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黒の少年がすごく可愛い表情になった

アリス、たじたじ

アリスがマリスビリーに連れられて私のところへ戻ってきた。


「その…クロヴィス様…さっきは逃げてごめんなさい!」


アリスは頭を下げて謝る。そんな必要ないのに。


「いいんだ、アリス。顔を上げてくれ。さっきのは私が悪かった。いきなり過ぎたし、アリスが混乱するのも無理はない」


「クロヴィス様…」


見上げてくるアリスは上目遣いで可愛い。


「あの、クロヴィス様、僕…」


「けれど」


私はアリスを見つめて言った。


「アリスを諦めるつもりはないし、正直あまり待てない。アリスが好きだ。だから、本当なら今すぐにでも君が欲しい」


「え、え、あの…ぼ、ぼく…」


アリスは緊張した面持ちで少しずつ後退りしているけれど、私は気にせず距離を詰めた。そして、誘導して大きな木の幹に追い詰める。


「アリス」


アリスに壁ドンをする。追い詰めた先は壁じゃなくて木だけど。


「アリス」


「あ、あの、クロヴィス様…?」


「好きだ」


「は、はうっ…」


「アリスは、私をどう思う?」


アリスは潤んだ目で私を見つめて言った。


「クロヴィス様は…優しくて、かっこよくて、素敵な人で…一緒にいると楽しくて、幸せで、心が温かくなる」


「うん」


「えっと…それと…ニーナ様とお話した時、思ったんだけど。僕ってクロヴィス様から見ても恋愛対象外だと思ってて、僕も最初からクロヴィス様を恋愛対象として見てなかった。でも、ニーナ様の純粋なクロヴィス様への愛を聞いて、僕…」


「…」


「…これは政略結婚。家同士の、国同士のための婚姻。僕に逃げる選択肢はないし、クロヴィス様もそれを選ぶことはない。なら、穏やかな幸せな生活をと思っていたけど…やっぱり、それだけじゃなくてもっと色々考えなきゃって思って」


知らないうちに、色々考えていたらしい。


「デイモンって人が来た時にもクロヴィス様は、そんな奴いらないだろって言われてもそれはないなって否定してくれたでしょう?嬉しかった。アリスティアが要らないなんてあり得ないって、今でも耳に残ってる」


「そうか…そう言ってもらえてよかった」


「そしたら、今日、告白…してもらえて。だけど、僕、は、恥ずかしいんだけど初恋もまだで…だから恋とかやっぱりピンとこなくて。えっと、言いたいことがぐちゃぐちゃになっちゃったけど…僕、クロヴィス様が大好き!クロヴィス様の告白も嬉しかった!でも、これが恋愛感情かそうじゃないのかわかりません!」


…これは、煽られているのか?押し倒されたいんだろうか。そんなの絶対恋愛感情に決まってるだろう。


…よし。やり過ぎて泣かせないように気を付ける。うん


「アリス」


「は、はい、クロヴィス様」


私と目を合わせた瞬間怯えた目をするアリス。そんなに私の目はギラついているだろうか。


「え、え、クロヴィス様?」


「アリス、それなら試してみようか」


「な、なにを?」


「アリスの私への大好きが、恋愛感情かどうか」


「…どうやって?」


アリスが可愛く首をかしげる。私は笑った。


「こうやって」


「ひゃっ!?」


アリスの頬にキスをする。一瞬で真っ赤になるアリスは可愛い。


「なあ、アリス。これ、嫌か?」


「え、あ、い、嫌じゃない…」


「どう思った?」


「は、恥ずかしいよ…」


「他には?」


多分今私は、意地の悪い顔をしている。


「恥ずかしいけど…嫌じゃない。ドキドキして、苦しくて、でも嬉しい…」


「そうか…アリス、嫌なら言ってくれ」


「え」


私はアリスの顔にキスの雨を降らせる。おでこに頬に、鼻先に瞼に。唇にだけはしないけど、首筋にもキスをする。耳にも。


「く、クロヴィス様、みんな見てるからっ!」


「今は私だけを見つめていてくれ」


「はうっ…」


「…嫌じゃないんだな?」


「う、うん」


ホッとしてアリスに言った。


「…アリス。多分、というか絶対。アリスは私に恋愛感情を持ってくれていると思う」


「え?」


「だって、好きでもない男からキスされたら嫌だろう」


「…た、確かに!」


納得したらしいアリスは、これでもかというほど可愛い笑顔で言った。


「えっと…えへへ。クロヴィス様、大好きです」


「…可愛い」


アリスを抱きしめる。アリスは私の胸に擦り寄ってきた。私は固まる。


正気だろうか?なんでこんなに可愛いことをするんだ?私の理性を試しているのか?それとも今すぐ私の理性を溶かしたいのか?


そんなことを考えていると、アリスの可愛い声で正気に戻る。


「クロヴィス様?」


「私の婚約者が可愛すぎる」


アリスの耳元で囁く。


「正式に結婚するまでは手は出さないが、唇以外へのキスなら許してくれるか?」


「う、うん」


「愛してる」


耳元で囁くのは、なんでこんなに背徳的な感じがするんだろう。


「ぼ、僕も愛してます」


アリスが背伸びして、私の耳元で愛を囁いた。私はまたアリスを抱きしめて、今度は離さない。


「く、クロヴィス様」


義姉上から祝福と邪魔が入る。


「ふふ。アリスティア、想いが通じ合ってよかったわね!おめでとう!クロヴィス様は弟が嫌がる前にそろそろ離してくださいませ!」


「…」


「お姉様、お祝いありがとう!」


渋々とアリスを離す。


「お二人とも、おめでとうございます」


「ありがとうございます、オベール様!」


「ありがとうございます」


オベール様も祝福してくれる。シエルは私とアリスに走り寄って抱きついてきた。


「二人ともおめでとう!これでみんなでずっと一緒だね!」


「ふふ。ありがとうございます、シエル様!心配しなくてもずっと一緒ですよ!」


「ありがとう、シエル。みんなで仲良く暮らそう」


私は今、世界で一番幸せかもしれない。心の底からそう思う。


「アリスティア」


「はい、お姉様」


「幸せにね」


「…はい!」


この幸せが、永遠に続けばいいのに。

その裏でクロヴィスは理性と戦っていた

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