じゃがいも、流行る
じゃがいもを食用に転用するクロヴィス
「というわけで、まずは実際にブタエサに耐性のない使用人の皆様と共に我が国の食文化に触れてみましょう」
「俺ことマリスビリー監修のじゃがいも料理の数々、召し上がれー」
ということで、僕たちは早速じゃがいも料理を大量生産してみんなに食べてもらう。みんな最初は毒が怖いとおっかなびっくりだったが…。
「…ポテトフライってやつめちゃくちゃ美味い!!!」
「え、じゃがバターってやつシンプルに超美味いんだけど」
「待って!このウィンナーとブタエサの炒め物美味しい!」
「おいおい、マッシュポテト?これすごい美味いぞ」
「ビーフシチューに入ったブタエサ美味すぎ!」
ここがチャンスだと僕はみんなに説明する。
「じゃがいもは確かに芽とかに毒はあるけど、その辺をちゃんと処理をして調理すると普通に食べられるんだ」
「ブタエサがねぇ…」
「あとそのネーミングセンス!!!」
僕は吠える。だって、ネーミングセンスのせいで明らかに損してる!
「ブタエサ、じゃなくて〝じゃがいも〟を主流の呼び方にしよう!処理と調理の方法を正しく広めよう!そして美味しさを宣伝しよう!それだけでじゃがいもは宝の山になる!間違いない!」
みんな僕の主張に頷いてくれた。
「確かにこれなら、名前を変えて正しい知識さえ広まればいけそう」
「まさにビジネスチャンス」
「でもみんな、いくら飢饉が間近とはいえ最初は怖いと思う」
「それなんだが」
クロヴィス様が言った。
「叔母上…女王陛下に広告塔になって貰おうと思う」
「え!?ご当主様!?」
「私は女王陛下から特別信頼されているし、心配するな」
そして、クロヴィス様は女王陛下に直談判。女王陛下はクロヴィス様の訴えを受けて、ブタエサを〝じゃがいも〟として食用に転用することを宣言された。まず手始めに孤児院や養老院の食事に提供したり、スラム街での炊き出しに出したりした。そして女王陛下が急遽〝食事会〟を催して、貴族たちにも食べさせた。女王陛下主催のイベントでは、貴族たちは逃げられない。
「…結果的に、美味しさが広まったら早かったですね。クロヴィス様」
「正しい処理と調理の方法も合わせて公表したからな。今では国民食だ」
ということで、公爵領はもちろん国全体が飢饉から救われた。それどころか人気が出過ぎて数が足りなくなり、流通が止まりかけたほどだ。ブタエサならぬじゃがいもの農家さんも、お金がたんまりと入って潤ったらしい。
おかげで僕は、〝農業国から来た美食の神〟なんてエラい持ち上げられ方をされている。ちょっと怖い。
「とりあえず、お国の役に立てて良かったです」
「もちろん我が公爵家の役にも立ってくれたぞ。ありがとう、アリス」
「えへへ」
クロヴィス様に頭を撫でられて、嬉しい。
「アリスティアお兄ちゃん!ポテトフライ一緒に食べよう!」
「うん!一緒に食べよう!」
シエル様も今ではじゃがいもの虜だ。本当に色々、よかったと思う。
女王陛下のおかげもあって流行る




