隣国の皇子殿下からプレゼントをいただく
クロヴィス、家宝にする
「いらっしゃい、アリスティア様。クロヴィス様とシエル様も」
「お招きありがとうございます、リュック殿下!」
「お久しぶりです。お元気そうでなによりです」
「リュック殿下にまた会えて嬉しいです!」
私はアリスとシエルと共にリュック殿下に招かれた。謁見室で久しぶりに顔を合わせるリュック殿下は、少し大人っぽくなった。
「リュック殿下、ご無理はなさっていませんか?不安なこととかがあればいつでもお話し聞きますからね」
「ありがとう、アリスティア様。でも、慣れない環境だけど少しずつ俺の日常になってきたし大丈夫だ」
「リュック殿下、私達のことは呼び捨てで構いませんよ」
「…けど、やっぱり皇子様扱いはまだ慣れないな。仕方ないけど」
私の言葉にリュック殿下は困り顔だ。
「…それで。あ、アリスティア…とクロヴィス…は進展したんだって?結婚指輪も…あ、今も付けてるな。本当にありがとう。俺、大丈夫かなってちょっと心配してたから嬉しい」
私たちを呼び捨てにするのは慣れない様子のリュック殿下。その姿を見るとまだまだ変わらないなと思う。
「ふふ。ありがとうございます、リュック殿下!そんな風に祝福していただけてとっても嬉しいです!」
「私が頑なにアリスへの恋心を否定していたため、色々ご心配をおかけしました。今はお互い気持ちを自覚して、上手くいっているので大丈夫です」
「へえ。すごい進歩。えっと、アリスティアのお姉さんがクロヴィスを焚きつけたんだっけ?」
「…リュック殿下、知ってらっしゃったのですね」
私は照れて、顔を真っ赤にして片手で覆う。
「…お恥ずかしいです。義姉上の婚約者が、アリスと仲良く話しているのを見て…義姉上から『他の誰かに見初められでもしたら大変ですよ。今のうちにがっちりと捕まえておかないと』と煽られまして」
「え、お姉様そんなこと言ってたの!?」
「アナイスお姉ちゃんって結構ズカズカ行くよね。そこも好きだけど」
驚くアリスに静かに頷く。シエルは平然としている。そんな私達にリュック殿下は楽しそうに笑う。
「アリスティアのお姉さんはすごいな」
「でも実際、アリスは可愛いから他の誰かに取られる前に自分の気持ちを自覚出来たのはありがたかったです」
「そうだな。アリスティアは優しいし、憧れる人もこれから増えるだろう。飢饉から国を救ったり、色々活躍しているしな」
「そ、そんなことないですよ!」
そんなことある。アリスは素敵な人だから。
「それで焚きつけられて嫉妬して自覚して、告白したんだよな。勢いのまま言っちゃったのか」
「はい」
「で、アリスティアに逃げられたと」
「はい」
「ふふ、申し訳ないけどそれ少し面白い。クロヴィスがそんな風になるなんて思わなかった」
くすくす笑うリュック殿下。自分でもあんな風になると思ってなかったので、まあ人から見れば面白いんだろう。
「本当にお恥ずかしいです。マリスビリーが迎えに行った時には、混乱し過ぎたアリスが泣いていたらしくて。これから先は嬉し泣き以外で泣かせないようにします」
「え、アリスティア泣いちゃったの?大丈夫?」
「はい、マリスビリーと話したら落ち着きました。その後クロヴィス様と向き合わなくちゃって思って戻ったら壁ドンされたので、さらに混乱しましたけど」
「クロヴィス、慌てすぎ。でも、それで進展したならまあいいのか…?」
「結果オーライですね!」
シエルがサムズアップをする。リュック殿下はくすくす笑う。
「俺がいない間にそんなに面白いことになっていたなんて。俺もその場に居たかった」
「ふふ。お兄様ったらね、すごかったんだから!アリスティアお兄ちゃんに壁ドンして『好きだ』『私をどう思う?』って!」
「ますます見たかった」
「アリスティアお兄ちゃんもすごかったよ!『僕、クロヴィス様が大好き!クロヴィス様の告白も嬉しかった!でも、これが恋愛感情かそうじゃないのかわかりません!」』って!」
「そんなの言ってる時点で明らかに恋愛感情だよ…アリスティアは本当に鈍いな」
それは私も思う。けれどそこも可愛らしい。
「えへへ…でも、最終的に自分の気持ちも自覚出来ましたし」
「やっぱり告白されて自覚したのか」
「ええっと…あはは」
「それもあるけど、お兄様がアリスティアお兄ちゃんを壁ドンしたまま顔中にキスしまくって無理矢理自覚させられてたよ!」
シエルの言葉にリュック殿下が固まる。
「…クロヴィス、流石にどうかと思う」
「ちょっと抑えが効かなくて。むしろ抑えた方です」
「…やっぱりどうかと思う」
「で、でも僕嫌じゃなくてむしろドキドキして嬉しくて!それで自分の気持ちを自覚したので!」
「アリスティアがいいならそれでいいけど」
自分でもどうかと思うので、言われても仕方がない。
「それでね、プロポーズもすごかったよ!タイミング良く強い風が吹いて庭のバラの花びらが舞った瞬間に、お兄様がアリスティアお兄ちゃんに跪いたんだ!そして『アリス、私と結婚して欲しい』って!かっこよかったー!」
「プロポーズはまともでなにより」
「それでね、アリスティアお兄ちゃんは感動して声も出せなくてコクコク頷いてて可愛かったよ!お兄様はアリスティアお兄ちゃんの左手をとって薬指に指輪をはめたんだ!そしたらアリスティアお兄ちゃん、泣いちゃったの!」
「今度は嬉し泣きだな。よかった」
リュック殿下はニコニコと聞く。
「アリスティアお兄ちゃんが『僕、こんなに幸せでいいのかな…』って言ったらお兄様が『これからもっと幸せにするから心配ない』って!かっこよくない!?」
「ああ、クロヴィスはかっこいい」
「そしたらアリスティアお兄ちゃんも『…えへへ。じゃあ、クロヴィス様は僕がたくさん幸せにしますね』だってー!僕もう甘過ぎて砂糖吐くかと思っちゃった!」
「俺も今なら砂糖を吐き出せる気がする。甘い」
うんうん頷き合うリュック殿下とシエル。滞在期間中、もっと見せつけてやろう。
「そうだ。アリスティアとクロヴィスにお祝いのプレゼントがある」
「え、なにかな」
「何ってわけでもないんだが…その、ペアで使えるグラスだ。父上がお忍びで街への視察に行った時俺も連れて行って貰って、職人達に手を借りてちょっとだけやってみたんだ。その時作った物なんだけど…体験させては貰ったけど、ほぼ職人が作ったようなものだから品質は保証する」
そう言って照れた様子でグラスが入ったラッピングのされた箱をくれるリュック殿下。家宝にしなければ。
「嬉しい…!」
「アリスティアに喜んでもらえて嬉しい」
「家宝にします」
「いや、そんな大げさにしなくてもいいから」
そんなこんなでリュック殿下との再会を楽しみ、積もる話もたくさんあったので滞在した数日間ずっとリュック殿下と過ごした。
シエルはいつか結婚したら指輪だけでなくペアグラスも作ろうと決意




