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僕の推しはクロヴィス様
アリスティア、昔の記憶を思い出す
その昔。田舎の友達が言っていた。
「都会にはアイドルっちゅーのがおるがよ」
「うんうん」
「んで、好きなアイドルを推しっちゅーそうだで」
「推し」
「そうそう」
この友達は、親が商売をやってるから都会を知っていた。
「推しをファンは応援するだども、その方法は様々で」
「ふんふん」
「追っかけしたり、声援を送ったり、グッズを集めたりするだよ」
「追っかける、声援を送る、グッズを集める。楽しそうだね」
「アリスティア様にも推しが見つかったらやるといいべ」
その子の話はいつも刺激的で楽しかったけれども、特にこの話は印象深かった。何故かは分からなかったけども、きっとクロヴィス様のためだったのだと今は思う。
クロヴィス様が今の僕の〝推し〟だから。呪われた黒で、しかも男の僕をそばに置いてくれる優しい人。恩返し、できたらいいなぁ。
アリスティア、クロヴィスを推す