第3話 結果報告!
チョージって名前漢字でどう書くんだろう?苗字は田中だよなぁ。
「よし、俺は書類処理出来たぞ!それぞれ報告を!……俺はお前らが調べている間、黙々と生徒会室の書類を片付けていた。ゾナ、後でミスがないかチェックをしてくれ」
「報告は、まずはゾナから」
「公言してなかったが、俺、風邪気味だから香水の調査に向いてるんだか?ロレーヌ嬢だが、何か知らんが、突然『課題を写させてくれ』と俺に言いだした。初対面でそれはないだろ?そういうことで、断った」
ロレーヌ嬢も香水の効果を実感したかっただろうに不憫……。
「「風邪気味って予め言ってよ~」」
「ああ、悪かった。特に鼻詰まってるんだよな。香水の調査に絶対向いてない」
「続いてチョーはどうだった?」
「あぁ、ロレーヌ嬢だけど、男の前だと分厚い猫被ってる。あと、魅了にはやっぱりあの香水が関わってるな。あれは東の方の国で製造禁止になったやつだな。どうしてロレーヌ嬢が持ってるのか?俺はクレイン子爵がアヤシイと睨んでる。うちの人間総動員で子爵の方を洗おうと思う。そっちがアヤシイ」
野生の勘か?
「ルクレとククレは?」
「匂いで東の方の国で製造禁止になったやつってわかった。でもロレーヌ嬢が『瓶と中身が違う』って言いはって。明日、今付けてる香水とそっくりな香りの香水を持ってくるから、それと今持ってる香水を交換って話をした。なんか『お父様がこの香水の香りが好きなのよ』って粘るからさぁ」
「それって、明日香水忘れてくる可能性大だな、魅了効果がある香水の香りが好きってどんなだよ?」
「俺も思う」
そもそも香水の瓶など持ち歩かないだろう? 支度の段階で使って自室に置いておくものじゃないのかなぁ?
「「酷いや、頑張って調べたのに!」」
酷いのは明日忘れてきたら、忘れてきたロレーヌ嬢だろう?
「いや、ルクレとククレの手法であの香水が瓶ごと手に入れば大手柄!」
ルクレとククレはハイタッチして喜んだ。……チョロい。
―――翌日
ルクレとククレは調合した香水をロレーヌ嬢に渡した。
「「はい、これ。調合結構難しかったなぁ」」
((簡単だったんだけどいいのかな?))
「あ、手が……」
ロレーヌ嬢は持って来ていた香水の瓶とルクレとククレ作の香水の瓶を落としてしまった。
((ワザとだろ?))
「大丈夫だよ~☆」
「そうそう☆」
「「僕らが作った香水の瓶はそんな簡単に割れない強化ガラス製だから☆」」
「まぁ、ありがとう。辺りが香水臭くなっちゃったわね、おほほ」
((このお嬢様…偽の香水を割ったな?臭いでわかる))
「ところで、父君が好んでいるという香水はどこ?」
「そうそう、これはその香水とは別の香水でしょ?」
(スルドイわね。しつこい男は嫌われるわよ!)
「申し訳ありません。今日は家に置いてきてしまったみたいで…」
嘘くさい。さっき落としたのは何だったんだ?ダミーで誤魔化せると思ったんじゃないのか?
「そっかぁ、それなら仕方ないね☆」
「製造禁止かもって香水だし、放課後におうちに直接取りに伺うよ。生徒会の皆で☆」
((高位爵位の子息がいっぱい。断れないよね?子爵家))
そんなやり取りを廊下の屋根裏からみているチョーは…
はぁ、放課後にあの猫かぶり令嬢の家に行くのか…。香水を落とすとかワザとらしい。ルクレとククレが予め対策してると思うのが普通じゃないのか?おっと、生徒会内部の普通は外部じゃ通じないのか…
「チョージ様」
「なんだ?」
「クレイン子爵家の方の調べはつきました。真っ黒です。製造禁止の香水を輸入するだけでも重罪ですが、その他にも脱税・裏賭博主催・人身売買など真っ黒」
「はぁ…。で、証拠はきちんと掴んでいるんだろうな?」
「もちろんでございます。今すぐ陛下に奏上しても問題がないほど証拠はがっちりとつかんでおります」
「この件については、まだペールが何というかわかんないからなぁ」
「御意」
田中家の裏の人間とのやり取りは終わった。周りに二人の会話は伝わっていない。この会話は全て目配せ、及び瞬きのみで行われたもの。廊下にいるルクレとククレはもちろん、ロレーヌ嬢にも全く気付かれていない。
というより、まさか学校の廊下の屋根裏に人がいるとは思わないだろう。
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