第8話 チョーの婚約者
「今度東方の国から俺の婚約者がランスコット王立学園に留学するからよろしく」
チョーの突然の告白に生徒会メンバーは騒然となった。
「「えー?チョーに婚約者いたの?どんな人?」」
「一見大和撫子だが、見かけよりもずっと強い。ずっとタナカ家の影をしていた家の娘だ」
「はぁ、それは強そうですね。暗器とかしそうです」
「「暗記?テストのやつ?」」
「違いますよ。暗器は武器を隠し持つ暗殺技です」
「「怖~~い!!」」
双子は抱き合って怖がっている。
それにしても…チョーに婚約者かぁ。チョーだって国に戻れば一国の王子なわけで婚約者がいても全く不思議じゃない。
「ランスコット王家の王子に婚約者がいない方が不思議なんですよ!」
それって俺かよ!ゾナ……覚えてろよ!!
「初めまして、東方の国より留学でやってきました。田中、あ、ファーストネームが先ですね。カエデ=タナカと申します。よろしくお願いします」
確かに大和撫子って感じの美人だ。
「「わーい、よろしくね~♪」」
「ちょっと待った‼」
チョーが大声を張り上げるのは珍しいな。
「楓、ルクレとククレの双子だ。事前に勉強してるんだろう?ルクレ、ククレ、楓は自由に爪を出し入れできる。爪の先には猛毒が塗ってあるから、気軽に握手するのは危ないぞ」
「チョージ様にそのように思われていたなんて……」
「「ほら~、女性を傷つけてるよ?」」
チョーは女性の扱いが下手だな。アワレちゃんの扱いの方が上手いんじゃないか?
「俺達のフルネームと家とかをまとめておいた」
「「さすがゾナ」」
「壁に貼っておくぞ」
会長:王太子、アンペール=ランスコット(ペール) 統括 次期国王
副会長:バリゾナ=サース(ゾナ) 脅迫 宰相子息
書記:チョージ=タナカ(チョー) 証拠隠滅(刀で証拠を斬る) 東方の国の傍系王家子息
会計:クールクレバ=ホーム(ルクレ) 裏帳簿の発見 双子弟 文系 大手商家の子息
会計:アーククレバ=ホーム(ククレ) 裏帳簿の発見 双子兄 理系 同上
「「俺達、会計だったんだ~」」
「商家だけあって、裏帳簿見つけるの上手いからな」
「田中ってファミリーネーム多いのか?」
「うちの国の王家はだいたい田中だ。楓も遠い王家だ。継承権もあるはず」
「そんなものは放棄致しましたわ。私にはチョージ様いらっしゃればそれだけで……」
カエデは頬を染めた。
「あ~、ラブラブ劇場は閉幕でいいか?」
「「異議な~し!」」
生徒会役員…自分の役職知らないんだ…。