠してあるんですよ!ちょっと縛り上げたくらい簡単に縄抜けします。あとはごく普通に逃げるだけ。ね?かんたんでしょ?」
「そんなんだろうと思って俺はちっとも心配していなかった。さ、今日の議題……」
「それがさぁ。カエデ嬢奪還についてを話し合おうと思ってたんだよね」
「……」
「今日はこれで解散か?」
「せっかくだから、チョージはアワレちゃんで門外不出の使わない書類を斬ってくれないか?」
「了解!」
チョージはイライラしてたのかなぁ?すこしはカエデ嬢の心配をしたのか?聞かないけど。アワレちゃんで攻撃されたら怖いもん。
「チョー、いくよ!そぉーれ!」
俺は紙の束を投げた。もう要らない重要書類。シュレッダーはシュレッダーを掃除するのが大変詰まるし。
チョーはイアイの要領なの(?)で細切れにする。細切れになった紙くずは的確にゴミ箱に入るように鍛錬しているようだ。
「せっかくだし、この今朝俺の下駄箱に入ってた脅迫文の紙も頼む!」
より一層細切れになったそれはゴミ箱に消えていった。
「チョー、腕を上げたんじゃないか?」
「まだだな?ほら」
と、チョーは落ちている一欠片を手にした。俺からしたら、たったの一欠片だけど、チョーにとってはそれが大きなもんなんだろうなぁ。
「さ、チョージ様、一緒に帰りましょう!」
「ああ」
お前ら、同棲してるのかよ?聞いてねーぞ?
「「カエデちゃん、チョーと住んでるの?」」
「婚前に恥ずかしいことですが、チョージ様が知らない土地では危ないからと…」
ランスコット王国、そんなに危なくねーよbyアンペール王子
「チョー?婚前に手は出さないようにな」
「まぁ、一応学生だしな。国に帰ればまた違うが、そこら辺は弁えている」
「まぁ、弁えているんですの?接吻は弁えているうちに入るのかしら?」
二人の関係はどこまでなんだー!!チョーがポーカーフェイス過ぎて判らない。
ペールの叫びはわかるが、二人の関係はどうなの??