第6話 平和?
うららかな陽気で眠くなるなぁ。っと書類は待ってはくれない。
「チョー、これらの書類はもう処理済だから斬ってくれるか?」
アワレちゃんが妖しい光を放つ。チョーはイアイという型らしい。正直よくわからない。チョーが斬った書類クズは全てゴミ箱に入る。たったひと欠片、たったひと欠片ゴミ箱に入らなかったのを見てチョーは、「まだまだ、未熟だな」という。
でも双子は拍手するし、ゾナも刮目している。誰と比較しているのだろう?自国にはチョーよりも剣の使い手がいるのだろうか?
「最近、学園内はめっきり平和だなぁ」
俺は思う。しかし、ゾナをはじめ他のメンバーたちからは何故か冷たい目線を受けることとなった。
「はぁ、それは多分ペールが王太子だからだねぇ。次期国王の前だといい子ぶってるんじゃないか?」
と、ゾナは言う。なんだ?俺だけ仲間外れ?
「「ペールだけ知らないんだ」」
「俺でも知ってるのに……」
なんだよ?
「なんだよ、最近何があるんだ?」
「俺が話す。副会長だしな。平民だけどお金持ちってやつらがいるだろ?商家の息子とかだな。ルクレとククレの家の商家よりは小さいけど」
「「うちと比べないでよ!!」」
「あー、悪い悪い!で、その息子をターゲットにまぁイジメ?みたいなことがあるんだな。貴族風を吹かして、平民のクセにみたいな?」
「なんだそれは?ルクレもククレも平民だぞ?」
「二人を敵に回すと、だいたいの物が買えなくなるから、しないんじゃないか?」
「貴族ともあろう者が恥ずかしい。まずは調査だな」
「「もう十分てほど目撃してるよ」」
「見てないのはペールだけ」
「そうそう」
結構凹むんですけど?
うーん、虐めねぇ?いい歳した貴族が恥ずかしい。
「そいつさぁ、もしも今イジメてる奴が卒業後に今より大きい商家になった時に自分の家になーんも売ってくれないとか考えないわけ?学園の目的に、人脈作りもあるんだけど?」
「考えてないからイジメなんて、阿呆なことをするんでしょう?」
実際に卒業後、イジメに遭っていた令息の商家は成長し、ハッキリ言ってその収入はちょっとした貴族よりも多いものだった。
「どうして、我が子爵家は何一つ購入できないんだ?」
「子爵の息子さん、学園在学時に我が息子に暴行を働いていたとか?」
「それは…若気の至りで…」
「しかしですねぇ、そのような振る舞いはとても貴族様がするようなものとは思えないんですよね。私共は信用商売です。信用のおけない方とは取引をしないことにしているんです」
「それは……我が子爵家が信用ならない。と?」
「はい」
「それでは、お引き取り下さい。そうそう、各支店子爵の家は出入り禁止となっておりますので、お気お付けください。また、使用人などを使おうとしても、我が商家の自慢の傭兵がきちんと見ておりますので、そのような下等な振る舞いはなさいませんように。貴族様がまさかそのような下等な振る舞いはなさいませんよね?さぁ、子爵様がお帰りだ。店から出して差し上げなさい」
そう言って、手を叩くとどこからかゴツイ人間が現れて子爵は店から放り出されてしまった。
注意一瞬ケガ一秒って感じだねぇ。自業自得というか…。