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進められるがままにゲームを始めた

 20XX年、仁天堂が世界初のフルダイブゲームUTOPIA(ユートピア)を発売した。

 UTOPIAをプレイするためには専用のコクーンが必要になるため三十万円ほどの値段なのであまりたくさん生産されていなかった。

 しかし、想定の何倍もの人が購入するために日本中の家電屋を埋め尽くし現在どこの店でも品切れ状態が続いている。

 そんなゲームが友紀の目の前に、それも二つ置いてあった。



〜二時間後〜



「おまたせ、待ったぁ〜?」


 リオがでかい声を上げながらコクーンから飛び出てくる。

 そのまま、椅子の上で前後にゆれている友紀の方に行った。


「お~い、どしたぁ。寝――」

「遅ぇわぁ!!!!!!!!」

「ヴンギャァァァアア!!!!! ひ、酷いじゃないか!  実の姉を不意打ちで殴るなんて」


「うん、ところで二時間も呼んだ相手を待たすなんてどんな精神してるんだい?」


 僕は問答無用で拳を固める。


「お、おい、ちょっと待て! これにはとても深い深い事情があるんだ!」

「ほう? 理由を聞こうか」


 まぁ、友達にログアウトさせてもらえなかったとかそういう重要な理由があるなら仕方ないしね。


 ……いや、リオに友達ができるわけ無いか

「なんか失礼なこと考えてない? まぁどうでもいいけど。実はさ…………」

「うんうん」

UTOPIA(このゲーム)が面白すぎるのが悪いんだ!」

「そうだったのか……それじゃあしょうがないか」

「ご、ごめんって! ゆ、許し……へ?」

「へ?」

「へ?」

「へ?」

「へ?」

「へ?」

「へ?」

「へ?」

「へ?」

「へ?」

「へ?」

「へ?」

「へ?」

「へ?」

「へ?」

「うるせぇ!」

「なんでぇぇぇぇぇぇえええ」


 リオの頭は宙を舞い。

 ベットの上に転がる。


「酷いぞ! 2回も殴るなんて」

「いいじゃん。アンデッドなんだし」

「ゾンビでも痛覚はあるんだが?」

「(´Д`)ハァ……めんどくさ」

「めんどくさって何だよ!」

「ん? なにか文句でも?」


 あぁこんなわがままな姉のせいでまた右手がかってに……


「いやいやいや、文句なん……っ! ぎゃぁぁぁぁああ! ちょっと流石に3回目は」

「それで僕を呼び出した理由は?」


「フッフッフッーよくぞ聞いてくれました! 実は優しい優しい()()()が、この()()()がユーキくんのためにゲームを用意してあげたのだよ」


 そう言うとリオはコクーンを指さす。

 簡単にごまかされてくれて……アホだなぁ〜。


 はぁ……こんなのが姉なのか。


「ワ、ワーイヤッターウレシイナー」

「もうちょっと感情込めろよ! まぁいいけど、とりあえずログインしてキャラ設定だけでも済ましといて」

「分かった」


 そのままコクーンのスイッチを開き片足を入れ……


「おい! ちょっとまて」

「どしたぁ〜?」

「そっちは私のだよ!」


 言うが速いか友紀に対してラリアットをきめる。


「痛てーな! 何すんだよ!」

「黙れ! 3回も殴ってきて、なに被害者ヅラしてんだよ」


 まさかごまかされたフリをしていたのか!

 賢くなりやがって。


「まあまあ、さっさとはじめなよ!」

 そして、僕はコクーンに押し込まれた。


    ☆☆☆


「こんにちは。UTOPIAの世界へようこそ」


 黒髪をショートにしたきれいなお姉さんだ。流石は仁天堂だ。プレイヤー設定の案内役まで凝ってる。


「それじゃあ、キャラクター設定は私が勝手に決めときますね? では、UTOPIAの世界を思う存分お楽しみください!」


 わ〜、一体どんなふうになるんだろう! たのしみだな〜!


