100徹六勇士
そんなこんなで無限回廊の攻略をした後、僕らは街から出たのだが…………
気が付くとスライムがまわりを囲んでおり、
「ス、マイムㇲマイムㇲマイム……」
とこのようにマイムマイムを踊っていた
「やっぱりスマイムはすげーな!」
「リオ? なにか知ってるの? 怒らないから正直に答えて? ね?」
「あぁ〜、それってもう怒ってる感じのやつだろ? 私はそうやすや…………ヒィ! ごめんなさいごめんなさい……」
あれ? どうしたのかな? 今度はリオがうずくまっちゃった。
声が小さいから何言ってるかよくわか……
な、なるほど……
「ご、ごめん! モモ毛モ・毛モモしまうから! ね? 機嫌直して」
「うん! わかった」
な、? 一瞬でケロッと何もなかったかのように泣き止むだと!
「まさか……嘘な」「ウソ泣きじゃないからな」
「せめて最後まで言わせて!」
「うるせぇな! こんなんだからいつまで立っても小説も、ゲームもチュートリアルが終わんねぇんだろうが!」
「何いってんだよ! このグダグダした雰囲気が僕たち二人には合ってるじゃないか!」
このグダグダの良さがわからないなんて……リオもまだまだだな
「なんだよその目線! どうせ『このグダグダの良さがわからないなんて……リオもまだまだだな』的なこと考えてたんだろ! 一つ言わせてもらうがな、そこまでグダグダしてないぞ?」
んな、! そ、そんなはずな…………いや、八割僕が原因で険悪な雰囲気になって……
「そこまでだ!」
「ちょっとリオ、今考え事してるからあ」「私じゃないから!」
リオじゃないなら誰だって……
顔をあげるとそこにはキャラ設定をしたときにいたお姉さんがいた。
「あなたは! …………えっと、名前は……なんだっけ?」
「私のことはしおりお姉様と呼びなさい! それ以外は認めないわ! まぁ、初期装備のプレイヤーを助け」
「って、あんたも初期装備じゃないかーい」
「あぁ? あんたじゃなくてしおりお姉様だろ?」
……リ、リオが殺される……ん? 初期装備?
前を見るとそこには、しおりお姉様が呆然と立ち尽くしていた。
「ま、まさか! このスライムたちが初期装備ではないプレイヤーでも倒せないほどの量? ではこの二人の落ち着きようはいったい……」
「あぁ〜このスライムたちは攻撃してこないんだよ……なんでかわかるかい? お姉さん」
「だから私のことはしおりお姉様と呼べと言ってるだろ? 殺すぞ?」
リ、リオ! 逆らっちゃだめだ! しおりお姉様からは恐ろしいほどの殺気を感じる。
「殺す? 出来るものならやってみなさい! 私のほうがレベルもステータスも高いのにそんなことできるわけ無いでしょ?」
「じゃあやってやるよ!」
ピコン♪
《P【しおりお姉様】からP【リオ】に模擬戦の申請が行われました。これより模擬戦が行われます》
【アシスタント】さんのような無機質な音声が流れたと思うと、ふたりは光とともにいなくなっていた。
「しおりお姉様〜! 模擬戦ってマジデㇲ…………」
あ! 職業を決めたときのお兄さん!
「しおりお姉様ならもう行っちゃいましたよ?」
「あ、君はあのときの! いや〜、俺今でも思うんですよ、もし女の子だったらな……って」
「…………ウメ、お前まだそんなこと言ってんのか? 確かに、お前が男子校に今通っていて人肌寂しいことはよくわかる。俺もそうだったからな、でも! たとえあそこで女の子が来ても俺たち以外とパーティーは組めなかった。違うか?」
わぁ〜知らない金髪のお兄さんだ……デカっ! 僕が150センチだから……2メートルくらい?
そして後ろから三人も人が来る。
……一応5メートルくらい、スライムの沼があるんだけどな?
「あ、あの〜あなた達は?」
「ああ、すまない。自己紹介がまだだったね?」
「「「「「「フゥ、喝」」」」」」
「五十万のお金につられ」
「課されたノルマは一万人!」
「三か月間もログアウトできず」
「気付いたころにゃ、100徹よ!」
「くまの濃い目に」
「汚れた身体」
「マツ!」「ウメ!」「タケ!」「リク!」「ユウ!」
「そーしーてー」
「「「「「「しおりお姉様!!!!!」」」」」」
「「「「「「我ら100徹六勇士!!!」」」」」」
テンポのいい声にそろった動き、いやぁどれだけ練習したかが伺えますねぇ。
……はっ! 誰もパーティー組んでくれないのはこれが理由?
そういえばしおりお姉様帰ってたんだ。早かったなぁ〜。
まぁボロ負けだったことは想ぞ……!?
リオがうずくまって泣いている!
ま、まさか……
「お前、負けたのか……」
「そうよ! なにか悪い? まさかこんなアラサー初心者に負けるなんて……」
ピクッ
ん? 何だこの音? 漫画とかでよくある効果ぉぉぉおおおん!
「し、しおりお姉様?」
「だぁ〜かぁ〜らぁ〜、しおりお姉様だって言ってるだろ! それに私はまだ26歳だ!」
ドカッ
鮮やかなパンチが空を舞う
「いったぁ!」
後日、プレイヤー達の間にリオが初心者に負けたという話と、ネタ装備を引き取ってくれるネタ装備引きとりヤーがいるという話がウワサされるのはまた別の話である