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タンポポ姫の恋の処方箋   作者: rokoroko
169/199

169.薬草園でお茶を

 小さなお茶会の後、アンジュは薬草園で妖精たちのお手伝いをしていた。


「そろそろ時間ですね」


 もうすぐ3時に、なろうとしていた。


 薬学研究室側の扉が開いたかと思うと、リシャール殿下が顔を出す。

 テリュースたちとは別々に、来られたみたいだった。


 アンジュが挨拶をしょうとすると、リシャール殿下が怪訝そうな顔をする。

 困った様な、怒ったような口調で、アンジュに訪ねて来た。


「きみは誰?どうやってここに入ったのかな?」

「えーと、リシャール殿下?」なんだか怖いんですけど・・・・・。

「ここは子供が入っていいところではない。早く出て行きなさい!」


 リシャール殿下は見た目穏やかで優しそうに見えるが、実際は子供であっても容赦がなかった。

 冷たい口調で言われると、さすがにアンジュでも何も言えなかった。


(マジ、泣きそうなんですけど。リシャール殿下、怖すぎです。)


「叔父上、それはアンジュですよ」


 半泣き状態で狼狽えるアンジュを救ったのは、反対側の扉から入って来たテリュースだった。

 リシャール殿下が怖すぎて、アンジュは扉が開く音にも気づかなかった。


「えっ、でもこの子?」

「その男の子、アンジュなんです」


 言ってテリュースが、アンジュが被っていたハンチング帽を取り上げる。

 帽子の中に隠していた黄色みの強いふわふわの金髪が、零れ落ちた途端、魔法が解けるように可愛い男の子は、男の子の格好をしたアンジュに姿を変えた。


「・・・・・アンジュ、だったのか」

「そうですよ、叔父上。今日はアンリの弟の、アンジーです」


 テリュースがなんだか楽しそうに、アンジュの頭をいい子いい子と撫でる。


「アンジュ、すまない。薬草園に入るなり、見知らぬ男の子がいたので、驚いてしまった」

「いえ、私の方こそ、早く名乗ればよかったのに、ごめんなさい」


 薬草園への鍵である、腕輪を見せれば一目瞭然なのに、そんなことにも気づかなかった。


「叔父上もアンジュも何二人で、謝っているのですか?叔父上をも騙せるほどの、変装だったってことでいいんじゃないですか」

「そうだね。本当にアンジュだと、気づかなかったよ。完璧な男の子だった」

「そう言われるのも、なんだか複雑ですね」男にしか見えないってね。


(だって、女の子だもん。)


「アンジュ、クロードから詳細は聞いている。大変だったね」

「リシャール殿下、ご心配をおかけしました。目もこの通り良くなりました」

「ああ、よかった。それで来週より、領地に帰るのそうだな」

「はい、1年間は向こうで過ごすようにと、言われています」

「私もクロードの意見に賛成だ。ここにいたのでは、皇太子争いに巻き込まれて、傷つけられるだけだからね。重病説が出ている今が、よい機会だろうね」

「私は大丈夫だと思うのですが、父の命令は絶対ですからね。しかたないです」

「1年なんて、アッと言う間だと思うよ。楽しんでおいで」

「はい」

「アンジュ、今日のお菓子は何だい?」


 テリュースがもう待ちきれないとばかりに、お菓子を催促する。

 アンジュが合図を送ると、薬学研究室付き侍女のフレイが、てきぱきとお茶の用意を始めた。


「今日のお菓子は、レモンとローズマリーのケーキとレモンタイムのクッキーです。どうぞ召し上がれ」



読んで戴きありがとうございました。

毎日1話UPしようと決めてUPしてきましたが、これが結構甘かった。

毎日追われるようにUPしています。

今日はちょっと途中になってしまいました。ごめんなさい。

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