「って、ちょっと待ったー!」


 お姉さんがモニターに触れるぎりぎりの所で手が止まる。


「はい? 何でしょう?」

「いや、『何でしょう?』じゃないから! キャラメイクくらい僕にさせて」

「チッ、バレたか!」


 いやいやいや、「バレたか!」じゃないから。

 それに、そんな泣くことないじゃん


「いいじゃん! 最後の一人くらい騙されてくれたっていいじゃん! ゲーム内でノルマ達成したら五十万のフレーズを聞いてついていけば、ノルマが計一万人の対応って何だよ! もう、三ヶ月も寝てないよ! まぁ私の他に五人も犠牲者がいたのが、唯一の救いか……フッ、フフ、フフフフフフ」


 今度は突然、お笑い出す。これが情緒不安定ってやつか……


「って、返ってきてください! まだ何もできてないんですから!」

「え、あぁ! ごめんごめん。それじゃあまず次の中から種族を選んで」

 ―――――――――――――――――――――

 ○人族

 ○悪魔

 ○エルフ

 ○ドワーフ 

 ○家畜(牛、豚、鶏)

 ○ゴキブリ

 ※カッコ内はランダム

 ―――――――――――――――――――――


 へ〜色々あるな。


「……か、家畜?」

「いや〜、その下も見てよ! なんとゴキブリ! 実はこの2つ意外と人気あってさぁ、大体二千人くらいこれ選んでるんだよね」


 流石は世界初のフルダイブ型VRゲーム、おかしなプレイヤーの数も尋常(じんじょう)じゃない


「で、はやくしてくれない?」

「それじゃあ、人族で」

「は? 自分でやってよ。パネルをタッチしたら勝手に次行くから」

「は、ハイ」


 次は……プレイヤー名か、これは普通に「ゆーき」っと。

 で、最後がスキルか……


 ――――――――――――――――――――――

 ○剣術︰剣(短剣、長剣(ロングソード)、大剣等)がある程度使

     えるようになる

 ○槍術︰槍がある程度使えるようになる

 ○魔法強化︰魔法を使ったときの効果が上昇 上昇

       の度合いはレベル・種族に依存する

 ○アイテムボックス︰持ち物の容量が無限になる

 ○ギャグルート︰パロディー、メタ発言などなど

         なろうにバンされない限りは何

         でもOKなギャグルートに変更

 ○童話︰子どもたちが読んで楽しめるようなメル

     へンチックなストーリーに路線変更

 ○主役交代︰一日だけ主役が別の人のものになる

 ○アシスタント︰色んな情報を教えてくれる


 ※空気読めよ!

 ――――――――――――――――――――――


 うん、後半はいくつかふざけてるな。『空気読めよ』ってのははそういうの選ぶなってことだろう。

 わざわざこんなこと書くくらいならはじめから選択肢に入れなきゃいいのに。

 まぁ、僕が選ぶのはこの最後のアシスタントなんだけど……理由? だって何でも教えてくれるんだよ(勘違い)。


 ――――――――――――――――――――――

 それでは楽しいゲームの世界へ♪

 ――――――――――――――――――――――


「おっしゃぁ! これで開放されるぅ〜。イェ〜!」


 あ、お姉さんの存在忘れてた。


「よ〜しお前、私はしおりお姉様と呼びなさい!」

「え〜!」

「返事はハイかYesだけだ」


 殺意のこもった視線……ゲーム開始前に殺されるんじゃ?


「はい! わかりました、しおりお姉様」

「うむ、よろしい。それでは、UTOPIAの世界を思う存分お楽しみください」


 こうして僕のゲーム生が始まったのだった。

「おい、リオ! ゲームをプレイする前に終わっちまったぞ!」

「いや、私は何も悪くないだろ! 誰のせいで長引いたと思ってるんだ! どう考えても作者だろ」

「えぇ……何でそう――」

「「あんたが出てくんなよ粉幸!」」

「え、えぇ……まぁ次の話に行く前にポイントとブクマしてくれたら嬉しいなそれじゃ!」

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